借りすぎに注意!無理なく返せる
住宅ローン額の目安

マイホームを購入する際にほとんどの人が借りることになる住宅ローン。「いくらなら返せるのか」をしっかり試算しておかないと、のちのち返済に苦しむことになります。理想の借り方を知っておきましょう。

監修:

深田 晶恵

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今、高まる住宅ローンの
「借りすぎ」リスク

 首都圏の土地価格のみならず、全国的に建材や建築費の価格が高騰している今、マイホームの価格も上昇傾向にあります。頭金がたっぷりある人は少なく、住宅ローンに頼らざるをえない人が増えています。

 特に“史上最低の金利”と耳にすると、「今こそ借り時だろう」と思えてしまうものです。返済期間を長く設定すれば、毎月の返済額が少なくなるため、「今支払っている家賃とそう変わらない」と考えます。ところが、長い返済期間で借りると、身の丈以上の借入額となってしまい、老後も住宅ローンの返済が延々と続く事態に陥ります。物件探しの前に「我が家が無理なく返済できるローンはいくらまでなのか」を試算しましょう。

 理想的な住宅ローンの借り方のポイントは3つ。「貯蓄をしながら返済できる額を借りる」「老後にローンを残さない」「固定金利で借りる」これらのポイントをそれぞれ解説していきます。

毎月、貯蓄をしながら
返済できる金額を見つける

 毎月の返済で余裕がなくなり、貯蓄ができないローンの組み方をした場合、不測の事態が起きれば家計は簡単に赤字に転落します。加えてマイホーム購入で減ってしまった貯蓄を回復させる必要もあり、住宅ローンは貯蓄をしながら返済できる金額で組むのが理想です。その算出方法はいくつかありますが、今回は簡単な方法を図にまとめたので紹介します。
 まず、現在支払っている年間の家賃に、年間の貯蓄額を足します。これをとします。

 続いて、マイホームを建てたあとに必要となるお金を足して、これをとします。

 はマイホーム完成後にかかるお金です。例えば「固定資産税」「火災保険料や地震保険料」「修繕費用の積立金」が必要になってきます。一戸建てであればこれらを年間30万円、マンションであれば毎月修繕積立金を払うので50万円と見積もっておきます。
 は年間で貯めておきたい貯蓄額です。専業主婦世帯なら少なくとも年間50万円、共働きなら年80万〜100万円を目指しましょう。

 からを引いた金額が「無理のないローン返済額」です。例えば、マイホームの購入前に年間96万円の家賃を払い、年間70万円の貯蓄をしてきたら、は166万円。そしてマイホームの購入後に必要となるローン返済以外の年間居住費を30万円、年間の貯蓄額を50万円とするとは80万円になります。からを引くと「無理のないローン返済額」は1カ月あたり約7.2万円。当初予想していた額よりも少ないのではないでしょうか。

 「家賃を払うのはもったいないし、ローンも家賃と同様に払えるだろう」と、安易に考えてしまうと、マイホームを購入した後に必要となる貯蓄や税金、保険料や修繕費を用意できなくなってしまいます。

 また、子どもの教育費を貯めなくてはいけないですし、病気や介護などイザという時の備えの貯蓄も必要です。家賃と同等の額だからローンも払えるとはならないのがこの計算でお分かりになったかと思います。

返済期間は65歳まで
老後生活の資金難を回避

 ほとんどの人は定年後に収入がダウンします。70歳、75歳になってもローンがまだたっぷり残っている……なんてことにならないよう、定年時にいくらローンが残るのか借りる前に計算をしておくのが重要です。

 ローン完済時期は65歳とし、そこからローン開始年齢を引けば返済期間が決まります。ローン開始が35歳の人の返済期間は30年です。65歳時のローン残高は電卓では計算ができないので、金融機関のWebページにあるシミュレーターを使って算出してみてください。60歳時点のローン残高が500~600万円程度なら許容の範囲と言えそうです。

変動型金利ではなく
固定金利が安心

 歴史的に最も低い水準にある現在の金利は、将来的に上昇する可能性が高いです。一見、低金利の変動型金利を選んでしまうと返済額が確定できず、結果高利息を支払うことになるかもしれません。長期間で考えるなら固定型金利で借りたほうが返済計画を立てやすく、安心です。

 住宅ローンは途中で辞めることができません。仮に30代で世帯年収が600万円なら、借入額は多くても3000万円ほどです。適切な額のローンを組み、あなたの望む暮らしを維持していきましょう。

※この記事内容は、執筆時点2020年8月1日のものです。

深田 晶恵(ふかた あきえ)
1967年生まれ。ファイナンシャルプランナー、株式会社生活設計塾クルー取締役。外資系電気メーカー勤務を経て、96年にファイナンシャルプランナーに転身。個人向けコンサルティングを行う一方、セミナーやメディアを通じてマネー情報を発信。著書に『住宅ローンはこうして借りなさい』(ダイヤモンド社)、『共働き夫婦のための「お金の教科書」』(講談社)など。

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