災害時、在宅避難の場合に
注意しておきたいことは?
都市部などの人口の多い地域では、被災者の大半は在宅避難生活を強いられることが予想されます。また、電気・水道・ガスなどのインフラが止まる中、事前の準備も含めて気をつけたいポイントをご紹介します。
自宅で避難生活するときの
問題点を知ろう
都市部などの人口密集地で災害が起きた場合は、自宅が無事なら在宅避難生活になります。避難所に比べプライバシーを保つことができ、感染症などからも身を守ることができますが、電気や水、ガスなどのインフラが止まった状態で日常生活を送らなくてはいけません。電気やガスが使えない状態で明かりや冷暖房をどうやって確保するか、断水や配管損傷の場合、トイレやお風呂、調理はどうすればよいのか、などの問題に直面しがち。だからこそ、事前に在宅避難を想定した上での訓練と防災備蓄が重要となるのです。「防災アイテム」や「トイレ対策」、「日頃の防災収納」などを参考に、在宅避難で想定される問題と備蓄品をきちんとチェックしておきましょう。
排水は設備の安全確認が
終わってから
大規模地震の際は目に見えない場所の下水管が破損している可能性があります。浴槽やトイレの水などは、排水設備の安全確認が終わるまで流してはいけません。集合住宅の場合は階下に水漏れや汚水あふれを発生させてしまうこともあるので、震度6弱以上の場合、管理会社の点検が終わるまでは排水しないこと。
水は近所の防災拠点や
給水拠点からも確保を
災害で断水となった場合、「災害給水ステーション(給水拠点)」が設置されます。どこに設置されるかは事前に各自治体の水道局などで公表されていることもあります。水を運ぶポリタンクは、スポンジで中が洗える広口キャップのもので、燃料用は有害物質が溶け出すので飲料水専用のポリタンクを準備しておきましょう。
互いに近くで助け合う
「互近助(ごきんじょ)」
災害時、頼りになるのは遠くの親戚より近くの隣人です。物資配給・生活情報など、向こう三軒両隣で互いに助け合う「互近助」で励まし合い支え合って逆境を乗り越えましょう。そのためにも普段の付き合いが大切です。プライバシーに深入りせず、ほどよい距離感で気持ちよく挨拶できる関係性をつくっておきましょう。
「家族の防災の日」を決めて予行演習をしよう
在宅避難ではどんなことが困難になり、何が必要になるのかを知っておくためにも、年に1度は「我が家の防災の日」を決め、電気・水・ガスを使わずに、家庭内の備蓄だけで生活してみましょう。備蓄食料の食べ方や非常用トイレの使い方も確認でき、1日、もしできれば2日ほど生活すれば、より具体的に災害時の生活をシミュレーションできます
※この記事は、都道府県民共済グループ発行「命を守る防災ハンドブック」の抜粋です。
内容は、執筆時点2024年8月1日のものです。
山村 武彦(やまむら たけひこ)
防災システム研究所所長。防災・危機管理アドバイザー。1964年の新潟地震以来、災害現地調査は250カ所以上、全国での講演は2,500回を超える。多くの企業や自治体の防災アドバイザーを歴任する実践的防災・危機管理の第一人者。