脳に溜まったゴミをおそうじしよう
簡単スープで認知症予防

やるべきことを忘れたり、人の名前が出てこなかったり、会話でうまく言葉が出なかったり…そんな衰えを感じたら、脳にゴミが溜まっているのかもしれません。認知症に進まないように、脳のおそうじを始めましょう。

監修:

内野 勝行

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脳のゴミ「アミロイドβ」が
認知症を引き起こす

 認知症の研究において、近年最も注目を集めているのが「アミロイドβ」。毒性が高いたんぱく質の一種で、脳神経細胞を死滅させ、記憶力の低下や認知症を招く、いわば「脳のゴミ」です。認知症を発症している人の6割強はアルツハイマー病によるもので、このアミロイドβの蓄積が原因とされています。個人差はありますが、アルツハイマー病を発症するのは、アミロイドβが蓄積し始めてから約15〜20年。今のところ認知症を完全に予防する方法はありませんが、アミロイドβをできるだけ早い段階で排出し、蓄積させないようにすれば、脳の衰えを防いだり先送りしたりできることは間違いありません。アルツハイマー型認知症は65歳を超えると増えるので、対策は1日でも早く始めましょう。

■アミロイドβを減らす生活習慣

「脳のおそうじスープ」に加え、次の生活習慣もぜひ取り入れましょう。

毎日の運動習慣

若いうちから運動習慣をつけて。特に有酸素運動がおすすめです。

質の良い睡眠

寝不足が続く生活は厳禁。アミロイドβがうまく排出されずに蓄積します。

腸内環境を整える

脳と腸には相関関係があり、腸内環境が悪いと脳にも悪影響があります。

きちんと口腔ケア

歯周病菌も認知症の原因。毎日の歯磨きや定期的な健診を実践しましょう。

人と会話する

人と会話をすると脳が活性し、血流が促されて、アミロイドβが排出されます。

脳のゴミを取り除くには
十分な栄養が必要

 脳は、必要な栄養が補給されないと、どんどん機能が衰えます。脳のおそうじの基本は、毎日必要な栄養を摂りつつ、アミロイドβの発生予防や排除を助ける栄養素も摂ること。食事は1日3食、「たんぱく質・脂質・糖質」の三大栄養素をバランス良く、ビタミン・ミネラルも欠かさず摂りましょう。
 たんぱく質には植物性と動物性があり、両方摂るのが理想的。脂質は、肉の脂身やバターなどの動物性脂質を減らし、魚に含まれるEPA、DHAを意識して摂りましょう。糖質は摂り過ぎると血糖値が乱高下してアミロイドβが増えますが、脳は糖質以外をエネルギーとして利用できないので減らし過ぎてもいけません。主食の糖質を雑穀米や玄米、全粒粉にしたり、食物繊維が豊富な食材を一緒に摂るなどして、血糖値の乱高下を抑制しましょう。
 また、体をサビさせる「活性酸素」が増えるとアミロイドβが増え、アミロイドβが増えると活性酸素が増えるという悪循環が生じます。活性酸素の発生を防ぐ抗酸化物質は、ポリフェノールとカロテノイド。ビタミンC・Eにも抗酸化作用があります。

脳に良い栄養を手軽に摂れる
「脳のおそうじスープ」

 しかし現実的には、こうした多種多様な栄養素をバランス良く含んだ食事を毎日作るのは大変です。おすすめは、脳に良い栄養をしっかり摂れる「脳のおそうじスープ」。毎日の食事に取り入れるだけで、アミロイドβの排出を促し、活性酸素の発生を抑制してくれます。料理が苦手な人でも作れるので、ぜひ実践してみましょう。

包丁いらずで簡単に作れる!
脳のおそうじスープ

 脳のゴミを排除する栄養素をぎゅっと詰め込んだ、内野先生考案のスープをご紹介します。スープの素をまとめて作って冷凍でストックしておき、食べるときに熱湯で溶くだけ。包丁を使わないので調理も簡単です。毎日1杯、できるだけ長く続けてみましょう。数カ月後には記憶力など脳の認知機能が改善されていくはずです。

※この記事内容は、執筆時点2023年6月30日のものです。

内野 勝行(うちの かつゆき)
金町駅前脳神経内科院長。帝京大学医学部医学科卒業後、都内の神経内科外来や千葉県の療養型病院副院長を経て現職。脳神経を専門としてこれまで約1万人の患者を診察。テレビの医療情報番組などさまざまなメディアを通じて、健康情報をわかりやすく発信している。著書に『記憶力アップ×集中力アップ×認知症予防1日1杯脳のおそうじスープ』(アスコム)など。

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