日常の「収納」が
命を救う鍵になる!

安心な場所であるはずの自宅も、収納方法や整理整頓の仕方によっては、災害時に危険な場所になる可能性も。ちょっとした工夫や注意点に気をつけて「くつろげて安全」な理想の空間づくりをしましょう。

監修:

澁川 真希

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最も「危険なもの」が多い場所。だからこそ入念に!

 たとえば熱い汁物がたくさん入った鍋や、天ぷら鍋での調理。もしくは包丁を使っている時に、万が一地震が起こったら?揺れとともに冷蔵庫や炊飯器、湯沸かしポットや電子レンジが倒れてきたり、頭上から鍋や食器が降り注いだら……?災害時、台所は想像以上に危険な場所となります。そのためにも家具は固定を徹底し、日常から整理整頓を心がけてムダなものは置かないこと。危険を遠ざけることができるだけでなく、ローリングストックの備蓄も効率的に行うことができます。

①高所の飛び出し防止

 吊り戸棚には揺れを感知すると扉をロックする耐震ラッチか開き戸ストッパーを。持ち手付きのカゴの下にすべり止めマットを敷いて収納することで出し入れしやすくなり、飛散防止にもなります。

②ものを出しておかない

 目に見える場所にものを出しておくと、地震などの災害時に散乱してしまいます。中身の残った鍋も、放置しておくのはやめましょう。

③消火用品を備えておく

 家庭の中で最も火災の危険があるのがキッチン。必ず消火器などの消火用品を揃え、余裕がある場合には初期消火につとめましょう。

④重いものは棚の下に

 土鍋や鉄鍋などの重いものは、地震の揺れで飛び出す凶器となり、ケガのもとに。なるべく棚の下の方に収納を心がけましょう。

⑤家電の転倒・移動を防ぐ

 大きな家電が多いのもキッチンの特徴。冷蔵庫は「転倒防止具」、レンジや炊飯器は飛び出さないようにジェル状の「耐震マット」などで固定を。

⑥ガラスには飛散防止フィルムを

 割れる可能性があるガラスには飛散防止フィルムを貼りましょう。窓だけでなく、見落としがちな食器棚などのガラス部分にもしっかりと対策を。

⑦食器の飛び出しを防止

 食器棚には揺れを検知すると扉をロックする耐震ラッチか、開き戸をロックするストッパーを。S字フックでも耐震ラッチの補助として活用できます。食器の下と間にもシリコンの滑り止めマットを敷くとなお安全です。

「くつろげて安全」が理想の空間に

 棚の上の花瓶や観葉植物、置き物、重い本が詰まった本棚など……。リビングのインテリアが、地震の際には凶器となってしまいます。なるべく固定できないものを置くことは避け、安全な空間を作りましょう。飾り棚などのガラスも割れると危険なので、飛散防止フィルムなどで対策を。ただ、リビング・ダイニングは家族全員が集まる団らんの場所。くつろぐことができないとストレスが溜まってしまいます。危険をとりのぞいた上で、「リラックスできる空間」を保つことを心がけて。

①窓ガラスの飛散防止対策

 割れた窓ガラスはとても危険なものに。飛散防止フィルムを貼るか、夜間は厚手のカーテンを閉めておくことで破片の飛び散りを防ぐことができます。風で飛ばされてのガラス破損を防ぐため、台風の前はベランダや庭に置いてあるものを片付けておきましょう。

②書類はファイルボックスで収納

 地震の揺れで物の散乱をふせぐため、書類などは散らばらないように分類し、紙製のファイルボックスなどにまとめておきましょう。重要書類はできればデータ化もしておくと安心。

③テレビはしっかり固定しよう

 大画面の薄型テレビは安定感が悪く、倒れて液晶が傷つき破損しやすいもの。足部分や背面から固定するバンドなどでしっかりと固定しましょう。テレビ台の固定も忘れずに。

④ケーブル類は整理して発火防止

 絡まった電気コードは加熱して断線や火災の原因に。ケーブル類は整理してまとめ、ホコリが溜まらないよう時々はおそうじを。

⑤装飾品には「転倒防止ジェル」を

 棚の上などには「ものを置かない」ことを心がけて。花瓶など装飾品をどうしても置きたい場合は市販の転倒防止ジェルなどでしっかり固定しましょう。

⑥家具は転倒防止対策を

 L字型金具や突っ張り棒で家具を固定する。また家具の手前に板を敷き、壁によりかからせることで転倒を防止できます。家具の下に挟み込むタイプの転倒防止アイテムを使用しても。

避難経路の確保をしっかりとしておこう

 家の中を見回してみると、意外とできていないのが「避難経路の確保」。例えば部屋の出入り口付近に棚がおいてあったり、廊下に本棚が置いてあったり……。これらは地震がおきた際、閉じ込めの原因となる可能性が大。また、あなたの家は夜に地震が起きて停電で真っ暗になったとき、玄関までたどり着くことができるでしょうか?地震火災が起こり煙にまかれそうになったとき、一刻も早く脱出することができるでしょうか?こういうことを想定した上で、廊下にはものを置かない、保安灯をつけるなどの対策をし、安全なルートを確保しておきましょう。

①廊下には何も置かないこと

 廊下は大切な避難経路ですが、棚などを置いていると倒れて出口までたどり着けなくなってしまうことも。ものを置かず、迅速な避難ができるようにしておきましょう。

②備蓄品は玄関にも保存

 地震の際、倒壊はしなくても建物の歪みで入れなくなる部屋ができる可能性大。台所だけでなく玄関など別の場所にも備蓄品は分散して保存しておきましょう。

③持ち出しリストは玄関に

 準備をしていても、いざ災害の時は慌ててしまうもの。冷静に対処できるよう、持ち出すべきものはリスト化しておいて持ち出し袋と一緒に玄関に置いておきましょう。

備蓄食料は分散しておこう

 家庭に備蓄しておくべき最低限の食料は「家族の人数×2食分×7日間」と紹介しましたが、水も含めるとかなりの量に。「台所には収納しきれない」という人も多いかもしれません。日常的に使う缶詰類以外、長期保存する乾パンや水類などは、玄関脇の収納やリビングの空いている収納など、家庭内の空きスペースを活用しましょう。備蓄品を置いてある部屋に入れなくなるリスクも避けられますし、玄関に置いておけば、あとから取りに来ることも容易になります。

他にも

浸水が予想される地域は事前の話し合いと
直前対策が大切!

 台風や豪雨などで浸水が予想される場合は、重要書類や数日分の衣類、高価な家電製品、畳などは住居の高い位置に移動を。自家用車はなるべく高台に移動して。コチラも参考に、重要なものはすぐ持ち出せるようにしましょう。また、急激な水位の増加により下水が逆流し、トイレや風呂場、洗濯機から水が吹き出ることも。ポリ袋に水を入れた「水のう」をトイレの中や排水口に置くと逆流を押さえる効果があります。平時から、ハザードマップの確認をし、警戒レベルに応じて早めの判断、行動ができるように家庭内で決めておくことが重要です。

※この記事内容は、執筆時点2023年8月1日のものです。

澁川 真希(しぶかわ まき)
整理収納アドバイザー。整理収納サービス「コンフォートスタイル」代表。2012年、仙台から東京へ転居。東日本大震災での自身の被災経験をもとに「減災整理セミナー」などを開催している。

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