季節の不調を解消!
<第3回 こむら返り(足がつる)>

寝ているときや、運動しているときに突然「足がつる」という経験はありませんか?ふくらはぎや足裏に起こる激痛…いわゆる「こむら返り」は、汗をかきやすい暑い夏に特に起きやすい症状です。いったいなぜ起きるのでしょうか?季節性の病気や症状の原因、予防・対処法を専門の先生に教えてもらうこのシリーズ。今回は「こむら返り」についてご紹介します。

監修:

小澤 勝男

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まずはセルフチェック!

 次の項目に当てはまるものがないか、セルフチェックをしてみましょう。3個以上当てはまる場合、「足がつりやすい」傾向にあります。

「こむら返り」の原因と症状は?

 大きな原因は、「体内の水分と電解質(イオン)のバランスの乱れ」によるものです。人間の体は約60~65%を水分が占めていますが、その水分にはカルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルを中心とした「電解質」が含まれます。電解質は、筋肉を収縮させるための神経伝達に重要な役割を果たしており、運動や睡眠中に大量の汗をかくと、知らず知らずのうちに水分とともに電解質も失われ、バランスが乱れてしまうのです。すると、神経伝達に異常をきたし、一部の筋肉が過度に収縮し痙攣の症状が起きてしまいます。これが「こむら返り(足がつる)」です。
 主にふくらはぎに起こりますが、足の裏側や側面、足指、足の甲、すねなどに起こる場合もあり、痙攣の持続時間は数秒間から数分程度。重症の場合は肉離れが起こり、翌日以降も痛みが残ることがあります。激しい運動中や就寝中に発症することが多く、年齢とともに慢性化しやすいといわれています。また、妊娠中の女性もこむら返りを起こしやすい傾向に。妊娠中はミネラルが不足しやすく摂取しても胎児に移行するため、水分と電解質のバランスが崩れてしまうことが原因とされています。また、妊娠後期の下肢静脈血流障害が原因になることもあります。

~先生からのアドバイス~
「こむら返り」の予防と対処法

■水分と電解質の補給

 こむら返りの主な原因は、体内の水分と電解質のバランスの乱れですので、まずは体に水分と電解質を補給することが大切です。水の補給だけでは水分しか摂れないので、スポーツドリンクや麦茶、バイオ茶などミネラルを含むドリンクを活用するといいでしょう。運動前はバナナなどもおすすめです。

■ストレッチ、マッサージ

 運動の前後、また就寝前にストレッチやマッサージを行うことでこむら返りを予防することができます。足首から膝に向かってふくらはぎをマッサージしたり、ふくらはぎや足の裏を伸ばすストレッチを行うなどして、下肢に血流を促してあげましょう。

■体の冷えを防ぐ

 体が冷えると、筋肉が収縮して血行が悪くなることから、こむら返りが起きやすくなります。就寝時はエアコンの設定を低くしすぎないようにしたり、タイマーをかけるなどして、体を冷やし過ぎないようにしましょう。手足が冷えやすい人は、靴下やレッグウォーマーなどを活用するのもいいでしょう。また、夏場はシャワーだけの方も多いかもしれませんが、しっかり湯船に浸かって体を温めてから就寝することをおすすめします。

■患部を伸ばす

 こむら返りが起きてしまったら、まずはつった部分の筋肉を伸ばしましょう。ふくらはぎの場合は、足を伸ばして座り、足の指を持って体の方へと引き寄せたり、壁に足の裏をつけて前屈したりして伸ばします。ただし、無理に伸ばすと筋肉が損傷し、肉離れを起こすことがありますので、ゆっくり伸ばすようにしてください。

「こむら返り」まとめ


■汗をかくことにより体内の水分と電解質のバランスが乱れることが「こむら返り」の原因に。年齢とともに起こりやすく、重症化しやくなります。
■足がつったら患部を伸ばし、スポーツドリンクなどで水分と電解質を補給しましょう。
■体の冷えもこむら返りの大敵。就寝時は部屋を冷やしすぎないようエアコンの設定に注意。冷えやすい人は靴下やレッグウォーマーを活用しましょう。

こむら返りは健康な人にも起きるものなので、過度な心配をする必要はありませんが、足がつった症状を放置すると肉離れを起こしたり、足の痛みによって眠れず睡眠障害を引き起こしたりする危険性もあります。思わぬ不調を招かないよう、きちんと予防することが大切です。頻回に起きる場合、痛みが長引く場合は診療を受けましょう。

※この記事内容は、執筆時点2022年7月11日のものです。

小澤 勝男(おざわ かつお)/医学博士
1967年名古屋大学医学部卒業。名古屋保健衛生大学(現藤田医科大学)胸部外科助教授、静岡済生会総合病院院長、東海医療工学専門学校校長などを務め、現在は東海医療工学専門学校非常勤講師。日本外科学会認定登録医、日本胸部外科学会指導医、日本心臓血管外科学会名誉専門医、日本循環器学会専門医、日本医師会認定産業医。

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