失業してしまった…
そんな時の「雇用保険」とは

自己都合の退職、倒産や解雇など会社都合の退職など、さまざまな理由で失業した際、求職活動中の生活費をカバーできるよう国から「雇用保険」が手当として支給されます。支給額やもらえる期間などご説明します。

監修:

浅田 里花

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安心して求職活動ができるよう
失業中の生活費をカバー

 もし、様々な理由で失業した場合、再就職までの収入を心配しないで済むよう、雇用保険からの基本手当があります。ハローワークに行って手続きする必要があり、いつまで、いくらの手当が受給できるかは、離職理由、雇用保険の被保険者期間、年齢によって違います。

■一般受給資格者

 働く意欲はあるが自己都合で離職した場合、基本手当が受けられます。給付日数は、年齢に関わらず在職中の雇用保険の被保険者期間によって決まります。待機期間(ハローワークで手続きをした日から通算7日間)に加え、2カ月または3カ月間の給付制限があります。

■特定受給資格者と特定理由離職者

 会社の倒産や解雇など、いわゆる会社都合で離職した人や、「示された労働条件と著しく異なった」「パワハラ・セクハラを受けた」などで離職した場合は「特定受給資格者」となり、一般受給資格者より基本手当の給付日数が手厚くなります。また、通算7日間の待機期間はありますが、3カ月間の給付制限はありません。
 期限のある労働契約が満了し更新されなかったり、正当な理由(体力の不足、心身の障がいなど)で自己都合退職したケースは「特定理由離職者」となり、一定の要件を満たす場合には、特定受給資格者と同等の給付が受けられます。

雇用保険の対象でない人の
就労支援「求職者支援制度」

 雇用保険に加入できなかった、自営業を廃業したなどの雇用保険を受給できない「特定求職者」には、「求職者支援制度」があります。スキルアップをとおして早期の就職を目指すための「求職者支援訓練」を原則無料で受講できます(テキスト代などは自己負担)。住所地を管轄するハローワークに問い合わせましょう。また、要件を満たせば、「職業訓練受講給付金」の給付が受けられます。

■求職者支援訓練

 求職者支援訓練は、民間訓練機関が厚生労働大臣の認定を受けた職業訓練を実施します。多くの職種に共通する基礎的能力や短時間で身につけられる技術等の習得を目指す「基礎コース」と、特定の職種に必要な実践的な技術等を習得する「実践コース」があります。

■若者自立・挑戦プラン

 若年者の雇用問題対策のため、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、内閣府が協力し、「3年以内既卒者の新卒扱い」の普及、相談や職業紹介を行うワンストップサービスセンター「地域若者サポートステーション」の設置などの、就労支援を行っています。

※この記事は、都道府県民共済グループ発行「公的保障がわかる本」の抜粋です。
内容は、執筆時点2024年8月1日のものです。

浅田 里花(あさだ りか)
ファイナンシャルプランナー、株式会社生活設計塾クルー取締役。コンサルティングや新聞・雑誌などへの原稿執筆、セミナー講師を行う。東洋大学社会学部の非常勤講師としても活躍。代表的な著書に『Q&Aで学ぶライフプラン別営業術』(近代セールス社)など。

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