お得な「子育て支援パスポート」を活用しよう

少子化対策の一環として、全国の自治体が子育て世帯を支援するための制度をさまざま用意しています。その中の「子育て支援パスポート事業」は、手軽でお得に利用できるので子育て中の人ならぜひ活用したい事業です。その概要を確認しておきましょう。
子育て支援パスポート事業とは?
「子育て支援パスポート事業」は、子育て世帯にやさしい社会を実現するため、国と地方自治体、そして子育て応援に協賛する企業や店舗が連携し、子育て世帯の経済的負担を軽減するための事業です。
地方自治体が発行する専用パスポートを協賛店舗で提示することで、さまざまなサービスや特典を受けることができます。サービスや特典は、都道府県や協賛店舗などで異なります。
具体的には、商品代金やサービス利用料の割引、商品券の配布などの優遇が受けられたり、子育て中の家計をサポートする内容となっています。
当初は、居住地の都道府県内での利用に限定されていましたが、2017年4月から、全国の都道府県で相互利用が可能となっています。日常の買い物はもちろんのこと、旅行や帰省などのときにも活用できます。

子育て支援パスポートの対象世帯と入手方法は?
子育て支援パスポート事業の対象は自治体により異なりますが、18歳未満(または18歳以下)の子どもがいる世帯としている都道府県が多く、中には小学生以下、中学生以下としているところもあります。また、妊婦でもパスポートを発行してもらえる都道府県も多数あります。
また、全国共通ではありませんが、多子世帯(子どもが3人以上の世帯)向けサービスを独自に実施している自治体や企業もあります。通常のパスポート事業のサービスよりもさらに割引幅が増えるなど、より手厚いサービスが受けられます。
子育て支援パスポートを入手・利用するには、居住地の都道府県に利用登録する必要があります。登録方法は、スマートフォンやパソコンからのオンライン登録、往復はがきなどでの郵送登録、担当窓口での配布などさまざまです。また、母子手帳交付時などに自動的に交付される場合もあるようです。
パスポートの形態は都道府県によって異なり、紙版の「カード・クーポン券」、デジタル版の「スマートフォンの画面」などがあります。また、カードなどはなく、サービスを提供する店舗が、目視で子育て家庭を確認する方法を採用している場合もあります。
これから利用申請しようという方は、まず居住地の担当窓口やホームページなどで、対象となる世帯や利用条件、必要書類(母子手帳など、子どもがいることを証明するもの)を確認してみてください。
パスポートを使える場所の探し方は?
子育て支援パスポートは、協賛する店舗や施設で利用できます。利用できる場所には、一般的には都道府県によって決められたステッカーやポスターが掲示されています。
また、居住地だけではなく、他の都道府県で共通して利用できる店舗には、下記のようなロゴマークの入ったステッカーやポスターなどが掲示されていますので、目印として覚えてきましょう。

お出かけの前には、目的地の近くに協賛店舗がないかを確認すれば、思わぬ割引やサービスを受けられるかもしれません。協賛店舗を探すには、こども家庭庁のウェブサイトに各都道府県へのリンクがありますので、検索してみてください。
パスポート活用のイメージは?
子育て支援パスポートで利用できるサービスは、大きく分けると「乳幼児を連れた外出時のサポート」と「お得なサービス・商品代や飲食代などの割引」の2つです。
乳幼児のいる家庭では、外出時には何かと荷物が増えることや、おむつ交換などの必要から、目的地にサポートサービスがあるかどうかは気になるポイントではないでしょうか。
子育て支援パスポートを活用すれば、乳幼児連れでの外出をサポートするための、「おむつの交換や授乳場所の提供」や「ベビーカーでの入店」などのサービスが受けられます。
また、飲食店やレジャー施設の割引はもちろんですが、習い事の入会金無料、ローン金利の優遇など幅広い特典を受けることができます。利用できるものがあれば、家計にとっては大きな恩恵となりますね。
なお、下表に挙げたサービス内容は、子育て支援パスポートがなくても、店舗や施設によってはサービスを受けられる可能性はあります。とはいえ、子育て支援パスポートを提示することで、優先的にサービスを受けられる可能性はありますので、外出の際には忘れずにパスポートを持参するようにしましょう。

■サービスを利用するときの注意点は?
協賛する店舗や施設で利用する際には気をつけたい点があります。店舗などによっては、子どもの同伴が必要な場合と、大人だけでもパスポートの提示で利用できる場合があり、店舗や施設によって利用時の確認が行われます。
また、全国共通展開してはいますが、都道府県によって子どもの対象年齢は異なるため、居住地ではパスポートが使えても、他の都道府県では利用できないこともあります。旅行や帰省先で利用したい場合は、事前に確認しておきましょう。
■お得だからと使いすぎないことも大切
子育て支援パスポートは、子育て中の家庭にとってはとてもお得なアイテムです。日常の買い物や飲食、レジャー、子どもの習い事など、さまざまな場面で活用することにより、家計の節約や子育て費用の負担軽減につながります。
まだパスポートを取得していない子育て中の方は、この機会にぜひパスポートを取得し、積極的に活用しましょう。小さな節約かもしれませんが、日々の生活の中で少しずつでも節約できることは、長期的に見ると大きな助けになります。
そして大事なことは、お得だからと使いすぎないこと。あくまでも必要なものやサービスに利用するのが基本です。パスポートで家計が節約できた分は、貯蓄を上乗せするなどで、将来の子供のための資金として確保するようにしましょう。
※この記事内容は、執筆時点2025年3月12日のものです。
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
ファイナンシャルプランナー。FPライフレックス代表
(ウェブサイト https://www.fpliflex.com/)
住宅購入・老後資金準備・保険見直し相談など、ライフプランニングをベースにした家計全般へのアドバイザーとして活動中。金融機関でのセミナー・研修講師、書籍・雑誌、webでの執筆業務も行う。主な著者に「災害に備えるライフプランニング」(近代セールス社)、「老後のお金安心ガイド」「最新保険ランキング」(イースト・プレス)など。