姿勢を崩す原因
「へんぺい足」の対策は?
普段の生活で気づかないうちに背中が曲がったり、重心が左右に偏ったりして、姿勢が崩れることがあります。崩れた姿勢は体に様々な負担をかけ、首や肩の凝り、腰の痛みなどの原因になります。この記事では、多くの人が抱えやすい姿勢の問題を全6回にわたってご紹介します。第6回目のテーマは、姿勢の崩れを引き起こす「扁平(へんぺい)足」です。
扁平足の原因は
体重の増加と筋力の低下
「扁平足」とは、アーチを描いている土踏まずが潰れ、足裏が平らになった状態。大きく先天性のものと後天性のものに分けられます。
先天性のものは、子どものころから足裏が平らな状態で、痛みがない場合がほとんどです。一方、後天的なものは大人になってから発症し、内側のくるぶしの下が腫れて、痛みが生じやすくなります。
また、土踏まずのアーチには、体の重心を支えて正しい姿勢を保つ役割もあります。扁平足になると、体の重心がずれるため姿勢の崩れにもつながってしまうのです。
偏平足の原因は大きく以下の2つです。
①「肥満・体重の増加」
体重が増えてお腹が出てくると、体は前に倒れやすくなるため、バランスを取ろうと重心が後ろに移ります。その結果、かかとに負担が掛かり扁平足を引き起こすこともあります。
②「足指の筋力の低下」
土踏まずのアーチは、足指の筋肉によって支えられています。加齢や、運動不足によってこの筋力が低下すると、アーチを維持できずに扁平足になることもあります。
足の疲れ、膝や腰の痛みに
つながることも
通常は、土踏まずのアーチがクッションのような役割を果たし、足への衝撃を分散させています。扁平足はそのクッションがなくなるため、足が疲れやすくなったり、その衝撃が膝や腰にまで伝わり、関節痛や腰痛などの痛みにつながることもあります。
<扁平足のセルフチェックポイント>
以下のような場合は、扁平足といえるでしょう。
■足を横からみて土踏まずがない。
■手の人差し指が足裏に入らない。
正しい歩き方と足の体操で
扁平足の改善!
扁平足を改善するために、普段の歩き方や運動習慣に注意していきましょう。
また、足の体操を行うことで、足裏の筋肉を動かすことも効果的です。
<正しい歩き方のポイント>
・1.かかと、2.指の付け根、3.足の指全体、の順番に体重を移動させる。
・足裏全体を使って歩くことを意識する。
<筋肉を動かす足の体操>
■足のギューッパ
①足の裏を床につけます。
②足の甲に力を入れ、
指の付け根とかかとを中心に寄せるようにします。
その後、足の力を抜きます。
【目安】10回
<ポイント>
足の裏は常に床から離れないようにしましょう。
■足指じゃんけん
①かかとを床につけます。
②足の指を動かして
「グー」「チョキ」「パー」
のポーズをつくりましょう。
【目安】3種各10回
<ポイント>
指は大きく動かすとより効果的です。
まとめ
扁平足は、生まれつきの場合は問題がないことが多いものの、大人になってから生じた場合は注意が必要です。体重の増加や筋力の低下が原因で起こり、進行すると痛みを伴うことも少なくありません。また姿勢が崩れることで、腰痛や凝りなど様々な不調を招くこともあります。ウォーキングなどの運動習慣を身に付けると共にご紹介した体操で扁平足を改善し、足元からも健康を作っていきましょう。
※この記事内容は、執筆時点2024年10月2日のものです。
吉原 潔(よしはら きよし)
整形外科専門医・フィットネストレーナー。医学博士。アレックス脊椎クリニック名誉院長。日本整形外科学会専門医、日整会内視鏡下手術・技術認定医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)公認パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザー。運動療法や筋力トレーニングにも精通した医師として、多角的な診療に定評がある。