もし一家の働き手を失ったら、 家計はどうなる?

生計を維持している人が亡くなった時、残された家族の生活費はどうなるのか不安になりますよね。その時、国から支給されるのが「遺族年金」です。年金というと老後のイメージがありますが実はそれだけではないんです。くわしく解説します。

監修:

浅田 里花

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二人の子どもがいれば月10数万円

 一家の大黒柱が亡くなると収入がゼロになると考えられがちですが、要件により「遺族年金」が受け取れます。

■遺族基礎年金

 亡くなった人に生計を維持されていた、18歳になる年度末を経過していない子ども(通常高校卒業時まで、障がいがある場合は20歳まで)がいる配偶者、またはその子自身が受け取れます。20歳以上の国民が加入する国民年金の基礎年金部分が基となっており、年度ごとに年金額が改定されます。原則として、亡くなった人の保険料免除期間を含む保険料納付済期間が、加入期間3分の2以上あること(2026年3月末日までは死亡日を含む月の前々月までの直近1年間に保険料の滞納がないこと)が支給要件。自営業者など国民年金第1号被保険者の中には国民年金の保険料を滞納しているケースがありますが、払えるなら払い、厳しいなら「免除申請手続き」をしておかないと、遺族基礎年金の権利がなくなってしまいます。

■遺族厚生年金

 厚生年金加入者の上乗せ年金です。こちらはもらっていた給料の額により金額が違いますが、「ねんきん定期便」の①「これまでの加入実績に応じた老齢厚生年金額」と②「これまでの年金加入期間」をチェックし、「①×300月÷②月×3÷4」と計算すれば概算がわかります(加入月数が300月未満の場合)。図のモデルケースでは「30万円×300月÷120月×3÷4=56万2,500円」となっています。遺族基礎年金だけで月額10万円ほど、遺族厚生年金を合わせると月額15万円近くが公的年金でカバーできるわけです。わが家の場合どうなのか、試算しておくといいでしょう。

■中高齢寡婦加算

 40歳以上の子どものいない妻(子どもが18歳の年度末に達し遺族基礎年金がなくなった妻も)には、再婚しないかぎり、65歳まで「中高齢寡婦加算」が合わせて受け取れます。

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※記事内容は、執筆時点2023年8月1日のものです。

浅田 里花(あさだ りか)
ファイナンシャルプランナー、株式会社生活設計塾クルー取締役。コンサルティングや新聞・雑誌などへの原稿執筆、セミナー講師を行う。東洋大学社会学部の非常勤講師としても活躍。代表的な著書に『Q&Aで学ぶライフプラン別営業術』(近代セールス社)など。

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