赤ちゃん・高齢者の備え
家庭の防災チェックリスト

自然災害が多発している中、ご家庭での備えが必須となっています。特に赤ちゃんや高齢者は自分の身を自分で守ることが難しく、また避難先で物資がないことも考えられます。チェックリストを活用して、大切なご家族を守るための備えを進めておきましょう。

監修:

和田 隆昌

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災害時に気をつけたいのは
食料と衛生面へのケア

 地震や津波などの災害発生時、赤ちゃんや高齢者は、自分で自分の身を守ることが極めて困難です。特に避難所などでの避難生活を強いられた場合、食事面や衛生面において弱者の立場に置かれます。
 2016年の熊本地震発生時、おむつや粉ミルクの不足が社会問題化したことをご記憶の方も多いでしょう。そういった事態を避けるためにも、赤ちゃんや高齢者のいる家庭は、事前に防災用備品を用意しておくと安心です。下記のチェックリストを参考に、用意すべき備品を解説します。

◆共通の必需品◆

 災害時の必需品は、まず食料。避難所での配給はパンとおにぎりがほとんどのため、カレーや缶詰め、栄養バランスを整えるために乾燥野菜なども用意しておくと良いでしょう。
 次に重要なのは衛生面へのケア。免疫力の低い赤ちゃんや高齢者の場合、感染症などの被害に遭いやすいので、除菌消臭剤・凝固剤(排泄物を固める)や消毒用ウェットティッシュといったトイレ関連備品、マスクなどを必ず用意してください。また、余震や二次災害に備えた防災用頭巾・ヘルメット、急病時に必要となる健康保険証などのコピーやお薬手帳、火事を知らせたり救助を呼んだりするためのホイッスルも用意しておきましょう。

◆赤ちゃんのいる家庭◆

 食料面ではミルク(粉ミルク)と哺乳瓶、衛生面ではおむつ・パンツ・おしりふきは必需品。おむつとパンツは約1週間分、用意しておくと安心です。また、避難所などの特殊な環境では、赤ちゃんが泣きやまないことが多いので、おしゃぶりやおもちゃ、抱っこ紐など、赤ちゃんをあやすための備品を用意しておくこともおすすめします。

◆高齢者のいる家庭◆

 杖やメガネ、補聴器、服用している医薬品など、普段の生活を踏まえたうえで必要なものを準備しておきましょう。食事面では、梅干しや干物、乾物など、食べ慣れていて、かつ保存性の高い食べ物がおすすめです。衛生面では、入れ歯洗浄剤や歯ブラシといったオーラルケア用品も重要。高齢者の死亡原因になりやすい、「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」の予防につながります。

※この記事内容は、執筆時点2020年8月1日のものです。

和田 隆昌(わだ たかまさ)
アウトドア雑誌の編集者を経て、阪神淡路大震災直後のボランティア経験から「防災士」資格を取得。これを機に災害危機管理アドバイザーとして活動を始める。主な著書に「大地震 死ぬ場所・生きる場所」(ゴマブックス)「地震・津波の新常識」(ブティック社)など。講演会ほか、メディアへの出演も多数。

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