契約内容をよく確認!
トラブルにならない安心のリフォーム

お金と時間をかけて、大切な自宅に施すリフォーム工事はスムーズに成功させたいものです。できあがったあとに「こんなはずではなかった!」とならないよう、よく起きるトラブルと、その対策法を知っておきましょう。

監修:

尾間 紫

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最も多いトラブルは不具合
その原因と対策とは

 マンションも一戸建ても、住み続けるうちにリフォームをしなくてはいけないタイミングがやってきます。少しでも長く、快適に住み続けるために行うリフォームですが、そのトラブルは毎年増加傾向にあります。

 「公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター」は、住宅にまつわる取引を消費者が安心してできるよう支援を行っています。その相談窓口に寄せられる中でも多いトラブルとその原因、それらを回避する方法を紹介します。

 まず目立つのはリフォーム後に不具合が発生するトラブルです。増築後の雨漏りや外壁のヒビ割れ、床がギシギシと鳴る、扉が開閉しにくいなど、工事の不良によって発生するトラブルが報告されています。

 原因としては、リフォーム事業者の技術不足による施工不良が考えられます。リフォーム工事というのは新築工事とは違い、古い部分と新しい部分を組み合わせて完成させます。古い部分と新しい部分が接続される「取り合い」と呼ばれる部分の工事は特に熟練の技術が必要になります。リフォームを成功させるためには、まずは依頼する段階で、事業者をしっかり見極めることが大切になるということです。

 そしてこのようなトラブルを防ぐためには、施工後の完了検査を現場で実施することが重要です。依頼者と工事の管理者が立ち会い、不具合につながるミスがないか、お互いに確認し合うといいでしょう。

 ほかに不具合が出る原因として、無理なコストダウンによる工事品質の低下があります。必要以上の値引きをさせたり、あまりに安すぎる事業者を選んだりしないことも大切です。

契約内容とリフォームの
内容が違うトラブルも

 契約と工事内容が異なるというトラブルもあります。これは、打ち合わせ不足による思い違い、行き違い、思い込みなどが原因になっています。契約前の見積もりの段階から、事業者と依頼者の意思がすれ違っているケースも見られます。

 まずは見積もりを受け取る段階で、工事内容の説明をていねいに受けましょう。一項目ずつ指差し確認で工事範囲を確かめて、選択する商品は品番まで細かくすり合わせを行うことが大切です。また打ち合わせの内容は全てメモにとって残しておきましょう。

工期の遅れは、仮住まい期間の
家賃が問題になる

 他にもリフォームが予定通りに終わらないという日程のトラブルもあります。

 リフォームには不測の事態がつきものです。いざ工事が始まってみたら予想以上に中が腐食しているなどで補修に手間がかかる、天候不順により工事ができないなどの理由で、工事期間が延長する場合があります。

 また、そもそもはじめから適切な工事計画を設定できていなかったということもあります。
 作業の工程をスケジュール通りに管理してもらい、遅延を防ぐためには着工前にあらかじめリフォーム工事の進捗をカレンダーにした「工程表」を事業者からもらっておき、工事が始まったらその日の工事内容の報告を毎日受けるようにしてください。もし遅れが発生したとしても明確な理由がきちんとわかれば納得できるものです。

 他に、工期が予定より伸びて問題となるのは、依頼者が仮住まいにいる場合です。完成まで余計にかかってしまった家賃の支払い分担や遅延金の有無を契約時に盛り込みましょう。

 契約内容は納得がいくまで確かめてください。もし事業者の対応や工事に、不審な点があったら、すぐに中止して「公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター」や「国民生活センター」などの機関に相談をしましょう。

災害後は特に注意

「共済金(保険金)」を使って住宅修理をしませんか」といって訪問や電話をしてくる業者が増えています

「住宅の修理工事を実施する契約」と「共済金(保険金)の請求手続きのサポートを受ける契約」の両方を目的とするケースが多数!

※中には、請求サポート契約だけを目的とする事業者もみられます。

問題点

◆自己負担がないことを強調し、契約内容や手数料・違約金の説明が不十分
◆見積もりと違う工事をされたり、修理内容がずさんなことも
◆うその理由で共済金(保険金)を請求している

アドバイス

◆勧誘されてもすぐに契約をしない
◆共済(保険)契約の内容や必要書類を確認し、まずは共済(保険会社)に相談する
◆うその理由で請求しても、共済金(保険金)は支払われない
◆不安に思った場合やトラブルになった場合は、下記相談窓口188へ

「点検商法」にも注意

「共済金(保険金)が使える」「共済(保険会社)に委託されている」と勧誘する住宅修理業者にご注意ください!
◆「雨どいが歪んでいる。共済金を使って無料で修理ができる」
◆「共済金を使えば自己負担ゼロでアンテナ交換ができる」
◆「屋根瓦を全部ふきかえたほうがいい。台風の被害と言えば共済金がもらえる」

と、住宅修理に関して「共済金(保険金)が使える」と勧誘する業者とトラブルが後を絶ちません。都道府県民共済グループはこのような業者とは一切関係なく、勧誘によって共済金をご請求いただいてもお支払いができないケースがありますので、くれぐれもご注意ください。

※参考資料:独立行政法人国民生活センター報道資料「『保険金を使って住宅修理しませんか』がきっかけでトラブルに!」「『大雪で歪んだ』などと自宅の不具合を指摘して不安をあおる『点検商法』」

※この記事内容は、執筆時点2020年8月1日のものです。

尾間 紫(おま ゆかり)
一級建築士。住宅リフォームの専門家として、コンサルタント業務、講演や研修講師としても活動中。住宅リフォーム・紛争処理支援センター主催の専門家向け研修なども担当している。

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