フードロスを削減し、賢く節約する
買い物見直し術
「フードロス(食品ロス)」とは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。食品が値上がりする中、ムダなく上手に使い切るためにも、環境に優しく食費の節約になるフードロス削減についてポイントをおさえておきましょう。
必要な分だけ買うことで
フードロス削減に繋がる!
日本では、本来食べられるのに捨てられてしまう「フードロス」が年間523万トン発生しています。その内容は、事業活動から生じる「事業系」と、家庭から発生する「家庭系」の大きく2つに分かれ、そのうち家庭系は244万トンに及びます。
家庭でフードロスが発生する原因の1つが、食品の「買い過ぎ」です。例えば安売りの際に買い置きをして、食べきれずに捨ててしまったり、食べたいときに食べたいものを購入して材料を使い切らずに廃棄してしまうことでフードロスが発生します。買い物をするときに、少し工夫をするだけでフードロス削減に繋がり、家計の節約にも役立ちます。
買い過ぎを防ぐポイントは、まず「今ある食品を把握する」ことです。食品の在庫を確認せずに出掛けてしまうと、同じものや余計なものまで買ってしまいがち。出掛ける前に冷蔵庫内にあるものをメモしたり、スマホのカメラで撮影していくのがおすすめです。
そして、お店では「使う分だけを買う」こと。まとめ買いで大量に購入するのではなく、今必要な量だけを購入するようにしましょう。購入時は利用予定と期限表示を照らし合わせ、手前に陳列している食品から選んでいくことで、お店(事業系)のフードロスを減らすこともできます。
大切なのは継続すること
美味しさを楽しみながら実践
環境のためにも、家計のためにも、ぜひ実践したいフードロス削減の取り組みですが、継続できなければ意味がありません。フードロス削減も家計の節約も、それだけを目的にすると、なかなか続けられないものです。その先に“楽しみな目標”を設定してみましょう。例えば、フードロス削減に取り組んで節約できれば、毎月の貯金額を増やすこともできます。貯まったお金で、年に1回家族で旅行するのも良いでしょう。
削減や節約と聞くと、どうしても我慢や不自由さなど、ネガティブな印象が先に立ってしまいがちです。しかし、楽しみな目標を立てることで、ポジティブに捉えることができます。
また、過程自体を楽しむことも大切です。レシピ通りではなく、冷蔵庫に残っているもので何ができるかな?と、創造力を働かせて料理を楽しむことで、新しい美味しさや面白さの発見に繋がります。将来の暮らしや子どもたちの未来を守るためにも、買い物の仕方や食品の使い方を今一度見直してみましょう。
※この記事内容は、執筆時点2024年6月30日のものです。
小林 富雄(こばやし・とみお)
日本女子大学家政学部家政経済学科教授。フードビジネスの視点から食品ロス問題を研究。生鮮食品商社、民間シンクタンク、短大勤務を経て、2015年名古屋市立大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。愛知工業大学経営学部准教授、2017年同教授、2022年より現職。内閣府食品ロス削減推進会議委員、消費者庁食品ロス削減のための戦略企画会議委員などを務め、現在、日本フードシステム学会理事。