節約する、しないを見極めよう
値上げの影響を最小限に抑えながら、暮らしを豊かにするには、何を節約し、何を節約しないかを見極めることが大切です。お金を掛けたいところに掛けられるようにするために、家計見直しポイントをご紹介します。
どこを節約する?
家計の見直しポイント
見直しポイント1 「車両費」
車本体の価格も値上がりしています。そのときの気分で、頻繁に車を買い替えるのではなく、たとえば、7年ごとに買い替えていたサイクルを9年ごとに延ばすと、一生のうちに乗る車の台数が1台減り、これで数百万円節約できます。
ガソリン代も高くなっています。仕事や通院などで車を必ず使う場合は減らせませんが、普段使いする分はコントロールできる部分です。我が家の場合は、月のガソリン代の予算を3,000円と決めて、月に1回3,000円分給油します。健康増進も兼ねて、買い物に行くときはできるだけ自転車や徒歩を増やすなどの工夫をし、レジャーに車を使うときは、レジャー費の中からガソリン代を出すようにしています。
節約のために生活上不便になることは、本末転倒なのでしなくていいと思います。車を2台持っていた人が、2台目をやめてバイクにする、通勤に車を使っていたのをやめて原付バイクにするなどの工夫で節約することが大切です。何を減らせるのか減らせないのか、家族で話し合って折り合いをつけて、生活が不便にならない範囲で節約しましょう。
自動車保険は、ディーラーで勧められて入ったままになっていませんか?補償内容など諸条件にもよりますが、ネットには格安な自動車保険もあります。知らない人や自分で手続きするのが面倒という人が多いのですが、保険料が数万円安くなる可能性もあるので、費用が気になる人は見直してみても良いでしょう。もちろん、保障内容など妥協できない点がある人は、費用だけで決める必要はありません。
年に数回しか車に乗らないのなら、レンタカーやカーシェアを利用することにして、所有しないという選択もありです。車の購入代金や維持費が掛からなくなると、年間数十万円単位の節約となります。
見直しポイント2 「その他固定費」
住居費、通信費、保険料、各種会費や月謝、サブスクの料金など、毎月必ず掛かる固定費は、内容を精査して少しずつコンパクトにしていくと家計のゆとりにつながります。
金利が高いローンを組んでいる人は、5万円でも10万円でも繰り上げ返済すると、その分の金利を払わずにすみます。家計に無理のない範囲で、可能であれば先に返す、金利の低いローンに借り換えをするなどの対策を検討しましょう。
通信費は、2021年に各社サブブランドを出すなどで値下げされましたが、何もしていない人が意外に多いのと、最近は「大容量プラン」なども出てきているため、ここでしっかり見直すと、さらに安く抑えられます。
スマホの本体代も一括で買って3年以上使ったほうが安くなります。お店の人に言われるままタブレットを契約してデータプランに入ったり、あまり使わないのに大容量プランに入ったりしていて、ムダが多いことがあるので、平均的に利用しているデータ量を確認するなどし、自分に合ったプランで必要なものだけに絞りましょう。5人家族で月に4~5万円くらい掛かっている場合でも、機種やデータ量の見直し、サブブランドなどの格安スマホを活用することで、月1万円台に抑えることも充分可能です(例えば、A社のサブブランドを利用すると20Gで2,980円です。通話料などがついても5人分で2万円にもならないと思います。機種もこだわらなければ安くできます)。興味がないことはほったらかしにしてしまいがちですが、年に1回は通信費のプランを見直すことを習慣にしましょう。
固定費として最近とても増えているのが、「サブスク」の費用です。動画視聴のサブスクだけでもたくさんありますし、月に500~1,000円程度でも、複数の契約では数千円になってしまいます。しかも、使っていないのに入りっぱなしで解約しないという傾向があります。中には、何を契約しているのか覚えていない人も。クレジットカードの明細を確認して、何のサブスクに自分がいくら払っているのか把握するようにしましょう。
さらに、スマホアプリでも不要なものに毎月お金を払っている人も多くいます。月々数百円でも10年20年と入り続けていると大きな金額になりますので、サブスクは毎月見直し、不要なものがあればすぐに解約しましょう。
見直しポイント3 「教育費」
教育費は、習い事や塾でけっこうお金が出ていきます。やりたいことを全部やらせていたら、いくらあっても足りません。新年度のタイミングで、これまでの習い事を継続するのかやめるのか、新しく始めるのなら別のものをやめるなど、家族会議を開いて、子どもの意見も聞いて決めましょう。
