災害後に起こりうるトラブル
こんな時、どうしたらいい?

被災後は今までの暮らしが一変し、さまざまな問題が発生することもあります。場合によってはわが家が被害を受けるだけでなく、他人に損害を与えてしまう深刻な事態も。ここでは、災害後に想定されるトラブルと、その対策法についてご紹介していきます。

監修:

清水 香

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個人では解決しがたい
トラブルが生じたら

■ためらわず弁護士に相談を

 被災後に起こりうるトラブルはさまざまで、どれも暮らしに関わる深刻なものばかり。住まいを失い賃貸契約や不動産の問題が、家族の死亡で相続問題が、隣家に損害を与えて近隣トラブル…。これらはすべて法律が絡むトラブルです。個人で解決が難しいこれらの問題は、ためらわず弁護士など専門家へ相談を。

 被災後は、被災地の弁護士会のほか、日弁連のもとに全国の弁護士が協力して無料相談に取り組んでいます。近年は、裁判をせず話し合いで解決する震災ADR(裁判外紛争解決手続)が設置されることもあります。また各地にある「法テラス」は、市民の法的トラブルを解決する総合案内窓口です。被災者向け無料相談のほか、WEBによる情報提供が行われており、誰でも利用できます。

◆被災後のトラブルは弁護士に相談を

法テラス(日本司法支援センター)WEBサイトはコチラ

■税理士や不動産鑑定士にも相談できる

 税理士や不動産鑑定士などの専門家が無料相談会を催すこともあります。困ったときは遠慮せずに専門家に相談をして、解決に臨みましょう。

※日常生活のさまざまなトラブルについてはコチラを参照

災害で近隣住民に損害を
与えてしまったら

■過失が認められれば
 損害賠償責任が生じることも

 自宅が損壊するだけでなく、隣家に損害を与えることも考えられます。自然災害がきっかけで起きたことは、通常は民法上の損害賠償責任は問われませんが、住宅等の維持・管理等に重大な落ち度があるなど、自分の側に過失が認められれば、民法上の損害賠償責任が問われます。
 このとき「個人賠償責任保険」に加入していれば、被害者への損害賠償金をカバーすることが可能です。
 ただし、個人賠償責任保険には、地震免責事項が定められているため、地震・噴火・津波が原因の損害に対しての賠償には保険金が支払われません。トラブルが生じないように、平時から住宅のメンテナンスを欠かさないことがとても大切です。

所有する空き家が損害を
受けたら・与えたら

■空き家は公的支援を受けられない

 所有する家が空き家になると、防犯や景観面で周囲に悪影響を及ぼすことがあります。空き家は自然災害で損害を受けても、被災者生活再建支援制度などの公的支援は受けられません。さらに住宅用の火災保険ではなく、事務所や店舗用になるなど、一定の条件があったり、加入自体ができなかったりする場合もあります(火災共済は加入不可)。また、地震保険には加入することができません。やむを得ず空き家の所有を続ける場合には、何らかの対策を考えておく必要があります。

■「施設賠償責任保険」で補償可能

 自然災害で空き家が損壊、近隣の住宅に損害を及ぼしたときは、所有者が加入する個人賠償責任保険では対応できません。このとき空き家に「施設賠償責任保険」の契約をしていれば、隣家への損害賠償金をカバーできます。ただし地震・噴火・津波が原因の損害賠償は対象外となります。

※この記事内容は、執筆時点2021年8月2日のものです。

清水 香(しみず かおり)
1968年生まれ。FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表、株式会社生活設計塾クルー取締役。生活者向け相談業務のほか、執筆、講演など幅広く展開、TV出演も多数。財務省の地震保険関連の政府委員を歴任、自由が丘産能短期大学講師、日本災害復興学会会員。

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