災害時に断水…どうする?
「トイレ対策」をしておこう
日ごろ何不自由なく使用しているトイレですが、災害時においては断水等の影響で大きな問題になります。そんな時、慌てずに済むよう使用の際の注意点と、非常用トイレについて知っておきましょう。
断水時のトイレの使い方と注意事項
地震が起きて在宅避難をする際、断水や下水管の破損などがあるとトイレが使用できません。下水管に破損がある場合は汚物が詰まったり、階下のトイレがあふれたりしますので、使用に問題がないことが確認できるまでは、絶対に水は流さないこと!右を参照し、便座を活用した非常用トイレを使用しましょう。下水管に問題がなく排水できる場合は、バケツに水を汲んで便器に流し込むことで流すことが可能。和式便器の場合はレバーを押しながら水を勢いよく流し入れます。
非常用トイレを備え、使い方を確認しておこう
災害の際、仮設トイレが設置されるのは早くとも24時間後と言われています。必ず、各家庭でトイレの対策を。市販の非常用トイレには凝固剤をふりかけるタイプ、シートタイプ、段ボールで便器を作るタイプなどさまざまなものがあるので、各家庭で一度使い方や、使い勝手を試しておきましょう。消臭剤は重曹などを活用することも可能。また、仮設トイレを使用する時はトイレットペーパーも必要です。
自宅での非常用トイレの使い方
ゴミ袋と新聞紙などを利用した、自宅の便器での非常用トイレの使い方です。ポイントはゴミ袋を2枚(半透明と黒)使うこと。換気扇が動かない場合に備え、消臭剤・防臭袋や一時保管用の密閉容器も用意しておきましょう。
①便座を上げ、大きなゴミ袋(半透明)をかぶせたら、ふたたび便座を下げて固定します。底の水はそのままで。
②便座の中にゴミ袋(黒)※を広げて入れます。袋の大きさに余裕があれば便座の上からかぶせて。
※中身が見えないレジ袋などでもOK
③凝固剤、またはちぎった新聞紙、紙おむつなどを入れます。ペットシートを活用してもOK。
④用を足したら、上の袋(黒)を縛って別の袋にまとめ、消臭剤と一緒に保存。自治体の指示に従い処分を。
参考:『もしものときに役立つわが家の防災ハンドブック』(家の光協会発行:山村武彦 監修)
トイレは「健康維持」のために必要不可欠
災害時に水洗トイレが使えなくなると、トイレ環境が不衛生になってしまいます。排泄を我慢するために水分や食事を控えることで、栄養状態の悪化や脱水症状、エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)などを引き起こしてしまうことも。また、仮設トイレは和式便器が多く、和式に慣れない子どもや足腰の弱い高齢者、車いす使用の身体障がい者にとってはトイレの使用が困難に。トイレ対策を考えておくことは、健康と命を守ることに繋がるのです。
※この記事は、都道府県民共済グループ発行「命を守る防災ハンドブック」の抜粋です。
内容は、執筆時点2024年8月1日のものです。
澁川 真希(しぶかわ まき)
整理収納アドバイザー。整理収納サービス「コンフォートスタイル」代表。2012年、仙台から東京へ転居。東日本大震災での自身の被災経験をもとに「減災整理セミナー」などを開催している。