季節の節約シリーズ 第1回
小さな工夫で実現!冬の光熱費節約術

季節ごとに無理なく続けられる“節約のコツ”をご紹介する「季節の節約シリーズ」。第1回は光熱費がもっとも上がりやすい「冬」の節約です。寒さが本格化する冬は、暖房やお風呂の使用量が増え、家計に負担がかかりがち。そこで今回は、暖房器具の使い分け、シャワーや追い焚きの見直しなど、今日からできる“冬の光熱費節約術”をご紹介します。小さな工夫で、暖かさと節約をどちらも叶えていきましょう。

監修:

和田 由貴

〉〉〉プロフィール

冬に光熱費が高くなる2つの理由

冬の光熱費が高くなる主な理由は「暖房」と「給湯」です。ここでは、この2つについて詳しく見ていきましょう。

①外気との温度差が大きく、暖房エネルギーが増える

冬は外気温が低く、室内との温度差が大きくなります。たとえば、外気温が10℃で室温を22℃に設定した場合、その差は「12℃」。この差を埋めるのに、暖房に多くのエネルギーが必要になります。温度差が大きいほどエアコンやファンヒーターはエネルギーをたくさん使うため、冬は光熱費がかさみやすくなるというわけです。

②水温が低く、給湯エネルギーが増える

水道水が冷たい冬は、同じ40℃のお湯をつくるにも、より多くのエネルギーが必要になります。さらに、お風呂・シャワー・食器洗いなど、日常でお湯を使うシーンが増えるため、給湯費も上がりやすくなります。「家庭で使うエネルギーの約3割が給湯」といわれるほど、見逃せない大きなポイントです。

「暖房」と「給湯」。この2つを上手に見直すだけで、冬の光熱費はぐっと抑えられます。

まずは「部屋の環境づくり」から!
ポイントは“窓の断熱”と“温度・湿度管理”

どれだけ暖房を使っても、部屋の環境が整っていなければ効率よく暖まりません。暖房費を抑えるためには、暖房を強くすることよりも、「暖まりやすい部屋」をつくることです。

窓まわりの断熱がとても大切

家の中の熱は、窓からもっとも出入りしやすいといわれています。すきま風や冷気の侵入を放置していると、まさに「穴の空いたバケツにお湯を注ぐような状態」です。どれだけ暖房を使っても熱が逃げてしまい、暖房効率が大きく下がってしまいます。

◆POINT! 今日からできる窓断熱の工夫

・厚手のカーテンに替える
・カーテンの丈を長くして床とのすき間をふさぐ
・レース+ドレープの二重カーテンにする
・窓に断熱シートを貼る
こうした工夫だけでも、部屋の暖かさがしっかり変わります。

温度と湿度を整えて体感温度を上げる

冬の室温は20℃前後が目安。18℃を下回ると体への負担がかかりやすくなるため、暖房を上手に使いながら、室温を20℃前後に調整するようにしましょう。
また、湿度が低いと熱が奪われやすく、同じ温度でも実際より寒く感じます。加湿器を併用して、湿度40〜60%を保つと、体感温度が変わり暖かく感じられます。

◆POINT! 暖房効率を上げる工夫

・温湿度計を置いて部屋の状態を見える化する
・室温20℃前後を保つ(18℃を下回らない)
・湿度40〜60%を保つ

この基本を押さえると、快適さと節約のどちらも叶えやすくなります。

暖房器具は3タイプ
シーン別に上手に使い分けよう

暖房器具には、対流式・輻射式・伝導式の3タイプがあり、それぞれ得意とするシーンが異なります。特徴を知っておくと、ムダなく暖かく過ごせます。

①対流式(部屋全体を暖める)

暖かい空気を送り出し、その空気を循環(=対流)させることで室温を上げるタイプ。

家族が集まるリビングなど広い空間で、部屋全体をまんべんなく暖めたいときに向いています。

<例>
エアコン、石油・ガスファンヒーターなど

②輻射式(人や物を直接暖める)

本体から出る熱そのもので、近くにある人やモノを暖めるタイプ。

焚き火の前にいるような、じんわりとした暖かさが特徴。近くにいればすぐ暖まりますが、暖められる範囲は限られるため、スポット使いに向いています。

<例>
電気ストーブ、ハロゲンヒーター、石油ストーブなど

③伝導式(触れている部分を暖める)

体に触れている部分に熱を伝導させて暖めるタイプ。

体に直接熱が伝わるため、一人時間や勉強・作業時など、じっとしている人を暖めたいシーンで活躍します。

<例>
ホットカーペット、電気ひざ掛け・電気毛布、湯たんぽなど

◆POINT! 上手に使い分けるコツ

・リビングは、基本は対流式に。「石油ファンヒーター」で一気に暖め→「エアコン」で温度を維持
・一人時間は、伝導式がおすすめ。「電気ひざ掛け」や「電気毛布」で人だけ暖めて省エネ
・キッチンや脱衣所など短時間の暖房は、輻射式が便利。「ハロゲンヒーター」や「小型ストーブ」で、周囲だけを暖める

