新型コロナウイルス関連で
収入がダウンした場合の補償

新型コロナウイルスのパンデミックで、世界中の混乱が続いています。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出された地域では、不要不急の外出・移動の自粛協力要請、飲食業への営業時間短縮要請などで、経営悪化に追い打ちをかけられる業種もありそうです。収入に影響が出てくる世帯も少なくないと考えられ、支援策をチェックしておきましょう。

監修:

浅田 里花

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勤め先が新型コロナの影響を
受けている従業員の休業補償

 生活者向けの経済支援策ですが、2020年は小学校の臨時休校により仕事を休まざるを得なかった保護者の休業補償や、国民全員に10万円の現金給付を行う特別定額給付金といった、新型コロナに特化した経済支援策がありました。しかし、2021年は昨年のような目立った支援策はありません。

 新型コロナの影響で事業活動の縮小を余儀なくされた会社や店に勤めており、雇用が不安定になっている人も出ている状況です。それらの事業主に対しては、従業員の雇用維持を図るために休業手当などの一部を助成する「雇用調整助成金」の制度があり、2021年6月30日まで新型コロナの特例措置として、助成率や上限額の引き上げが行われています。

 とはいえ、勤め先が雇用調整助成金の申請を行わないと、従業員はその恩恵は受けられません。休業手当を受けられなかった人には、本人の申請により支給される「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」があるので、ぜひ申請手続きをしましょう。オンライン申請ページへのリンクは、以下のURLとなっております。
■厚生労働省「新型コロナ休業支援システム※利用にはマイページの登録が必要です。

 中小企業に勤めている人は、2020年12月以前の休業に対する申請期限が5月31日までとなっているので、急ぐ必要があります。2021年1〜4月の休業に対する申請期限は2021年7月31日、5月~6月の休業に対しては9月30日です。
 大企業にシフト制で雇用されている人は、2021年4月までの休業に対する申請期限が7月31日、5月~6月の休業は9月30日となっています。

 支給額の算定は「休業前賃金日額(申請対象となる休業開始月前6ヶ月のうち任意の3ヶ月の賃金の合計額÷90)×80%」ですが、大企業は休業の時期によって要件が違うので確認が必要です。また、2020年4月1日~2021年4月30日の休業には11,000円、2021年5月1日~6月30日の休業には9,900円の上限額が設けられています。

収入が減少し、生活に困窮した場合に
利用できる制度

 新型コロナに限らず、生活が困窮した場合の支援策に「生活福祉資金貸付制度」があります。新型コロナへの対策としては、特に影響を受けた非正規雇用の人・個人事業主をはじめ、休業や失業状態などで生活に困窮している人への対応として、2つの特例貸付が行われています。

 ひとつは「緊急小口資金」で、新型コロナの影響を受けて休業等による収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯向けに、貸付上限額20万円、据置期間(返済しなくていい期間)1年、償還期限(返済期限)2年、無利子、保証人不要で借りられるようになっています。

 もうひとつは「総合支援資金」で、生活再建までの間に必要な生活費用を、2人以上世帯は月20万円以内、単身世帯は月15万円以内を原則3月以内の期間、据置期間1年、償還期限10年、無利子、保証人不要で借りられます。

 いずれも、償還時になお所得の減少が続く住民税非課税世帯であれば、償還免除など、きめ細かく配慮がなされるもようです。申請・相談窓口は、市区町村社会福祉協議会となっています。

 元々ある制度ですが、新型コロナの影響による収入減に対応する制度として「住居確保給付金」も知っておきましょう。収入の減少により住居を失う恐れがある生活者に、原則3か月、最大9か月、家賃相当額(市区町村ごとに定める上限額まで)を自治体から家主に支払う制度です。直近の月の世帯収入合計額、現在の世帯の預貯金合計額、求職活動などの要件があります。
 申請・相談窓口は、お住まいの地域の自立相談支援機関となっています。

低所得の子育て世帯に対する
「子育て世帯生活支援特別給付金(ひとり親世帯分)」

 シングルマザー世帯は、新型コロナの影響を大きく受けたと聞きます。そこで、低所得のひとり親世帯向けに「子育て世帯生活支援特別給付金(ひとり親世帯分)」が、児童1人当たり一律5万円支給されています。
 対象者は以下のとおりです。

①2021年4月分の児童扶養手当の支給を受けている人(申請不要)
②遺族年金など公的年金等を受給していることにより、2021年4月分の児童扶養手当の支給を受けていない人(児童扶養手当に係る支給制限限度額を下回る人に限る)
③2021年4月分の児童扶養手当は受給していないが、新型コロナの影響を受けて家計が急変し、収入が児童扶養手当の受給者と同じ水準となっている人

 ①の人は申請不要ですが、②と③の人は申請手続きしないともらえませんので、自治体窓口に相談しましょう。
 なお、住民税非課税などその他の低所得の子育て世帯についても、同様の支給がなされるようなので、情報に注意しておきましょう。

新型コロナウイルスに関する
家計支援まとめ

小学校の休校で仕事を休まざるを得なかった保護者への休業補償(終了

休業手当を受けられなかった従業員に「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(本文参照

休業や失業による生活資金不足に無利子の貸付制度(本文参照
 → 生活福祉資金貸付制度における「緊急小口資金」「総合支援資金」の拡大

収入の減少により住居を失う恐れがある生活者への家賃支援制度
 → 生活困窮者自立支援制度における「住居確保給付金」

新型コロナウイルスに感染して仕事を休んだ場合の所得保障
 → 各健康保険制度(国民健康保険は自治体に要確認)の「傷病手当金」

国民全員に特別定額給付金
 → 10万円の現金給付(終了

子育て世帯への支援
 → 現状の児童手当に1万円を上乗せして給付(終了
 → 低所得のひとり親世帯向けに児童1人当たり5万円の「子育て世帯生活支援特別給付金(ひとり親世帯分)」(本文参照
 → 低所得のその他世帯向けに児童1人当たり5万円の「子育て世帯生活支援特別給付金」(今後実施

売り上げが半減した中小企業・個人事業主(フリーランス含む)に持続化給付金
 → 中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円の現金給付(終了


※2021年4月30日現在

※この記事内容は、執筆時点2021年4月30日のものです。

浅田 里花(あさだ りか)
ファイナンシャルプランナー、株式会社生活設計塾クルー取締役。コンサルティングや新聞・雑誌などへの原稿執筆、セミナー講師を行う。東洋大学社会学部の非常勤講師としても活躍。代表的な著書に『Q&Aで学ぶライフプラン別営業術』(近代セールス社)など。

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