将来の災害に備えて
わが家の耐震診断

首都直下型地震、富士山の噴火に伴う地震…。世界有数の地震国である日本では、今後も大きな地震が起きると研究機関や学会などで予測されています。まずは、ご自身が暮らす家の耐震性をチェックし、アクションを起こしましょう。

監修:

和田 章

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耐震性をチェックして
家族の命を守りましょう

 日常生活の中で、家の耐震を見直す機会はあまり多くないと思います。一方、各地で大きな地震が頻発しており、明日、被災しないとも限りません。こうした状況下で、家の耐震性のチェックや補強はもはや他人事ではなく、行って然るべきアクションだと言えます。“家は家族の命を守る場所”という意識を持つことも大切です。家の耐震性が低く、地震に脆もろい構造であれば、倒壊によって一瞬にして自分の、あるいは家族の命が奪われてしまいます。そうした危機感を持って、先延ばしせずにアクションを起こす手助けとなるよう、チェックポイントを解説していきます。

①1981年5月以前に建てられた木造建築である

 1981年6月の建築基準法の改正に伴い、必要な壁の量や軸組みが変更され、耐震基準が強化されました。1981年5月以前の建物で、鉄筋コンクリートよりも耐震性の低い木造建築である場合、注意が必要です。事実、阪神淡路大震災において、1981年以降に建てられた建物の被害が少なかったことが報告されています。

②以前、海や川、沼、水田や畑だった地盤に建っている

 堅牢な耐震設計がなされていても、海や川、沼、水田や畑を埋め立てた土地に建てられた建物は、地震の影響を受けやすい傾向にあります。国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトから、お住まいの市町村が公表している地震防災・危険度マップにアクセスし、地盤の揺れやすさや建物全壊率などをチェックしましょう。2016年6月現在、地震防災・危険度マップでは754の市町村がデータをインターネット公開。印刷物で公表している市町村は1085にのぼりますので、サイト上にデータが公表されていない場合は各自治体に問い合わせましょう。

③これまでに大きな災害に見舞われたことがある

 大地震はもちろん、床下浸水、床上浸水、火災、崖下隣地の崩落などに遭い、わずかな修復だけで現在に至る場合、目に見えない部分で建物へのダメージが蓄積している可能性があります。

④過去に2回以上、増築を行っている

 増築時に壁や柱の一部を撤去したり、既存部の適切な補修・改修、増築部との接合を行っていなかったりすると、建物の強度が低下してしまいます。

⑤壁のヒビ、柱や床の傾きなど、劣化箇所が目立つ

 外壁や基礎にヒビ割れはないか、柱や床が傾いていないか、屋根の棟(頂上部)や軒先が波打っていないかなどを確認しましょう。劣化箇所が認められる場合は危険な状態です。

⑥建物を真上から見るとL字形やコの字形になっている

 正方形や長方形など、整形の建物は地震に強いといえます。反対に、L字形やコの字形、凹凸があるなど、不整形な場合は比較的地震に弱いといえます。約91㎝以下の凹凸、出窓やバルコニーは除いてチェックしてみてください。

⑦1階部分に柱のない吹き抜けがある

 建物の形が整形に近い場合でも、一辺が4m以上の大きな吹き抜けがあると、地震時に建物を歪める恐れがあります。

⑧四隅の柱のみで、内部に壁がない構造である

 四隅の柱以外に、内部にも柱があり、バランス良く壁が配置されていると地震の揺れを軽減します。東西方向・南北方向に、幅約91㎝以上の内外壁が何枚もバランス良くあると理想的です。

⑨1階と2階の壁面が一致していない

 1階と2階の壁面が一致していると、2階の地震力はスムーズに1階に流れます。集合住宅では1階部分が駐輪場や駐車場、広くて壁のない店舗になっているケースが多く、大地震時に床から壊れる危険性があります。

⑩和瓦・洋瓦など、比較的重い屋根葺材を使用している

 瓦は優れた屋根葺材ですが、やや重いため、それに応じた耐力が必要です。1階にバランス良く壁が配置されている場合はチェックの必要はありません。

 以上の項目で3個以上チェックが付いた建物に住んでいる方は、早めの耐震診断をおすすめします。耐震診断を行う際は、自治体の窓口に問い合わせ、助成制度を活用しましょう。
 最も大切なのは、耐震問題を他人事にせず、身近なものとしてとらえる意識です。地震による倒壊や火事は、自分の家だけでなく隣家にも被害を及ぼします。「わが家は大丈夫」「老い先短いから関係ない」という意識を捨て、早めに家の耐震性を見直してみましょう。

※この記事内容は、執筆時点2019年8月1日のものです。