暖房器具の使い分けで、効率的に暖まることができます。

◆ 注意:見た目の印象で選ぶと思わぬコスト増に

暖房器具は種類によって消費電力が大きく異なるため、「なんとなく節約できそう」という印象だけで選ぶと、実は電気代が高くついてしまうことがあります。とくに、コンパクトで省エネに見える器具でも、種類によっては消費電力が大きいケースもあります。
取扱説明書やメーカーサイトには「1時間あたりの目安料金」が記載されています。使う場所やシーンに合わせて、用途とコストのバランスを確認しながら選ぶことが大切です。

ガス代を左右する
お風呂・シャワーの「給湯の見直し」

暖房と併せて、冬のガス代アップの大きな要因となるのが、お風呂・シャワーなどの「給湯」です。水道水が冷たい冬は、同じ温度のお湯を作るにも多くのエネルギーが必要になるため、おのずとコストが上がります。

シャワー時間を1分短縮して節約

シャワーを約16分間流しっぱなしにすると、一般的な浴槽1杯分の水量になるといわれています。「なんとなく長め」に使っていると、気付かないうちにかなりのお湯を使っていることに。“1日1分シャワー時間を短くする”だけで、年間一人あたり3,000円以上の節約につながるともいわれています。

追い焚きをできるだけ減らす

お風呂の時間を2時間空けると、お湯の温度は4〜5℃ほど下がります。そのたびに追い焚きをしていると、年間で6,000円以上かかることも。できるだけ入浴時間をまとめることでお湯の温度を保つのが効果的です。また、給湯リモコンを「自動」にしたままだと、設定温度を保つためにこまめに追い焚きが入ってしまいます。

◆POINT! 追い焚き回数を減らす工夫

・家族が続けて入浴する
・浴槽のフタをしっかり閉める
・お湯の表面に保温シートを浮かべる
・給湯リモコンは「入浴前にオン→お湯張りが終わったらオフ」に

ちょっとした工夫ですが、積み重ねがガス代の節約に大きく役立ちます。

節水とお湯の二次利用でダブル節約

冬はお湯を使う場面が増えがちですが、工夫をすることで水道代と給湯費の両方が節約できます。

◆POINT! 無理なく節水できる工夫

・シャワーをこまめに止める
・洗面器にお湯をためて洗う
・残り湯を洗濯機の風呂水ポンプでくみ上げて使う
・浴槽の縁や床掃除に使ってから捨てる

基本的な節水に加えて、“一度で捨てない”意識を持つと、無理なく続けられます。

冬こそ大きな差が出る!
「食洗機」と「手洗い」の光熱費比較


機種にもよりますが、家庭用食洗機は1回の運転で使う水はおよそ9〜12リットルほど。一方、蛇口から勢いよく水を流すと、1分間で約12リットルの水が出るといわれています。
つまり、手洗いで“たった1分”水を出しっぱなしにするだけで、食洗機1回分と同じ水量を使ってしまう計算です。実際に1分で食器は洗いきれませんから、手洗いは食洗機の6〜10倍もの水を使うことも。

さらに、冬に手洗いする場合、多くの人がお湯を使います。お湯の光熱費は水の約3倍といわれており、時間が長くなるほどガス代が雪だるま式に増えていきます。一方、食洗機は少量の水を効率よく加熱し、その温水を循環させながら洗う仕組みのため、必要以上に給湯エネルギーを使わないのが大きな特徴です。そのため、手洗いよりも食洗機のほうが、給湯にかかるエネルギー消費を大幅に抑えられるというわけです。

まとめ
冬の光熱費は、「暖房」と「給湯」の2つを少し見直すだけで、無理なく減らすことができます。窓の断熱、部屋の温湿度管理、暖房器具の上手な使い分け、シャワーやお風呂の使い方を工夫するなど、どれも今日から始められるものばかりです。快適さを保ちながら節約効果をぐっと高められます。
冬の家時間を心地よく、そして家計にもやさしくするために、できることから取り入れてみてください。

次回は、「春の節約レジャー」をご紹介します。

※この記事内容は、執筆時点2025年12月3日のものです。

和田 由貴(わだ ゆうき)
日本女子大学家政学部卒業。節約アドバイザー、消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、幅広く暮らしや家事の専門家として多方面で活動。環境カウンセラーや省エネ・脱炭素エキスパートでもあり、2007年には環境大臣より「容器包装廃棄物排出抑制推進員(3R 推進マイスター)」に委嘱されるなど、環境問題にも精通する。私生活では2人の子を持つ母で現役の節約主婦でもあり、日常生活に密着したアドバイスを得意とする。「節約は、無理をしないで楽しく!」がモットーで、耐える節約ではなく快適と節約を両立したスマートで賢い節約生活を提唱している。

TOPページに戻る