ぽっこりお腹を呼吸で引き締める!
深い呼吸エクササイズ

「きつい腹筋を頑張らなくても、お腹は引き締められる」――そんな方法があるとしたら、気になりませんか?前回ご紹介した“10秒呼吸トレーニング” を応用すると、横隔膜と腹横筋がしっかり働き、お腹の奥からすっきり整えていくことができます。ぽっこりお腹や姿勢のくずれが気になる方にも続けやすい方法で、日常の呼吸を変えるだけで取り入れられます。この記事では、専門家がすすめる「深い呼吸エクササイズ」のやり方やポイント、注意点を紹介します。
ぽっこりお腹の原因は“腹横筋(天然コルセット)”の衰え
お腹の奥深くには、内臓をぐるりと囲んで支える「腹横筋」があります。天然コルセットとも呼ばれ、姿勢保持にも欠かせない重要な筋肉です。

ただし、腹横筋は普段意識して使う機会が少ないため、加齢や運動不足で衰えやすいのが特徴です。腹横筋が弱まると、内臓を支える力が落ち、内臓が本来の位置より下がってお腹が前にぽっこりと押し出されるのです。
カギは「横隔膜」を大きく使う深い呼吸
腹横筋は、通常の腹筋運動では鍛えにくい筋肉ですが、横隔膜をしっかり動かす呼吸で効率よく刺激できます。

横隔膜は、息を吸うと下がり、吐くと上がる。この動きに合わせて腹横筋も連動します。しかし、浅い呼吸のままでは横隔膜がほとんど動かず、腹横筋にも十分な刺激が届きません。
深く息を吐く呼吸を続けることで、約2ヶ月でウエストが1~2cm引き締まったという例もあります。
※個人差があります。脂肪燃焼とは異なります。
ウエスト集中「引き締め呼吸エクササイズ」
エクササイズのポイントは、「しっかり深く吐く」こと。まずは呼吸を深めるためのストレッチを行い、その後に呼吸エクササイズを行います。
■ステップ1/呼吸を深めるストレッチ 各3~5回
横隔膜は肩甲骨や背中まわりとも連動しています。胸を開き、背中をほぐし、横隔膜が動きやすい土台を作りましょう。
【肩甲骨ストレッチ】
①仰向けに寝て膝を立て、足を肩幅程度に開く。
肩の下にクッションやストレッチポールなどを入れる。


②鼻で息を吸いながら、両腕をゆっくり上げ、
吸い切る頃に「バンザイ」の姿勢に。


③口から息を吐きながら腕を戻し、吐き切る頃に元の姿勢へ。
【背骨ストレッチ】
①椅子に座り、背筋を伸ばす。両手は楽に。


②鼻から大きく息を吸い、口から吐きながら
おへそを覗き込むように背中を丸める。


③鼻から息をゆっくり吸いながら、元の姿勢に戻す。
■ステップ2/引き締め呼吸エクササイズ 5回
①足を肩幅に開いて立ち、背筋を伸ばす。

②「い」の口を作る。一度鼻で息を吸い、
「いー」と音を出しながら、20秒ほどかけて息を吐く。

③吐き切ったと感じたら、
お腹に力を入れ、
さらに2秒だけ息を絞り出す。


④力を抜き、自然に入ってくる空気を鼻で吸う。

腹横筋が鍛えられると背中や腰まわりが引き締まり、立ち姿や歩く姿にもハリが生まれて、若々しい印象に。内臓が正しい位置へと押し上げられ、腸の動きが活性化するため、便通の改善やむくみ・だるさの軽減にもつながります。
■安全に行うための注意点
息を止めようと無理をせず、自分のペースを守りましょう。めまいや体調の変化を感じた場合は、すぐに中止してください。
まとめ
ぽっこりお腹を引き締めるカギは、横隔膜を大きく動かす「深い呼吸」です。深く吐くことを意識すると腹横筋が自然に働き、姿勢やお腹まわりに変化が出やすくなります。
まずは、1日5回の「深く吐く呼吸」から。朝起きたときや夜寝る前など、生活の中のひとこまに取り入れると、無理なく続けられます。小さな変化が、体の軽さやウエストの変化として大きな実感へと変わっていきます。
※この記事内容は、執筆時点2025年11月26日のものです。
奥仲 哲弥(おくなか てつや)
呼吸器外科医。医学博士。TOKYO FUTURE CLINIC院長。国際医療福祉大学医学部前教授。山王病院前副院長。専門は肺がんの外科治療・レーザー治療。肺がんの専門家として、診断から緩和療法まで責任を持つ ことをモットーとしている。メディアへの出演も多く、健康・医療問題のわかりやすい解説に定評がある。『1回1分! 100歳でも息切れなし!長生き呼吸』(あさ出版)、『お腹からへこむ! すごい「やせ呼吸」』(講談社)など著書多数。

