「冷え」は万病の元!
基礎体温を上げる4つの「温活」習慣

頭痛、肩凝り、腰痛、生理痛……。その不調の原因は「冷え」かもしれません。運動不足や生活習慣の変化により、現代人の体は冷えた状態になりがちです。特に男性に比べて筋肉量の少ない女性は体温が低下しやすいといわれています。この記事では、基礎体温を上げて不調を解消する「4つの温活」をご紹介します。

監修:

石原 新菜

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現代人の平熱は
70年前に比べて約1度低下

 「冷え」とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか。まずは自分の平熱を把握する必要があります。日本人の理想的な平熱は36.5度。正確に計るためには、朝10時頃に脇の下で熱を測るのが理想的です。この際、36度を下回る場合は慢性的に「冷えている」可能性があり、注意が必要です。

 実は、日本人の平熱は1957年に行われた調査では、37.0度近くありました。しかし、日本医師会によると現在の日本人の平熱は36.5度(±0.5度)とされており、50年前と比べると、低い人では約1度も低下しています。
 これは、エアコンの普及や、生活利便性の向上により、体を動かして熱を生み出す機会が減ったことが主な原因だといわれています。つまり、快適な環境で過ごすことができる現代人の多くは体が「冷えて」いる可能性が高いといえるでしょう。

■冷えによって引き起こされる不調は?

 冷えが続くと血流が悪くなり、肩凝り、頭痛、腰痛など、凝りや痛みの症状が現れます。また、血流が低下すると子宮の動きが鈍くなり、子宮内膜を押し出すために、生理痛が強くなる傾向があります。他にも血液の循環が滞り、むくみや内臓の機能が低下してしまう場合もあります。

 さらに、体温が1度下がるごとに免疫力は約30%下がり、病気になりやすくなります。また、代謝も10〜20%低下するため、なかなか痩せられない体質になり、糖尿病、高脂血症など生活習慣病のリスクが高まります。さらに、身体が冷えているとそれ以上熱を逃すまいとして血管が収縮し、血圧が上昇し、生活習慣病などの原因となってしまうことも。
 東洋医学では、冷えは万病の元と考えます。これらの症状に悩まされたり、具体的に病名がつかないような不調がある場合は、一度冷えを疑ってみるといいかもしれません。では、この冷えを解消するためにどんなことをすればいいのでしょうか?

2週間で基礎体温が上昇!
体を内から温める4つの「温活」習慣

 冷えによって引き起こされるさまざまな不調を解消するには、基礎体温を上げる必要があります。以下で紹介する4つの温活は、どれも簡単に実践でき、効果も抜群。2週間程度で体温を約0.5度上げることが可能です。

① 運動

 運動は体を温めるもっとも効果的な方法です。体内の熱の40%は筋肉がつくっているので、筋肉量を増やせば発熱しやすい体をつくることができます。
 週に何日もジムへ行ったり、長距離を走ったりと、ハードな運動をする必要はありません。大事なのは簡単な運動を毎日継続すること。以下の運動を日常に取り入れるところから始めましょう。

●ウォーキング(20~30分)
 早歩きと普通の速度を交互に繰り返すインターバル歩行がおすすめです。
 「3分早歩き、3分普通の速度」を1セットとし、3〜5セット行えばしっかり歩くことができます。
 30〜50代は毎日8,000歩程度、60代以上は6,000歩程度を目標にしましょう。

●スクワット30回
 毎日、30回のスクワットを行いましょう。
 「お風呂に入る前に必ず30回行う」など習慣づけてしまえば、無理なく続けられます。
 湯船に浸かる前に行うと体が温まりやすくなるので、次で紹介する「3-3-3入浴法」の手助けにもなります。

●片足立ち 左右1分ずつ
 片足に全体重がかかるため、筋トレとして効果的です。
 左右1分ずつ行うと、約53分歩いたのと同じ負荷が足にかかるといわれています。骨密度がアップし、骨粗しょう症の予防にもなります。

②湯船に浸かる

 お風呂はシャワーで済ませず、毎日湯船に浸かりましょう。
 42度のお湯に3分浸かり、3分出るのを3回繰り返す「3-3-3入浴法」は軽い運動に匹敵するくらいの効果があります。

③腹巻きを使う

 腹巻きを使用して、常にお腹を温めることが効果的です。
 夏でもエアコンの影響で体が冷えることがあるため、季節に関係なく腹巻きを使い、お腹を温めて冷えを防ぎましょう。
 また、どの季節でも意識したいのは「頭寒足熱」ファッション。腹巻きやレギンス、膝掛けなどで下半身を常に温かい状態に保ち、上半身はカーディガンなどで脱ぎ着して調節できるようにするといいでしょう。

④食事

 体を温める食事を意識しましょう。
 根菜類やタンパク質をバランス良く摂り、ショウガやネギ、ニンニクなどの薬味を加えることで血流が改善され、体温が上がりやすくなります。冬は味噌や甘酒などの発酵食品も体を温める効果が高くおすすめです。

(まとめ)
東洋医学では冷えは万病の元と考えます。体温が低いことによる不調を軽減するには、生活習慣の見直しが欠かせません。温活を行えば2週間程度で基礎体温の向上が見込めるので、冷え込むこれからの季節にぜひ意識して取り組んでみてください。

※この記事内容は、執筆時点2024年11月6日のものです。

石原 新菜(いしはら・にいな)
医師・イシハラクリニック副院長。日本内科学会会員。日本東洋医学会会員。日本温泉気候物理医学会会員。小学校は2年生までスイスで過ごし、その後、高校卒業まで静岡県伊東市で育つ。2000年4月帝京大学医学部に入学。2006年3月卒業、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。

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