「我が家はこのくらいまで」というモノサシをつくることが必要です。子ども1人いくらまでにすると決めるのもいいでしょう。友人は、児童手当1万円の範囲で習い事をさせることにしていました。
理想的には手取り月収の5%、多くても夫婦の手取り月収の10%以内にするなど、習い事や塾の費用には割合を決めてしまうのも目安になるでしょう。例えば、夫婦の総手取り月収が50万円なら理想的には月2.5万円、多くても月5万円です。その他学費なども掛かりますから、それ以上の割合になっているなら、やや教育費の負担が重すぎるなどの判断の目安にすることもできます。
見直しポイント4 「光熱費」
4~5月、10~11月などのエアコンをあまり使わない月に、電気代、ガス代が常時それぞれ1万円を超えている世帯は、見直すところがたくさんあります(オール電化の場合は、1.5~2万円弱)。節約を心掛けると、家族5人で月に5,000~6,000円を達成できるはず。エアコンを使わないときの電気代を基準として知っておくといいでしょう。
電気代が多いのは、使っている家電の数が多い人、家族が家の中でそれぞれ一人暮らしをしている家庭。家族3人がそれぞれエアコン、テレビを3カ所で使っていたら、確実に電気代が高くなります。
また、面倒くさがらずにコンセントを抜いて、待機電力をカット。我が家は、パソコンやスマホの充電器などは抜いています。習慣になると、コンセントに差さっていると気持ち悪くなります。取扱説明書に「待機電力ゼロ」と書いてあるものは抜かなくてもよく、書いていないものは抜くようにしましょう。
あまり電気を使わないようになると、ブレーカーのアンペア数を1段階下げることもでき、基本料金も下がって固定費が削れます。照明をLEDに買い替えることでも節約に。シャンデリアタイプの照明は電気代が高くなるので、光熱費が高くて悩んでいる人は、おしゃれより節電を重視した照明を選ぶと、節約できます。
見直しポイント5「交際費」
交際費は、人によって掛け方が違いますし、地域柄削れない場合もありますので、無理に削る必要はありません。これまで頑張りすぎていた部分を少し減らすくらいの感覚で見直してみましょう。
父の日、母の日などのプレゼントは気持ちが大事なので、たとえば、これまで2~3万円掛けていたのなら、5,000円くらい減らしても、十分喜ばれることもあるでしょう。
友人や会社の同僚との飲み会、ママ友とのランチ会なども、回数が多いなと思ったら減らす(たとえば、月に4回までなど)、無理をしてまで行かない、お金を掛けすぎていると思ったら費用を減らすなどしてみましょう。
友達とキャンプに行く、別荘に泊ってスキーをするなど、毎年恒例になっている費用も見直しポイント。家族にとって大切なイベントや娯楽であればいいのですが、行きたくないのに付き合いで参加しているのなら、削っても大丈夫です。
交際費は、家計の中でゆとりのある部分。しかも、削りやすい部分です。家族と旅行するのか、友だちとの飲み会に参加するのか、どちらを取るのか考えて、優先順位が低いものから削るようにしましょう。
交際費が多い人の特徴は、いい人、断れない人です。限度を超えると“都合のいい人”になってしまうので、いい人でいることをやめると、お金が貯まります。
今回のポイント
・車両費をはじめとする固定費を見直そう
・行きたくないのに付き合いで出している交際費はカット
・中でも、値上がりが大きい光熱費は見直しが必須
全3回のまとめ
家計管理をしている人としていない人では、人生で約1,000万円も違ってきます。生活必需品の価格が上がる中、何もせずに油断していると、生活の中の「ゆとり費」の金額はどんどん減っていくでしょう。節約は、したいことを我慢してやり続けなくてはならない苦しいものではなく、自分や家族の暮らしを豊かにするためのものです。生活が不便になる節約はしなくて大丈夫です。全部を減らそうと思わずに、自分ができる項目から節約して、少しずつでも「ゆとり」に回せるお金を増やしていきましょう。
※この記事内容は、執筆時点2023年6月14日のものです。
あき
家計簿&家計管理アドバイザー。東京都在住。夫と子ども3人の5人家族。家計簿歴20年以上。1日1行つけるだけのオリジナル家計簿に変えて、わずか2年で約350万円以上の貯蓄に成功。家計簿のコツを紹介した「2年で350万円貯めた!ズボラ主婦の節約家計簿管理ブログ」は、テレビや雑誌で紹介された。『スマホでもできるあきのズボラ新家計簿』(秀和システム)など、著書多数。