継続しやすい食費節約術

ものだけでなく光熱費などの「値上げラッシュ」が家計を直撃しています。この終わりの見えない値上げから少しでも家計を守るための方法を3回のシリーズでご紹介します。第2回は、食品の値上げの影響をできるだけ少なくし、賢く乗り切るための「食費節約術」をご紹介します。

監修:

あき

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食費の値上げは家計への影響大
今日からできる節約術は?

【食費の節約術 その1】
まずは「1日100円の節約」から始めよう

 食費節約の第1歩は、「1日100円の節約」から始めてみましょう。野菜やお菓子を一つ買うのをやめると1日100円の節約ができて、1カ月3,000円程度食費が減らせます。1日100円を「このくらい大丈夫」と思わずに、日々の小さな節約を積み重ねていきましょう。これを続けていくことが大きな節約につながります。

【食費の節約術 その2】
「1日でいくら必要か」を把握する

 意外と「今日1日で食費はいくら必要か」が分かっていない人が多いようです。日々掛かっている食費の金額を把握しましょう。必要な額の目安が分かると、「今日は買い過ぎかなぁ」と意識することができるし、「食べ切れないものはないか」などの見直しができます。また、適正な食事量を心掛けることで、買い過ぎ、作り過ぎ、食べ過ぎを防げます。

 1日の目安額を知るには、ストック品は除いて、今日の夜と明日の朝までに食べるものだけを買ってみましょう。これが2,000円ですんだ人は、1日の食費の目安額は2,000円となります。
 すると、1日2,000円×7日間で1万4,000円が1週間の食費の予算となります。1週間に1度買い物に行く人は1万4,000円が予算となり、毎日行く人は2,000円を予算と考えましょう。1週間に使ったレシートの金額が1万4,000円より多いか少ないかを比べてみるとよく分かります。
 生協などの宅配を利用している場合は、1万4,000円分注文したらその週はスーパーで買い物をしない、生協で5,000円分注文したら、スーパーで9,000円使えるというふうに予算配分ができます。
 お米などの大きな出費は、これとは別に考え、1日の食費の目安額を2,000円とすると、1カ月は×30日で6万円。それにお米や箱買いしている水やお酒などで2万円程足して、約8万円を食費の予算と考えます。

【食費節約術 その3】
買い物は、冷蔵庫の整理整頓をしてから行く

 食費の節約には冷蔵庫の整理整頓が必要不可欠です。冷蔵庫がグチャグチャの状態だと、何があるのか把握できず、ムダ買いをしてしまうため、必ず食品の在庫を見てから買い物に行くことが大事になります。日ごろから在庫を把握しやすい冷蔵庫を保つよう心掛けましょう。

 生協やネットスーパーなどで食材を注文している場合は、注文したリストを冷蔵庫に貼ったり、ホワイトボードなどに書いておくと、ダブって買ってしまうことを防げます。余分に買うと、ムダにしたくないと作り過ぎたものを無理して食べてしまい、かえって体調不良につながることも。在庫を把握することは、余分な買い過ぎと食べ過ぎを防ぎ、食費と体に優しい行動にもなります。

 ストック品を買うときも必ず在庫を確認してからにしましょう。家にインスタントラーメンがあるのにさらに買ってしまったり、しょうゆの在庫があるのに「安かったから」とさらに在庫を増やすことをなくしましょう。

【食費節約術 その4】
スーパーでの買い物は2周以内に

 ムダな買い物をせず食費を抑えるには、メニューと買うものを決めてからスーパーに行くのが理想的です。しかし、1週間に1度まとめ買いをする場合など、難しい場合もあります。そのときの簡単な買い物方法は、とりあえず最初に店内を1周して、何を作るかを考えましょう。そしてメニューが浮かんだら、2周目に食材をかごに入れていきます。回る回数が多いほどカートにたくさん商品を入れてしまいます。「2周目までに終わらせる!」と決めておくことで余分な買い物を防げます。

 私は、通勤時間やすき間時間にメニューを考えて、スマホのLINEで自分に送っておくようにしています。そうすると、スーパーに行ってから考える時間を取られず、ムダな買い物をせずにすむんです。また、LINEの履歴も残っているので、前にどんなメニューを作ったかが分かり、参考になります。メニューを考えるのが苦手な人は、曜日で決めておくのもいいでしょう。たとえば、「子どもの習い事がある水曜日は、手早く作れるカレーかうどん」などとしておくとラクです。

 また、スーパーで買い物をするときは、カートを使わないことをおすすめします。カゴが重すぎて持てなくなったら、「これ以上は明日にしよう」と思うので、買い過ぎを防げます。子どもを乗せるためにカートが必要な人は、もちろん使ってください。その際は、「2周目までに終わらせる!」を思い出して、手早くすませるように心掛けましょう。

【食費節約術 その5】
旬の食材を「1週間で使い切れる量」買う

 旬の食材は、安く買えるうえ、量も多く栄養価も高いと、いいことずくめです。少し前に玉ねぎが高騰したことがありました。そのように高くなっている食材は使う量を半分にして、安く大量に買える食材で代用するようにします。メニューに絶対必要なものがある場合以外は、豊作で安い旬のものに入れ替えることで、全体の支出が抑えられます。
 特に果物は、出始めの時期は値段が高く、旬になると安くなります。ブロッコリーなどの野菜も、生と冷凍ではどちらが安いかを比べて、そのときどきの判断で買うといいでしょう。

