意外と難しい
子どもの褒め方

シリーズ「なるほど!子育てメモ」。前回は「叱り方」がテーマでしたが、4回目のテーマは「褒め方」です。最近では会社でも「褒めて伸ばす」ということがしきりに言われていますが、何でもかんでも褒めればよいということでもないようです。子どもは、どう褒めればよいのかについて紹介します。

監修:

小川 大介

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努力の先に喜びがある
…なんて思っていない

 子どもを見守っていると、「好き」「得意」が見えてきます。これを伸ばしていくために必要なのが「褒める」ことです。褒められることで、子どもはより積極的に継続して取り組むようになり、「好き」や「得意」がどんどん伸びていきます。では、子どもが「やってみよう!」と思えるのはどんなときでしょうか。

 大人の中には、この苦しみの先に、努力の先に、きっと喜びがある、成長がある、だから最初は我慢することも大切だ、という考え方に立つ人は少なくありません。例えば受験にしても、筋トレにしても、ある種の成功体験を持っている人がそうですね。また反対に、思うような成果を上げられなかった際に「努力不足だ」と指摘され、「苦しみの先に喜びがある」という考えを刷り込まれた人もいるでしょう。
 しかし、3歳児はどうでしょう?努力の先に〜などと考えるはずがありませんね。子どもは理屈では動きません。何かをやってみようと子どもの心が動くのは、「出来そう」「面白そう」など期待感があるときです。この期待感が多ければ多いほど、一歩を踏み出す機会が増えます。この期待感を生み出すのが「ポジティブなフィードバック」なのです。

出来ていないことより
出来ていることを

 例えば、お子さんが積み木で遊んでいるとします。高く積もうとしていますが、何度やっても4段目を積むときに崩れてしまいます。原因は、3段目の積み木が小さすぎること。こういうとき、どう関わるといいでしょうか。やりがちなのは、「3段目に大きな積み木を使わないから崩れるんだよ」と、出来なかったこと、足りていないことを指摘してしまうことです。親はアドバイスのつもりでよかれと思って伝えていますが、子どもの受けとめ方は違います。「出来なかった」ということだけが記憶に残ってしまうのです。
 ポジティブなフィードバックでは、出来たこと、頑張れたことを伝えてあげます。「3段目まで上手に詰めるようになったね」「何回も頑張って凄いね」。そうすると、子どもは「3段目までは詰めるようになった」「何回も頑張れた」ということを記憶するので、次に積み木をするときも「やってみたいな」と積極的に思えるのです。

褒めどころが
見つけられない

 褒めてあげたいけれど、何を褒めてよいかわからない。こんな悩みをお持ちの方も多いようです。そういう方は「褒めるのは何か特別なことが出来た時だけ」と決めてしまっているのですね。しかし子どもを褒めるポイントは、「ごく当たり前のことを褒める」というところにあります。例えば、ごはんが食べられた、食器を流し台に持って行けた、宿題が出来た。そんな日常の当たり前の一コマは、ついつい見過ごしがちです。また褒めるほどのことでないと考えがちですが、こういった小さな場面こそ「褒めチャンス」なのです。
 当たり前のことを褒めると、子どもは「また明日もやろう」という気持ちを持てます。行動を重ねるうちに習慣となり、当たり前のことが当たり前に出来る子に育ちます。そして、出来ることが増えていくことで自信が育ち、さらに大きなチャレンジが出来るようになるのです。

2種類ある
NGな褒め方

 このように褒めることは大事ですが、間違った褒め方には注意しないといけません。ポイントは2つ。1つは、他人と比較する褒め方。「〇〇くんより上手だね」という言い方は、周りとの比較に神経を尖らせ、自分より下の子を見下す子に育ってしまいます。比較して褒める言い方を自分はしがちだなと気づいたら、今すぐやめるように意識してください。
 もう1つは、本人が悔しがっていたり、納得していなかったりするときに褒めることです。試合に負けて悔しがっているときに、「今日は活躍していたよ」などと褒めると、却って傷つけてしまいます。ただ、親の本心として頑張っていたなと感じたのであれば、「負けたのは悔しいよね。でもママは、あなたが諦めずにボールを追いかけていたのは凄いなと思ったよ」と、「私は~思った」というI(アイ)メッセージで伝えるといいでしょう。これなら子どもを傷つけることなく、褒めたいという思いを届けられます。

 上手に褒めると、子どものやる気につながり、またチャレンジしようという心が育まれます。そして日常は褒めどころで満載です。ぜひ、今日から「褒めチャンス」を見つけていってください。

<子どもが育つ遊びメモ>

「とにかく高く積み上げ遊び」

対象:未就学児~小学校低学年


 積み木を使った単純明快な遊び。まずは複数の積み木を使って土台を作ります。そのあとは、とにかく高く積んでいきます。ポイントは、いつ崩れるかわからないスリルを味わうこと、またどう置けば崩れにくいかを考えたり、観察したりできること。「そっと置くと崩れなかった」「ゆっくり置いたけど一気に崩れた」。こんな体験から先を予測する力や、創意工夫する知恵が備わっていきます。

※この記事内容は、執筆時点2021年1月15日のものです。

小川 大介(おがわ だいすけ)
教育家。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」(https://www.e-juken.jp)主任相談員。
京大法を卒業後、社会人プロ講師によるコーチング主体の中学受験専門個別指導塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。塾運営を後進に譲った後は、教育家として講演、人材育成、文筆業と多方面で活動している。6000回の面談で培った洞察力と的確な助言が評判。自らも「見守る子育て」を実践し、一人息子は電車の時刻表集めやアニメ「おじゃる丸」に熱中しながらも、中学受験で灘、開成、筑駒すべてに合格。
メディア取材も多く、著書多数。最新刊『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)。
You Tubeチャンネル:見守る子育て研究所

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