災害時に命を守る
安全な避難方法とは?

被災した場合、状況によっては避難を強いられることも。その際、ただ避難場所に向かうだけでは安全とはいえません。命を守るために避難時の注意点を知っておきましょう。

監修:

高荷 智也

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一刻を争う避難のときは、荷物を軽くして
両手が使える状態にしておこう

 地震や火災、津波、浸水害など、一刻を争う避難の場合は、「荷物を多くしすぎない」こと!3日分の水・食料を背負うと10kgにもなります。この重さを背負って素早い行動は難しいため、まずは「最初の1日間」を乗り切る最小限の荷物ですみやかに移動することが大切。避難時は両手を空けるため、懐中電灯よりヘッドライト、傘よりレインコート、手下げバッグよりリュックサックなどがおすすめです。また、災害が収まり、避難所などで生活をするのであれば、荷物を持ってゆっくり移動してもOKです。

■ 自宅を離れるときは火災予防を入念に

 「電気火災」を防ぐため、停電になっても電気機器のスイッチを切り、プラグをコンセントから抜きましょう。避難で自宅を離れる場合も同様にし、ブレーカーも落としておきましょう。都市ガス・プロパンガスともに震度5以上で自動的に止まりますが、念のためガスの元栓も閉めておくこと。また、災害時には火事場泥棒が多発します。戸締まりはしっかりと。

もしも車で避難するなら……

■ 適した地域であれば使用もOK

 津波避難の際、車の使用に関してはさまざまな意見があります。住宅が少なく渋滞を起こす可能性が少ない道であり、歩行が困難な高齢者などを連れている場合は、車での避難が適している場合も。1993年の北海道南西沖地震のとき、奥尻島では車で避難しようとする人が渋滞を起こしてしまい、多くの人が津波の犠牲となりましたが、2011年の東日本大震災では車を使用したことで高台までたどり着けた事例も。自身のいる地域とルートを把握した上で判断を。乗り捨てる場合は道路をふさがないように車を寄せ、鍵も付けたまま移動すること。

地震直後のNG行動

■ 電気をつけたまま避難しない
  確認せずにブレーカーを上げない

 地震時の火災で一番多いのが電気設備機器による「電気火災」です。東日本大震災の際は、発生した火災の過半数が電気火災というデータも。停電から復旧した際、ストーブやドライヤーなど熱を発生するものや、傷ついた電気ケーブルへ急に通電されることで火災となります。避難時はブレーカーを落とし、戻す時は機器の安全を確認しながら通電を開始しましょう。

■ 火を使わない

 地震災害直後は粉じん、倒壊した家屋など燃えやすい物が多いため、火気厳禁です。消防車も来られない状況が多いため、とにかく火災を出さないことを心がけましょう。裸火を使わないようにし、ロウソクは使わないこと。火を使う場合はカセットコンロや石油ストーブなど、余震が生じた際にはすぐ消せるか自動消火機能がついた器具を、管理できる状況で使いましょう。

■ 1人で救出活動を行わない

 自分の身の安全が確保できたら、家族や隣近所の人々の安否確認を。しかし自力脱出困難者を見つけても、1人で救出するのは危険をともないます。自分だけで助けようとせず、大声で周囲の人に協力を求めましょう。

■ エレベーターで避難しない

 地震の場合、揺れが収まったあとにたとえエレベーターが動いていても、見えない部分の故障やその後の余震などで閉じ込められる恐れがあります。そのため、避難するとしてもエレベーターは絶対に使用しないこと。業者の点検が終わるまでは乗らないようにしましょう。万が一閉じ込められたら、非常用電話などで助けを求めましょう。

■ 水の中を歩かない

「浸水が始まっている場合は移動しないこと」が鉄則、特に長靴が浸水する深さの屋外移動は危険です。泥水により足元が見えないため、釘などの危険物を踏み抜いたり、蓋が開いたマンホールへの落下など多くの危険がともなうためです。また、急激に増水した水に足をとられ、流されてしまう危険も。

怖いのは、「群衆雪崩」による二次被害

 2001年、兵庫県明石市では花火大会に集まった観客により混雑した歩道橋の上で「群衆雪崩」が発生。11人が亡くなり、247人が負傷しました。東京大学の廣井悠准教授による「大都市圏避難シミュレーション」によれば、平日昼間14時に東京23区にいる外出者(自宅にいる人以外すべて)が地震直後に一斉に帰宅行動を行ったとき、都心部では多くの場所が1平方メートルに6人というきわめて危険な高密度空間になりうるとのこと。これは明石市と同様の事故が起きてもおかしくない状況です。こういった二次災害を防ぐためにも、むやみにその場を移動せず、冷静な対処が求められているのです。

※この記事内容は、執筆時点2019年8月1日のものです。