 ただし、袋買いする場合は、上手に使い切れる量かどうかを判断してから買いましょう。安いからと買い過ぎてもムダにしてしまいます。適切な量ならバラで買ってもOKです。野菜でも肉でも、「1週間で使い切れる量」を買い物の目安にしましょう。

【食費節約術 その6】
比較的値上がりしていない商品を買う

 最近は、見た目のパッケージや価格は変わらないのに、実は内容量が減っている「ステルス値上げ」も多く見受けられ、何がどう値上がりしているのか分かりにくくなっています。そのあたりも考慮しながら、比較的価格が落ち着いているものを選んで購入しましょう。主食となるお米やお餅はそれほど値上がりしていない食材ですが、小麦粉の影響でパンは単価が上がっています。値上がり幅が少ないものを選んで買うと、家計への影響は小さくなります。

 また、同じ食品を買うときでも、有名メーカーのものをプライベートブランドの商品にしてみると価格を抑えられます。お店によって得意なプライベートブランドの商品があるので、その店が得意なプライベートブランド商品を買うようにするといいでしょう。たとえば、Aスーパーは冷凍食品、Bスーパーはお酒やワインなど、それぞれに個性があります。インターネットで、「スーパー名」と「おすすめプライベートブランド商品」と入れて検索すると、さまざまな情報が出てくるので、参考に。

【食費節約術 その7】
肉や魚は「少量パック」より「大容量パック」

 これまでは、肉や魚は使い切れる少量パックをおすすめしていましたが、これだけ値上がりが激しいと、2~3日で使い切れる量なら、大容量パックでもいいでしょう。大容量パックを2~3回に分けて使うと、1回あたりの単価が下がり、値上げの影響を小さくすることができます。肉・魚は食材に占める金額のウエイトが高いため、この部分をいくらか減らせると楽になります。

 冷凍保存すると鮮度が落ちるし、使い忘れてしまったりするから、新鮮なうちに使い切れる2~3回分が目安になります。冷凍保存をしたい場合は、生で冷凍するのではなく、調理した状態のものを保存するほうが、その後の調理もしやすくなります。たとえば、ひき肉を多めに買ったら、炒めて味付けてそぼろにして冷凍しておけば、さまざまなメニューにアレンジして使えます。

食費節約術 その8
定番使い切りメニューでフードロスを出さない

 買った食材や作った料理を食べずに捨ててしまうことがないように心掛けることも大事です。残りやすい食材ごとにいくつか定番の使い切りメニューを持っておくといいでしょう。たとえば、残ったキャベツはスープにする、じゃがいもや玉ねぎは肉じゃがを作って最後はカレーにする、白菜は中華丼にするなど。特に大物野菜や袋入り野菜は、定番メニューをルーティーンにして、あまり考えなくても使い切れるようにしましょう。

食費節約術 その9
スーパーの特徴によって買い分けをする

 スーパーによって安くなっているものが違います。一つのお店ですべての食材を買うのではなく、それぞれの特徴を把握して、より安い方で納得できる買い物をしましょう。ただし、1日に数店舗も行くと、結局余計なものを買ってしまいます。1日1店舗限定とし、お店ごとに曜日を決めて行くように計画しましょう。どの店に何曜日に行くかは、特売日やポイント2倍デーなどで決めることをおすすめします。

 1週間分まとめ買いをする場合は、ネットスーパーや生協で1週間の予算を1万円、1万5,000円などと決めて注文すると、週ごとの食費の金額のムラを減らせます。注文するときのポイントは、メニューは5日分くらい頼んで、少なめにすること。最後の1~2日は残っている食材で何とかする日をつくると、うまく食べ切れます。「足りなかったらどうしよう」と思って多めに頼んでしまいがちなので、少なめの注文を心掛けて。

まとめ

 お店を分けて買ってみてお得感があれば、続けてもいいですが、それほど変わりなければ、いつものスーパーだけに絞ってもいいでしょう。買い回りができない人は無理にやらなくていいです。食費の節約に向いていない人は、ほかの部分で削れればいいと考えましょう。忙しくて買い物に気を配れない場合や、食べるものの質や量を落としたくない人など、人によって生活スタイルや減らしたくないポイントが違うので、自分ができるところで節約をすればいいと思います。家計を総合的に見るバランスが大事です。

今回のポイント

・まずは1日100円の小さな節約から
・買い物の前に在庫確認を
・旬な食材を適量買う
・定番の使い切りメニューで買ったものをムダにしない

※この記事内容は、執筆時点2023年5月24日のものです。

あき
家計簿&家計管理アドバイザー。東京都在住。夫と子ども3人の5人家族。家計簿歴20年以上。1日1行つけるだけのオリジナル家計簿に変えて、わずか2年で約350万円以上の貯蓄に成功。家計簿のコツを紹介した「2年で350万円貯めた!ズボラ主婦の節約家計簿管理ブログ」は、テレビや雑誌で紹介された。『スマホでもできるあきのズボラ新家計簿』(秀和システム)など、著書多数。

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