大掃除いらずで新年を迎える!
「分割掃除」術のススメ

大掃除というと年末に一気にやるイメージですが、忙しい現代の暮らしにはなかなか難しいもの。だからこそ秋から始める“分割掃除”で無理なく行うのがおすすめです!「計画・下準備」、「キッチン・ダイニング」、「リビング」、「水回り・玄関」の全4回に分けてポイントをお伝えします。1回目の今回は、計画と下準備。掃除前のちょっとした工夫で、驚くほどラクに、そして楽しく掃除が進められます。
1.まずは計画を立てよう
分割掃除を効率良く進めるには、事前の計画と下準備が欠かせません。ここでは、毎回の分割掃除をスムーズに進めるために、共通して役立つプランニングのポイントをご紹介します。

■月2日を「分割掃除」の日に充てる
時間は午前中スタート、15時終了を目安に
掃除は1日で終わらせようとすると大きな負担になってしまいますが、分割することで余裕を持って進められます。
そこで、月2日を「分割掃除」デーに設定しましょう。その際、家族が協力できる日を確認しておき、日にちと掃除する場所をあらかじめ決めておくことが大切です。
冬場は15時をすぎると陽が落ち始め、汚れが見えにくくなったり、水分が乾きづらくなったりします。そのため、15時ごろまでに作業を終えられるよう、時間設定をするといいでしょう。
■散らかり具合・汚れ具合をチェック
掃除する場所ごとにリスト化する
掃除に取りかかる前に、まず各場所の「散らかり具合」と「汚れ具合」の2つの観点でチェックしてみましょう。散らかりと汚れの状況を初めに確認しておくことで、無駄な動きをカットでき、掃除がグッと効率的になります。
また、「キッチン・ダイニング」、「リビング」、「水回り(トイレ・バス・洗面)・玄関」など、掃除する場所をそれぞれ確認したら、スマホのメモや紙などに書き出してリスト化しておくと、簡単です。
■散らかり
掃除をする前に「出しっぱなしのもの」と「多すぎるもの」に分けて片付けておくと、よりスムーズに掃除が進みます。前者は元の場所に戻すか、しまう場所をつくります。後者は「捨てる」「あげる」「売る」といった方法で減らしていけるよう、計画を立てましょう。
■汚れ
汚れの種類によって、使う洗剤や道具は異なります。あらかじめ汚れがひどい箇所をメモに書き出してリスト化することで、「この汚れにはどんな洗剤や道具を使おうか」と考えておくと、当日の掃除がスムーズに進みます。無駄な洗剤を使わずに済むため、時短になるだけでなく、お財布にもやさしい方法です。
■キッチンの「散らかり・汚れ具合」リスト例
場所 | 散らかり具合 | 汚れ具合 |
---|---|---|
換気扇 | ー | ひどい |
シンク | ー | ふつう |
調理台 | 調味料や食器が多く作業スペースが少ない | きれい |
冷蔵庫 | 消費期限切れの食材や同じ食材が多い | やや汚い |
食器棚 | 使っていない⾷器が多い | ふつう |
■食事の内容を決めておく
ご褒美ごはんで“イベント感”をプラス
掃除の日は、食事の段取りも前もって考えておきましょう。とくに昼食は洗い物の少ないお弁当や軽食を用意しておくと、日常の家事に気を取られることなく掃除に集中できます。夕食も献立を決めておくと安心ですし、頑張った日のご褒美として外食にするのも良い方法です。イベント感を持たせることで、掃除そのものが楽しい時間に変わります。
2.掃除を始める直前の下準備
分割掃除当日は、始める前にひと手間かけておくだけで作業がラクに、そして仕上がりもよりキレイになります。ここでは、どの場所にも共通する下準備をご紹介します。
Before

After

■部屋の物を一時避難させてスペースを空ける
部屋に物が散らかっていると、どうしても掃除がやりにくくなります。まずは動かせる物を部屋の隅にまとめて、掃除スペースをできるだけ広くしましょう。ゴミや処分予定の物は、先にベランダなどに置いておくと効率的です。このひと手間で、掃除時間が短縮でき、ラクにすすめられます。
■カーテンを洗濯機へ
掃除開始前にカーテンを外して洗濯機へいれましょう。掃除の序盤に行う「埃落とし」の間に洗濯が終わるので、洗濯機から取り出したらそのままベランダの物干し竿にかけておきましょう。部屋干ししてもOK。掃除が終わるころにはカーテンも乾きます。家中のカーテンをまとめて洗うと大変ですが、掃除する部屋ごとに進めれば意外と簡単です。カーテンがキレイになると、部屋全体が一気に明るく、清潔でスッキリとした印象になるので、おすすめです。
近藤先生からの
ワンポイントレッスン

掃除の手順は「外から内」へ
普段の掃除は内から外へ仕上げますが、大掃除のときは逆。たとえばマンションならベランダ、一軒家なら庭や物置からスタートしましょう。外にスペースをつくっておけば、処分予定の物を一時的に置くことができます。
分割掃除を「楽しむコツ」は家族みんなでやる
家族で役割分担しながら進めると、達成感も倍増。「すごいね!」「よくできたね!」と声をかけ合えば、モチベーションも上がります。
お家にあるもので簡単にできる掃除グッズ!
「ストッキングたわし」
<用意するもの>
ストッキング(使い古しや伝線して使えなくなったもの)

<作り方>
1.ストッキングの片足を、つま先から約20センチのところでカットします。
2.カットした先の部分に、残りのストッキングを全て詰め込みます。
3.最後に切り口をきゅっと結べば完成。
ストッキングは繊維が柔らかく細かいため、汚れをしっかりキャッチ。とくに窓ガラスや鏡などを傷つけず、繊維も残さずきれいにしてくれる優秀アイテムです。
まとめ
大掃除は年末にまとめてやろうとすると負担が大きくなりがち。だからこそ、秋から始める“分割掃除”で無理なく進めるのがおすすめです。月2日の掃除デーを決め、計画や下準備を整えておけば効率よく進みます。今回お伝えした準備編を、次回以降の実践編にぜひ活かしましょう。家族で協力しながら進めれば、楽しさも加わり、新年を気持ち良く迎えられます。
次回からは、いよいよ実践編。まずは「キッチン・ダイニング」から始めていきましょう。
※この記事内容は、執筆時点2025年10月15日のものです。
近藤 典子(こんどう のりこ)
一般社団法人ホーム&ライフ協会近藤典子代表理事。住まい方アドバイザー/インテリアコーディネーターとして収納や家事動線、掃除の工夫など暮らしを快適にする提案を行っている。テレビや雑誌など多くのメディアに露出。著書は50冊近くあり、累計販売部数は400万部以上。これまでに住まいに関わり、生活の質を高める空間づくりを実践。住まいに関する知恵やノウハウを伝える活動を展開。現在、社会問題となっている空き家対策として、親の家を片付ける活動に力を注いでいる。