災害時の安否確認
知っておきたい通信手段

災害直後は電話もつながりにくく平常時と通信状況が大きく変わります。いざという時、ご家族の安否確認や災害情報の収集が確実にできるよう役立つサービスを知っておきましょう。

監修:

畑山 満則

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災害時は電話以外での
連絡を心がけましょう

 地震や台風など、世界的に見ても自然災害が多い日本。大規模な災害が発生すると、多くの人が電話を利用して、大切な人の安否をいち早く確認しようとします。しかし、災害発生直後は電話回線のシステムダウンを防ぐために行われる通信規制によって、電話がつながらない可能性があるのです。

 実際に、東日本大震災発生時は電話の利用数が平常時の数十倍にも膨れ上がりました。通信会社は、「110」や「119」といった緊急電話を優先するために、最大で95%の通信規制を実施。そのため、固定電話や携帯電話がつながりにくい状況がしばらく続きました。
 一方、インターネットは、電話と別の通信方式(パケット通信)なので、東日本大震災でもほとんど通信規制はされませんでした。そのため、災害発生直後に誰かに連絡したい場合は、パケット通信がおすすめです。メールやLINEなど、普段利用している手段で構いません。むしろ、その方が操作に手間取らず安否確認が行えます。TwitterやFacebookなどのSNSに自分や家族の状況を投稿するのも有効です。

もしもの事態に備えて
知っておきたい通信サービス

 情報収集には、ラジオ放送が聞けるインターネットサービスが大いに役立ちます。特に「サイマルラジオ」というサービスは、コミュニティFMと呼ばれるローカル放送が聞けるため、その地域の避難所や支援物資などの情報が得られます。配信エリア外からも聞けるので、被災地から離れた場所に避難していても、現地の状況を知ることができます。

 これらのサービスを利用する上で知っておきたいのが、災害時の公衆Wi-Fi「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」です。契約している通信会社にかかわらず、パスワードなしで接続可能。無料で利用できるため、通信料を気にせずに安否のやり取りや情報収集を行えます。
 災害時は避難所などに多くの人が集まります。高齢者、子ども、外国人といったデジタル機器や日本語に不慣れな方に、災害時サービスの使い方や、サービスで得た情報を共有しましょう。

※この記事内容は、執筆時点2020年8月1日のものです。

畑山 満則(はたやま みちのり)
京都大学防災研究所巨大災害研究センター教授。災害時の情報通信技術やロボット技術を専門とし、行政や民間企業などと連携しながら研究を行う。東日本大震災では災害対応のためのシステム開発に携わるなど、支援活動にも積極的に参加している。

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