もしも、障害が残ったら
公的年金が生活を支える?

不慮の事故や病気により、万一障害状態になって働けなくなったら…と、経済的な不安を感じる方もいるかもしれません。でも、そんなときは「公的年金制度」が生活の支えになるのをご存知でしたか?支給には一定のルールがあるので、まずは制度を知っておきましょう。

監修:

浅田 里花

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 思わぬ事故などで障がいが残ってしまうもしもが、人生のなかで考えられます。経済的な不安も生じますが、公的年金制度の「障害年金」が下支えとなります。

「障害基礎年金」は定額

 まずは、国民年金の基礎年金部分が担う「障害基礎年金」。病気やケガにより、法令で定められた障害等級表の1級・2級にあたる障がい状態になった場合、その障がいが続いている間支給されます。障がい状態と認定されるのは、初診日(障がいの原因となった病気・ケガで初めて医師の診療を受けた日)から1年6カ月経過したときに障がい状態にあるか、60歳以降65歳になるまでの間に障がい状態となったとき。身体だけでなく精神の障がいも対象です。もしもの場合は障害年金の支給対象となるかどうか、年金事務所か「街角の年金相談センター」で相談しましょう。

■障害基礎年金額

 年金額は年度ごとに改定されますが、2023年度は右表のとおり。たとえば、障害等級1級の状態となった人に加算対象となる子どもが2人いる場合、99万3,750円に子の加算額22万8,700円×2がプラスされます。

■障害基礎年金の保険料納付要件

 障害基礎年金を受けるためには、初診日の前日において、次のいずれかの保険料納付要件を満たしていることが必要です。①初診日のある月の前々月までの公的年金加入期間に2/3以上の加入期間(保険料免除期間を含む)があること、②初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。自営業者など国民年金第1号被保険者の中には、どうせ将来の年金はもらえないからと、国民年金の保険料を滞納しているケースが見受けられますが、障害基礎年金の権利がなくなってしまいます。保険料支払いが厳しいなら、免除申請手続きが急務です。

上乗せの「障害厚生年金」

 厚生年金加入者は、障害基礎年金に上乗せして「障害厚生年金」が支給されます。障害厚生年金には、2級より軽い障がい状態の場合の3級もあります。また、初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障がいが残った場合には、障害手当金(一時金)が支給されます。

■障害厚生年金額

 年金額はもらっていた給料の額により違いますが、遺族厚生年金と同様、「ねんきん定期便」の①「これまでの加入実績に応じた老齢厚生年金額」と②「これまでの年金加入期間」をチェックし、計算することができます。たとえば、加入月数300月(25年)未満の人が1級に認定された場合、「①×300月÷②×1.25 (+配偶者の加算額)」と計算します。300月は最低保障なので、300月以上の加入期間があれば、「①×1.25」となります。

※記事内容は、執筆時点2023年8月1日のものです。

浅田 里花(あさだ りか)
ファイナンシャルプランナー、株式会社生活設計塾クルー取締役。コンサルティングや新聞・雑誌などへの原稿執筆、セミナー講師を行う。東洋大学社会学部の非常勤講師としても活躍。代表的な著書に『Q&Aで学ぶライフプラン別営業術』(近代セールス社)など。

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