与える子育て、見守る子育て
どちらが良いの?

子育て真っ最中のすべての親にお届けする新シリーズ「なるほど!子育てメモ」。この連載では、これまで6000組の親子と面談してきた教育家の小川大介氏監修のもと、特に小学校低学年までのお子様をお持ちの親御さんに知ってもらいたい、子育てのヒントを紹介していきます。第1回目は子育てで意外と難しい「見守る」をテーマに紹介します。

監修:

小川 大介

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最近のお子さんの
口癖は何ですか?

 子育て中の皆さんから、次のような質問をいただくことがあります。「子どもに何をさせればよいか?」「どんな教材を与えるべきか」「どんな体験をさせるべきか」。そんな親御さんに「では、最近のお子さんの口癖は何ですか?」「朝起きて、最初にどんな行動をとっていますか?」「どんな遊びに熱中していますか?」といった質問で返すと、「えっ」という表情を浮かべたまま、考え込む方が少なくありません。

 メディアやSNSに情報が氾濫する現在、どの情報が正しいのか、どの情報が有益なのか、ひたすら答えを探し続けている親御さんは、間違いなく子どものために頑張っています。お子さんのことを思っています。しかし実は、目の前にいる、自分の子どものことをちゃんとは見えていない。与えるものばかりを見て、与えられる子ども自身からは目を離してしまっているのです。そんな親御さんにはこうアドバイスしています。「何を与えるべきかは、お子さまを観察していれば見えてきます」と。

見守るとは認めること
子どもの「好き」はすごい

 子どもの様子を見ていると、ある一つのことに気づきます。それは子どもの好みです。子どもの熱中する力はすごく、大人だったら飽きてしまうようなことを、何度も何度も繰り返します。この子ども自身が見つけた好きなものを、親は見守ってあげてほしいのです。そうすることで子どもは「自分が好きなものを親に認めてもらった!この好きなものをどんどん探求してもいいんだ!」と考えるようになります。そして勉強も、そのほかのことも、何でも前向きで意欲的になっていくのです。つまり見守るとは、子どもが興味を持ったこと、好きなことを認めてあげることなのです。

なぜ見守ることが
難しいのか

 しかし、見守ることができない親が最近増えているように感じます。その原因は、「与える子育て」にあると私は考えています。「与える子育て」とは、モノや体験を過剰に与えて、子どもを親が考える理想に当てはめようとする育て方です。
 もちろん、与えること自体は必要なことなのですが、それが過剰になってしまうと、子どもにとっては単に「押し付け」と感じてしまいます。わかりやすい例が習い事です。放課後のスケジュールをぎっしり埋め尽くし、それこそ1日に2つ、3つと入れているような方もいらっしゃいます。ではなぜこうも習い事をたくさんさせるのでしょう。そこには「万能な子どもに育てることで、学校でのあらゆる場面で失敗させない。恥ずかしい思いをさせない」という親心が働いているようです。

与える子育てでは
心のエネルギーが枯渇する

 こうした与える子育てを過剰に受けた子どもは、ある時から成績が伸び悩む場合が多いです。一方で、好きな習い事を1つだけしている子どもや、習い事をしていない子どものほうが驚くほど成績を伸ばすことがあります。この差は、心のエネルギーの差です。与える子育てを受けた子どもは、「学ぶ」ではなく「こなす」になりがちですし、忙しさのあまり、体験を自分のものにするために必要な「定着させる時間」も不足しがちで、あまり身についていないのです。そして心があまり動かなくなり、学習意欲にも大きく影響を及ぼしてしまうのです。

 もし「与えすぎていたなぁ」と感じていたら、ぜひ今日から「見守る子育て」を始めてみてください。きっと子どもの好きなことが見えてきます。それを認めてあげることが、子ども自身が育つ力を持つ第一歩なのです。

<子どもが育つ遊びメモ>

「身支度遊び」

対象:未就学児〜小学校低学年


 遊び方はとっても簡単。「タオル3枚とってきて~」「お洋服1枚持ってきて~」と子どもに身支度のお手伝いをしてもらう遊びです。大切なのは、持ってきた子どもに「ありがとう!」「上手だね!」と喜んであげること。子どもは親の笑顔が何より大好き!うれしくて知らず知らずのうちに、数を覚えるようになります。

※この記事内容は、執筆時点2020年10月30日のものです。

小川 大介(おがわ だいすけ)
教育家。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」(https://www.e-juken.jp)主任相談員。
京大法を卒業後、社会人プロ講師によるコーチング主体の中学受験専門個別指導塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。塾運営を後進に譲った後は、教育家として講演、人材育成、文筆業と多方面で活動している。6000回の面談で培った洞察力と的確な助言が評判。自らも「見守る子育て」を実践し、一人息子は電車の時刻表集めやアニメ「おじゃる丸」に熱中しながらも、中学受験で灘、開成、筑駒すべてに合格。
メディア取材も多く、『頭がいい子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)など著書多数。
You Tubeチャンネル:見守る子育て研究所

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