遺された家族の暮らしを支える
知っておきたい「遺族年金」

年金というと老後の生活をイメージしますが、実は死亡保障の役割もあります。「遺族年金」は公的年金加入者が亡くなった後、遺された家族の生計を助けるために給付されるものです。自分にもしものことがあったときや、大切な人を亡くしたときのために、この仕組みを知っておきましょう。

監修:

望月 厚子

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受給対象者を確認しましょう

 生計を支えていた配偶者、あるいは親が亡くなってしまった場合、遺族の生活は経済的に苦しいものになってしまいます。そうした状況を避けるため、死亡した人に生計を維持されていた遺族である妻や夫、子どもの生活を保障することを目的に支給されるのが遺族年金です。国民年金から支給される遺族基礎年金と、厚生年金保険から支給される遺族厚生年金があります。下表の受給対象者をチェックしてみましょう。

■遺族基礎年金

 原則、国民年金の被保険者または老齢基礎年金の資格期間(資格期間が10年に短縮されましたが、この場合は25年以上の加入が必要)を満たした人が死亡したときに受け取ることができます。ただし、死亡した人の保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が加入期間の3分の2以上あることが条件です(特例あり)。そのうえで、死亡した人に生計を維持されていた子のある配偶者と子が対象になります(子には上表※の要件あり)。
 2019年度の年金額は次の通りです。
年金額(78万100円)+子の加算額
 子の加算額は第1子と第2子は各22万4,500円、第3子以降は各7万4,800円です。

■遺族厚生年金

 第2号被保険者が厚生年金保険に加入中に死亡した場合、または加入中に初診日のある病気やケガで5年以内に死亡した場合などに支給されます。受給要件が細かいため、年金事務所などに問い合わせてみましょう。年金額は死亡した人の報酬額や被保険者期間などから算出されます。また、遺族厚生年金の受給者が60歳になった場合、特別支給の老齢厚生年金を受け取る権利があったとしても併せての受給は原則できません(65歳以降は例外的にOK)。

■第1号被保険者の独自給付

 遺族基礎年金は子のない配偶者や18歳の3月31日を過ぎた子どもは受給対象外。つまり、死亡した人が納めていた保険料が掛け捨てになってしまうケースが見受けられます。そうした場合の第1号被保険者独自の救済措置として、次の2つのうち、どちらか一方を受け取ることができます。
①寡婦年金=国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間(免除期間を含む)が10年以上ある夫が亡くなった際、生計維持されていた婚姻期間10年以上の妻が60〜65歳になるまでの間、死亡した夫がもらえるはずだった老齢基礎年金の額の4分の3を受け取ることができます。
②死亡一時金=国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数(免除期間を含む)が36カ月以上ある人が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなった際、死亡した人と生計を同じくしていた遺族が一度だけ受けることができます。支給額は国民年金保険料納付月数で決定し、下限は12万円(36カ月以上180カ月未満)〜上限は32万円(420カ月以上)です。

遺族年金の請求手続き

 障害年金同様、遺族年金も自ら年金請求書に必要書類を添えて請求しなければなりませんので、注意が必要です。受給要件に該当する場合、すみやかに年金事務所に連絡し、必要書類を確認しましょう。また、提出時には下記の書類の添付(請求者によって異なる)が必要です。

年金証書、戸籍謄本(記載事項証明書)、世帯全員の住民票、死亡した人の住民票の除票、請求者の収入が確認できる書類、学生証または在学証明書など(義務教育終了後の子)、市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書、受取先金融機関の通帳等(請求者本人名義)

 書類提出の際にポイントとなるのが、世帯全員の住民票や所得証明書・課税(非課税)証明書など、生計維持を証明するためのもの。これは、死亡した人と住民票が同じであること、死亡した人の収入で生活していたことを証明するために必要なもの。請求者の収入によっては生計維持が認められず、遺族年金が受け取れない場合がありますので、年金事務所などで確認しましょう。

※この記事内容は、執筆時点2019年8月1日のものです。