被害をできるだけ小さく
災害別「減災」のすすめ vol.5

ある日突然、何の前ぶれもなくやってくる自然災害。その規模を事前に知ることは困難であり、私たちの日常の脅威となり得るものです。そこで知っておきたいのが、災害による被害をできるだけ小さくするための取り組み=「減災」。ここでは、内閣府(防災担当)が作成しているリーフレット「みんなで減災」に掲載されている内容を災害別にご紹介していきます。シリーズでご紹介する減災対策の第5回目は「地震」への備え(後編)です。

あなたのお家の耐震性は大丈夫?

 1981年(昭和56年)に、住宅を建てる際に建物の強さを定める基準が大きく変わりました。この1981年以降に建てられているかどうかが、自分の家の強さを知る一つの目安になります。それ以前に建てられた家に住んでいる場合は、必ず専門家の耐震診断を受けましょう。
 また、1981年以降に建てられた住居でも、建物が壊れる危険性がまったくないわけではありません。年月の経過とともに住宅も変化します。定期的に点検・整備を行うようにしましょう。

耐震診断・耐震改修を
実施するには?

 耐震改修工事の費用負担が大きいと感じて、工事を先送りにされる方もいるのではないでしょうか。しかし、耐震改修は家の一部だけ(例えば寝室やリビングなど)でも実施しておくと、その空間の安全を守ることができ、費用もおさえられます。
 また、多くの都道府県や市区町村では、耐震診断を行う会社の紹介や、耐震診断・耐震改修工事の費用の助成などをしています。
 まずはお住まいの市区町村の防災担当課や住宅建築課などに問い合わせてみましょう。

経済的な備えも大切

 耐震性が十分な建物でも、大地震が発生したり、隣接する建物の倒壊に巻き込まれたり、火災が起こったりなどで、被害を受ける可能性はゼロではありません。
 万が一、被災した場合の住宅再建・補修、生活再建には資金が必要です。地震保険や地震の時に支払いが受けられる共済への加入など、経済的な備えについても、ご家族やマンションの自治会などで話し合っておきましょう。

お部屋の「安全空間」は
作っていますか?

 阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などの大地震では、多くの方が倒れてきた家具の下敷きになって、大けがをしたり尊い命を失いました。
 住宅の耐震性が万全でも、安心は禁物です。大地震がきたら家具は必ず倒れてくるものと考え、日ごろから家具の固定や配置を見直すことで、住居内の「安全空間」を作っておきましょう。

家具の固定方法

■タンス

 ポール式器具はタンスの奥の方(壁側)で、天井や家具の硬いところに取り付けます。また、天井側だけでなく床の側もストッパーなどで固定し、上下に分かれている家具は連結しておきましょう。

■食器棚

 食器棚の本体はタンスと同じように金具などを用いて固定します。また、開き戸が開かないようにとめ金を付けたり、ガラス部分にガラス飛散防止フィルムをはったりして、ガラスや食器が凶器にならないよう工夫しましょう。

■本棚

 タンスと同じように、壁の中の硬いところや下地材のあるところを探して、金具やワイヤーなどで固定します。また、本棚の端の硬い部分にひもやベルトなどを取り付けて、中の本が飛び出さないようにしましょう。

■冷蔵庫

 主なメーカーの冷蔵庫の後ろ側の上部には、ベルトの取り付け口や取っ手があります。そこに転倒防止用ベルトを通して、ベルトの端を壁の下地材があるところに金具などで固定しましょう。

■電子レンジ・オーブン

 まずは電子レンジやオーブンを置いている台を、壁または床に固定します。その上で、電子レンジ・オーブンと台とを粘着マットやストラップなどを使って固定しましょう。

■テレビ・パソコン

 テレビの取扱説明書に転倒防止方法についての説明がある場合は、それに従いましょう。テレビをテレビ台に固定するには、粘着マットやストラップ式の固定器具などを使う方法があります。テレビを壁などに固定するには、ベルト式器具やヒートンとロープを組み合わせて使う方法があります。

家具を配置する際の注意点

■寝室や子ども部屋にはできるだけ家具を置かない

 寝室や子ども部屋などご家族やお子さまが長時間を過ごす部屋には、できるだけ家具を置かないようにするか、背の低い家具だけを置くようにして工夫をしましょう。

■家具の向きと配置を工夫する

 万が一家具が倒れてきた際に、寝ている人や座っている人に直撃したり、出入り口をふさいでしまったりしないように、家具の向きや配置を工夫しましょう。

参考:内閣府防災情報のページ「みんなで減災(減災啓発ツール)」

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※この記事内容は、執筆時点2020年12月2日のものです。

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