高齢者・女性・子どもの
防災について考えよう
高齢者や女性、子どもは、災害時に特に被害を受けやすいと言われています。次に挙げるような点に注意を払い、できるだけ安全な避難と避難所生活を送れるよう対策をしておきましょう。
それぞれの対策を考えておこう
①高齢者
高齢者のひとり暮らしの場合、災害時は救助や避難もままならず、情報も入ってこないなど孤立するケースが多発します。高齢者の方はなるべく普段から地域の集まりなどに参加し、近隣の人たちとネットワークを築きましょう。近隣に高齢者が住んでいる人は日頃からコミュニケーションをとり、災害時は避難を手伝うなど「助け合い」の精神を。また、避難所ではトイレ環境の悪化により水分摂取を控えてしまうことでエコノミークラス症候群や脳卒中、心筋梗塞を引き起こしたり、感染症にかかることも。健康状態を保てるよう、持ち出しアイテムをしっかり準備して。
②女性
女性の心身に大きなストレスがかかる避難所生活。周囲の人と協力して女性専用の更衣スペースや洗面スペース、洗濯物干し場などを確保しましょう。生理用品やスキンケア用品は救援物資でも後回しになることを想定して準備を。災害時には治安が悪くなり、女性が性犯罪やドメスティック・バイオレンスの被害にあう事態も。夜のトイレや一時帰宅は信頼できる人に付き添ってもらう、避難所での服装は色や形などに気をつけるなど、自分の身を守る意識を持ちましょう。
③子ども
避難所では赤ちゃん用品はすぐには行き届かず、おむつひとつにしても月齢によって必要なサイズが違い、必要なものを手に入れるのが難しくなります。赤ちゃん用品の備蓄と持ち出し袋の準備は怠らず、成長に合わせこまめに確認を。子どもは大人に比べて力が弱いだけでなく、ストレス耐性が低いので、避難所生活では食欲不振や体調不良など症状として現れることも。変化を見逃さず、また、犯罪などに巻き込まれないよう1人で行動させないなど大人が注意を。
①~③の全ての方に共通のこととして、在宅避難時には訪問者を装った不審者に注意しましょう。
考えておきたい「ペットの防災」
環境省のガイドラインによれば、災害の際ペットは原則として一緒に避難する「同行避難」となります。ペット用持ち出し袋の準備をしておくだけでなく、適切なワクチンの摂取、ケージ生活に慣れさせておくなど、日頃から健康面、しつけ面両方で対処を。ペット受け入れ可の避難所を事前に調べておくことも大切ですが、ペットと同室で過ごせるかどうかは避難所のルールにより変わり、定められていないところも。ペットホテルなどいざという時にペットを預けられる場所の選択肢も考えておくといいでしょう。
※この記事は、都道府県民共済グループ発行「命を守る防災ハンドブック」の抜粋です。
内容は、執筆時点2024年8月1日のものです。
澁川 真希(しぶかわ まき)
整理収納アドバイザー。整理収納サービス「コンフォートスタイル」代表。2012年、仙台から東京へ転居。東日本大震災での自身の被災経験をもとに「減災整理セミナー」などを開催している。