ふたり親世帯も給付対象
低所得の子育て世帯向け支援策

新型コロナウイルス感染症による家計への影響が長期化しています。低所得の子育て世帯が食事にも事欠くという深刻な事態も発生していることから、このほど低所得の子育て世帯に向け「子育て世帯生活支援特別給付金」が給付されることになりました。
今回の給付金は低所得のひとり親世帯のほか、ふたり親世帯も対象になります。受給にあたり申請が必要になる場合もありますので、くわしく説明します。

監修:

清水 香

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ふたり親にも給付あり
「低所得の子育て世帯生活支援特別給付金」

 今回新設された「子育て世帯生活支援特別給付金」は、低所得の子育て世帯に、児童ひとりあたり一律5万円を支給するものです。児童とは今年度末(2022年3月31日)時点で18歳以下、すなわち高校卒業までの子どもをいいます。一定の障害がある場合は、20歳未満の子どもが対象です。給付金を受けられるのは、以下の世帯です。

(1)児童扶養手当を受給している世帯

 2021年4月分の児童扶養手当が支給された世帯は、申請不要で給付金を受け取れます。
児童扶養手当は、18歳年度末までの子どもがいる低所得のひとり親に支給される手当です。子どもの数に応じて定められた収入基準額以内(子どもひとりの場合、365万円)の世帯に支給されます。
 特別給付金の支給スケジュールは自治体で異なりますが、厚生労働省は可能な限り、5月末までに、児童扶養手当受給世帯に支給するとしています。

(2)公的年金を受給し、児童扶養手当を受けていない世帯

 公的年金等(遺族年金や障害年金、老齢年金、労災年金や遺族補償)を受給し、児童扶養手当を受けていない世帯も給付対象です。2020年度に「ひとり親世帯臨時特別給付金」を受給した世帯には申請書が送付されるため、それをもって申請します。申請書が送付されない場合、自ら支給申請を行う必要があります。

(3)新型コロナウイルス感染症の影響などで家計が急変した世帯

 新型コロナウイルスの影響で家計が急変して、直近の収入が児童扶養手当の受給者と同水準になった世帯も対象です。(2)のケースと同様、2020年度に「ひとり親世帯臨時特別給付金」を受給した世帯には申請書が送付されますが、それ以外の世帯は自ら支給申請が必要です。

(4)低所得のふたり親世帯

 住民税非課税のふたり親世帯も、給付金の支給対象になります。
 対象世帯の把握方法や支給方法については現在自治体と調整中で、近く手続き方法などが明らかにされる見込み(2021年4月末現在)。詳細が決まり次第、お住まいの市区町村のウェブサイトや広報誌に掲載されますので、必ず確認しましょう。

問い合わせ先:
・厚生労働省コールセンター(児童扶養手当受給者等(低所得のひとり親世帯)について)
 電話 0120-400-903 平日 9:00~18:00
・お住まいの市区町村「子育て世帯生活支援特別給付金」窓口

職業訓練で月10万円給付、住宅支援資金貸付も
「ひとり親自立促進パッケージ」

 コロナ禍でとりわけ厳しい状況におかれているのが非正規雇用のひとり親世帯。こうした世帯に向け、新たな支援策も策定されています。「ひとり親自立促進パッケージ」がそれで、安定就労を通じた長期的な自立支援、住居確保支援を目的に、以下の2つの柱で支援が展開されます。

 高等職業訓練促進給付金は従来制度が緩和され、使いやすくなっています。対象となる資格は看護師や准看護師、保育士や調理師等の国家資格のほか、webクリエイター、農業関係の資格など雇用保険制度の教育訓練給付の一定の対象講座も含め、6か月以上の訓練を通常必要とする民間資格も対象となっています(2021年度限りの時限措置)。

問い合わせ先:お住まいの都道府県、指定都市の場合は市役所

※この記事内容は、執筆時点2021年4月30日のものです。

清水 香(しみず かおり)
1968年生まれ。FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表、株式会社生活設計塾クルー取締役。生活者向け相談業務のほか、執筆、講演など幅広く展開、TV出演も多数。財務省の地震保険関連の政府委員を歴任、自由が丘産能短期大学講師、日本災害復興学会会員。

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