病気やケガで障害が生じた時に
受け取れる「障害年金」とは?

様々な理由で障害が残り生活に支障がでた場合、「障害年金」として公的年金を受け取ることができるのをご存じですか?受給額や要件などを確認しておきましょう。

監修:

望月 厚子

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ケガや疾病の対象が幅広いです

 国民年金や厚生年金保険の加入期間中に初診日(障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)のある病気やケガで障害状態になり、障害認定日(原則、初診日から1年6カ月を経過した日)に障害等級に該当する状態の場合、障害年金を受け取ることができます。ケガだけでなく、下表のように、さまざまな疾病が対象になります。

 障害年金は老齢年金と同じく、国民年金から給付される障害基礎年金と、厚生年金保険から給付される障害厚生年金に分けられ、どの制度から支給されるかは、初診日においてどの公的年金制度に加入していたかで決まります。障害年金の額は障害の状態を示す等級に応じて支払われ、障害基礎年金は1〜2級、障害厚生年金は1〜3級に加え、障害の程度が軽い人は障害手当金を一時金として受け取ることができます。

 2019年度の年金額は次の通りです。

●障害基礎年金

障害等級1級の場合
 97万5,125円+子の加算額
障害等級2級の場合
 78万100円+子の加算額

 扶養している子どもの数に応じて子の加算額がプラスされます。第1子と第2子は各22万4,500円、第3子以降は各7万4,800円(年齢などの要件あり)。また、受給には次の要件をすべて満たす必要があります。
①初診日において国民年金の被保険者であること。または、初診日に60歳以上65歳未満で国内に居住していたこと。
②初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について保険料が納付または免除されていること。または、初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと(初診日が2026年4月1日前に限る)。
③一定の障害の状態にあること。

●障害厚生年金

障害等級1級の場合
 報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額
障害等級2級の場合
 報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額
障害等級3級の場合
 報酬比例の年金額のみ
 (最低保障額58万5,100円)
障害手当金(一時金)
 報酬比例の年金額×2
 (最低保障額117万200円)

 受給には次の要件をすべて満たす必要があります。
①初診日において厚生年金保険の被保険者であること。②③は障害基礎年金と同様です。また、配偶者は生計を維持されている年収850万円(または所得額655万5,000円)未満でかつ65歳未満の人に限ります。

障害年金の請求手続き

 本人あるいは家族などが年金事務所に連絡し、初回相談時に「障害年金請求キット」を受け取ります。障害年金の受給要件に該当した場合、年金事務所に提出するものとして、①障害基礎年金のみを受け取る場合は「年金請求書(国民年金障害基礎年金)」②障害厚生年金のみを受け取る場合または障害基礎年金と障害厚生年金の両方を受け取る場合は「年金請求書(国民年金・厚生年金保険障害給付)」に記載しましょう。その他、医師の診断書(所定の様式あり)、病歴・就労状況等申立書などが必要です。また、障害年金の認定を受けるためには、医師のカルテで初めて医師の診療を受けた日を証明する必要があります。カルテが残っておらず、初診日がわからない場合などは、下記の書類等で確認するので破棄せず保管しておきましょう。

身体障害者手帳の写し、身体障害者手帳交付時の診断書の写し、交通事故証明書の写し、労災の事故証明書の写し、事業所の健康診断記録の写し、診療受付簿、入院記録、インフォームド・コンセントによる医療情報サマリー、当時の診察券、お薬手帳、糖尿病手帳など

※この記事内容は、執筆時点2019年8月1日のものです。

望月 厚子(もちづき あつこ)
大手生命保険会社と独立系ファイナンシャルプランナー会社を経て、フリーとして独立。現在は社労士として活躍しながら、年金事務所(日本年金機構)の相談員も行っている。

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