全国的に急増中!
巧妙な詐欺の手口の対処法

対面ではなく電話などを使い、多様化している詐欺は特殊詐欺と呼ばれ、被害は年々拡大しています。全ての人が警戒すべきこの犯罪に、どうすれば騙されないかを専門家に解説してもらいます。

監修:

西田 公昭

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詐欺の魔の手は身近に
「自分は大丈夫」は危険

 2021年、特殊詐欺の被害は約1万4000件にものぼり、新聞やニュースで聞かない日がないほどです。都市部だけでなく、全国的に増加傾向の年となりました。特殊詐欺は新聞やテレビの向こう側の話ではなく、身近なものであり、誰もが被害にあう可能性がある犯罪です。被害が一番多い、電話での事例で考えてみましょう。
 保険料の還付がある新年度のタイミングに「保険料の払い戻しがあるので、口座番号を教えてほしい」と役所などを名乗る人物から電話が掛かってきたとします。この電話を予備知識や心構えなしで疑うのは難しいでしょう。これがワクチンや年金といった、話題になっている言葉や馴染み深い言葉ならばなおさらです。詐欺師はその時期や流行に合わせて言葉巧みに、あなたを誘ってくるのです。

 皆さんは「被害にあう人=誰かの助けが必要なお年寄り」だと思っていませんか?そのイメージは大間違いです。実は、「自分はしっかりしている」と思っている人こそ被害にあっているのです。これは誰かに相談せず、すぐに行動に移してしまうからだと言えるでしょう。特殊詐欺の被害を防ぐには、「自分も被害に合う可能性がある」と、まずは自覚することです。天災と同じで、いつ自分に降りかかってくるか分かりません。常に冷静に判断できるよう、避難訓練と同様に日頃から「詐欺師からの電話」をシミュレーションしておけば、いざというときに冷静に対処できるようになります。また、友人や家族とコミュニケーションを取り、「こんな電話が掛かってきた」と気軽に相談できるようになっておくといいですね。若い方でも、SNSのプレゼント企画などによる、被害が広がっています。もはや年齢という垣根を超えた特殊詐欺を家族・友人間で共有し、対策していきましょう。

※この記事内容は、執筆時点2022年8月1日のものです。

西田 公昭(にしだ きみあき)
1960年徳島県生まれ。 立正大学心理学部教授、博士(社会学)。 94年スタンフォード大学客員研究員、2003年静岡県立大学准教授を経て現職。 心理学研究の第一人者として、新聞やテレビなどのマスメディアでも活躍。日本脱カルト協会代表。詐欺や悪徳商法、カルトなどのマインド・コントロール研究の第一人者として知られる。著書に『マンガでわかる! 高齢者詐欺対策マニュアル』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

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