意外とまちがっている?
チャイルドシートの正しい使い方

お子さまを車に乗せる場合に着用が義務づけられている「チャイルドシート」。当たり前のものとして使われている一方で、実は正しく使われていないケースも少なくありません。お子さまの生死にも関わるリスクを回避するためにも、あらためてチャイルドシートの正しい使い方を知っておきましょう。

使いさえすれば安心、
ではありません

■半数以上が正しく使われていない

 2000年4月の法改正により、6歳未満の子どもを乗車させる際にはチャイルドシートを使用することが義務化されました。
 以来、20年以上経ちましたが、警察庁とJAF(日本自動車連盟)の令和元年6月の調査によると、全国平均の使用率は70.5%。前年と比べて4.3ポイント上昇と使用率は上昇傾向にある一方で、「取付け状況」「着座状況」の調査では、チャイルドシートが“正しく使われていない”ケースが多いことが分かりました。
 適切な取付けができていた割合は47.6%、適切に着座させることができていた割合は42.2%と、半数以上が誤った使い方だったのです。

■致死率は約8倍のリスク

 警察庁調べによると、自動車同乗中のチャイルドシート使用有無による致死率は、8倍以上の大きな差があらわれました。いかにチャイルドシートが6歳未満の幼児を守るために重要かがうかがえます。

 また、チャイルドシートを使用していても、車両への取付け固定が不十分だったり、正しく座らせていなかった場合には、交通事故時にチャイルドシートがシートベルトから分離してしまったり、幼児がチャイルドシートから飛び出してしまうなど、本来の機能が発揮できない場合があります。
 お子さまの命を守るために、チャイルドシートは「正しく使う」ことが必要不可欠です。

よくあるNG例と
正しい使い方

■よくあるNG例❶:
運転席からよく見える「助手席」に設置

 設置位置に関して、正解は「運転席の後ろ」が比較的安全だとされています。これは万が一事故にあったとき、とっさに自分を守ろうとハンドルを切る運転者心理から考えられるものです。運転席の次に座席が損傷する可能性が低いとされています。また、左折時よりも右折時の事故件数が多いことから、車の右側部分の運転席の後ろは、損傷の可能性が低いといえるでしょう。

 親子2人の際は心理的に助手席にチャイルドシートを設置したくなりますが、これは避けるようにしましょう。事故の際に膨張するエアバッグは成人の体型を前提に設計されているため、お子さまにはリスクとなる場合があります。チャイルドシートは、できれば運転席の後ろに、それが難しい場合は助手席の後ろへの設置を心掛けましょう。

■よくあるNG例❷:
進行方向に向かって設置する

 1歳くらいまでの時期であれば、進行方向に対して後ろ向きに設置するようにしましょう。これは、衝撃が背中で分散されることで、身体への負担を抑えることができるからです。新生児で首がすわるまでは水平から45度くらいの角度で設置することが、日本小児科学会より推奨されています。お子さまが体重が10kgを越えたのを目安に、前向きで使用するようにしましょう。

■よくあるNG例❸:
腰ベルトの締付け不足

 腰ベルトの締付け不足に関しては、先の警察庁とJAFの調査結果の中でも、誤った使い方の大半を占めるものです。チャイルドシートを座席に固定するシートベルトが緩いままだと、車が衝撃を受けた際にシートごと飛び出す危険があります。大人の指2本が入る程度を目安に、窮屈になりすぎず、かつしっかり締付けられていることを確認して使用しましょう。

■よくあるNG例❹:
リクライニングの倒し過ぎ

 特に4歳頃~10歳頃までのお子様向けのジュニアシートを使うときは、リクライニングの倒し過ぎに注意。長時間の乗車で疲れて眠いときや、傾けたほうが好きなお子さまの場合など、わが子の都合に合わせたくなる場合もあるかと思います。ですが、リクライニングを極端に倒したまま使うと、シートベルトを正しい位置に装着することができなくなってしまうリスクが生じます。
 使用するシートの取扱説明書をよく読み、それぞれの記載に準じて正しく装着させることがポイントです。

年齢別チャイルドシートの
種類と選び方

 最後に0~11歳までで年齢別に適したチャイルドシートの選び方と、サイズ選びの目安を紹介します。ぜひ下図を参考にしてください。

■乳児用

 推奨年齢は上図のとおりですが、年齢よりも体格で選ぶことが大切です。お子さまの成長に合わせて、幼児用への変更も検討しましょう。
 国の安全基準をクリアした「Eマーク」が付いた商品なら、いずれも頭や身体をしっかり固定できるので安心です。取付けが簡単なISOFIXを採用したシートや、お子さまが成長してからも使える幼児用兼用を選ぶのもいいでしょう。

■幼児用

 乗り降りのしやすさと快適性で選びましょう。幼児用は固定式と回転式の2種類の座面があります。回転式のメリットは、お子さまを乗せたり降ろしたりしやすいことです。ただし、固定式よりもサイズが大きく、値段も高いものが多いです。
 長時間の乗車でもメッシュ素材やクッション性の高いタイプなら快適ですし、取外して丸洗いできるタイプなら汚しても安心です。
 幼児用のハーネスがきつくなったら、年齢を問わず学童用に切り替えましょう。

■学童用

 4歳以降の年齢になると身体の固定は車のシートベルトを使いますが、背の高さが不足することから、それを補うために学童用が推奨されます。身長が120cm前後の場合、背もたれとヘッドレストがあるタイプにすると安全を確保できます。身長が140cmを超えるまでは、シーベルトの位置を適正にすることができるブースターシート(学童用の背もたれがない、座面のみのシート)がおすすめです。

参考:警察庁チャイルドシート使用状況全国調査(2019年 警察庁・JAF合同調査)
国土交通省ウェブサイト チャイルドシートの種類
JAF「はじめてのチャイルドシートクイックガイド」

※この記事内容は、執筆時点2021年11月16日のものです。

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