ウイルスはここにいる!
おうちの危険箇所対策

今回から全4回でお届けするシリーズ「おうちのウイルス対策‐命を守る掃除術‐」。医療環境管理士として病院の清掃に30年以上従事してきたエキスパート松本忠男氏に、新型コロナウイルス感染予防につながる家の掃除を指南していただきます。第1回は「ウイルスはここにいる!おうちの危険箇所対策」をテーマに、掃除の基本を教えていただきます。

監修:

松本 忠男

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見た目を綺麗にする掃除と
ウイルス対策の違い

 「掃除」と聞くと、大半の人は見た目をきれいにすることをイメージするでしょう。しかし、きれいさ=「目に見える汚れ」はわずか2%。残りの98%は「目に見えない汚れ」なのです。いくら見た目にこだわっても、実際には汚れが減っていないということは、往々にして起こりがちです。今回、パンデミックを引き起こした新型コロナウイルスも、もちろんこの目に見えない汚れの一つです。

 では見えない汚れをどう落としていけばよいのでしょうか。できることなら家中を掃除してピカピカにしたい。こう考える人もいるでしょう。しかし、日々外からウイルスが侵入しているかもしれない中、年末の大掃除のようなことが日常的にできるわけではありません。大切なのは、「危険箇所」を特定し、現実的な労力でリスクを減らしていくことです。

細菌とウイルスの違いは?

 そもそも細菌とウイルスは、似て非なるものです。その違いは単体で生きることができるかどうか。細菌は細胞を持ち、栄養や水などの条件がそろえば増殖していきます。キッチンなどの水回りはこうした環境に適しており、梅雨時期の食中毒の原因になりがちです。
 一方ウイルスが生存、増殖するのは、生物の体内にある時だけです。例えばドアノブに付着したからといって、そのドアノブの上でいつまでも生きていく(活性化)こと、増えていくことはありません。とはいえ、すぐに死滅(不活化)するわけでもなく新型コロナウイルスの場合、3日程度生存するといわれています。

「食卓」「ティッシュ箱」など
飛沫が付着しやすい所が危険!

 新型コロナウイルスの感染経路で最も注意が必要なのは、飛沫感染です。飛沫感染とは、ウイルスを含む咳やくしゃみなどが原因の感染で、その飛距離は1m~2mほどです。ソーシャルディスタンスの2m離れましょうというのは、これが根拠です。
 そして、家の中の飛沫で汚染されやすい場所が、注意すべき危険箇所と言えます。その代表的な場所は、テーブル(食卓)の上です。

 食卓は食事や会話を楽しんだりする場所なので、最も飛沫が付着している上に触れる機会も多く、飛沫感染が最も起きやすい環境と言えます。
 またティッシュ箱の周辺も危険箇所です。口や鼻を拭った際、ウイルスはティッシュの繊維の間を簡単にすり抜けます。その汚れた手で箱を移動させたりすることで、ウイルスが付着しやすくなるのです。ティッシュ箱はテーブルの上に置かれていることも多く、危険な要素が重なり合っています。

 では、ドアノブ、照明のスイッチ、リモコンなどはどうなのでしょう。ウイルスが付着した手で、ドアノブに触れたとします。そのドアノブを別の誰かが触って、その手で目や鼻や口などを触って起こる感染を接触感染と呼びます。もちろん感染の危険性はありますが、極端に頻繁に触ったり、ずっと握り続けていたりすることがなければ、新型コロナウイルスの場合、それほど危険性が高いとは言えません。むしろソファーで過ごす時間の長い人にとっては、そのソファーの手の置き場などのほうが、長時間触り続けているのでよっぽど危険です。

ウイルスは「ほこり」に付着
いきなり水拭きはNG!

 前提として、ウイルスは通常、ホコリに付着していることがほとんどです。このホコリを取り除くことで、かなりのウイルス量を減らすことができます。
 そこでまず行ってほしいのが「一方向の乾拭き」です。同じところを何度もこするように往復拭きする方も多くいらっしゃいますが、これではウイルスが左右に行ったり来たりするだけで、減らすことができません。また最も良くないのが、いきなり水拭きをすることです。ウイルスを含んだホコリを水分で塗り広げてしまいますので、逆効果になってしまいます。

 ウイルス対策として、掃除の基本は、「乾拭き」です。これを危険箇所に絞って行うだけで、かなりのリスクが軽減できます。まとめて徹底的にやろうとするのではなく、毎日少しずつでも続けていくことが大切です。まずはテーブルの「一方向の乾拭き」から始めてみましょう。

<今回のポイント>

・テーブルの上、テッシュ箱の周辺が危険箇所
・いきなり水拭きはNG
・一方向の乾拭きでウイルスは減らせる
・毎日行うことが大切

■併せてこちらもご覧ください:「うがい、いきなりガラガラ~はNG まずは手洗いと口ゆすぎを」

※この記事内容は、執筆時点2020年6月11日のものです。