首や肩の凝りの原因
「スマホ首」を改善しよう

普段何気なく生活をしていると、気付かないうちに背中が曲がっていたり、重心が左右どちらかに偏っていたりと崩れた姿勢でいることが少なくありません。崩れた姿勢でいると、体の様々な箇所に負担が掛かり、首や肩の凝り、腰の痛みなど体のトラブルの原因になってしまいます。この記事では、多くの人が抱えやすい姿勢の問題を全6回にわたってご紹介します。第2回目は、「スマホ首」ともいわれる「ストレートネック」の改善です。

監修:

吉原 潔

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首の骨が真っ直ぐになると
「スマホ首」に

 「スマホ首」とは、通常緩やかなカーブを描いている頸椎(首の骨)が真っ直ぐになっている状態のこと。その形から「ストレートネック」とも呼ばれています。

 通常は、頸椎が緩やかなカーブを描くことでクッションのように働き、頭の重さによる負荷を分散させています。しかし「スマホ首」の場合では、その働きがなくなり首や肩へ負担が大きくなるため、不調を招いてしまいます。スマホ首になる原因は大きく以下の2つです。

①「スマホの見過ぎ」

 現代人にとって、スマホは生活に欠かせないものとなっています。その分、視聴時間も長くなり大きな原因となっています。
 スマホを見るときは、首が前に倒れ、頸椎が真っ直ぐな状態になります。その状態で長くいると、首の筋肉は固まり頸椎の真っ直ぐな状態が、常態化してしまうのです。スマホだけでなく、パソコンや本も長く見続けていると、同様の状態になってしまいます。

②「枕の高さが合っていない」

 睡眠中の姿勢も関連しています。枕が高過ぎると、首が曲がり、頭が前に押し出されるため、スマホ首の原因になります。
 仰向けに寝たときに、首が大きく曲がるような高さの枕は避けましょう。

スマホ首のセルフチェックポイント

 壁に「かかと」「お尻」「両肩」「後頭部」をぴたりとつけるように立ちます。
 このとき「後頭部」が壁につかない、ついても胸のあたりが息苦しい場合は、スマホ首といえるでしょう。

正しい姿勢のポイント

・かかとから、お尻、肩、頭が一直線になっている。
・腰が緩やかなカーブを描いている。

(壁にかかとをつけたとき、壁と腰の間に手の平程度の隙間ができていればOKです)
上記2つができているのが正しい姿勢です。
椅子などに座るときは、深く腰を掛け、顎を引いて背中を伸ばしましょう。

・スマホは目線と同じ高さ、もしくはやや下になる高さに持ちましょう。
胸を支えるように脇の下に手を入れ、目線を高くすると首周りの負担が軽減されます。

しびれや痛み
自律神経の乱れにつながることも

 スマホ首が常態化すると、首周辺の筋肉へ必要以上に負担が掛かり、首や肩の凝りにつながります。生活に支障がない方も少なくありませんが、それらの凝りが悪化すると、筋肉だけでなく関節や神経にも負担が掛かり、手や肩にしびれや痛みが生じることもあります。
 また、首周りの筋肉が硬くなると、自律神経にも悪影響があることが分かってきました。自律神経が乱れると、眼精疲労や自律神経失調症などを発症するリスクが高くなってしまいます。
 スマホ首は、簡単には元には戻らないため、日頃からスマホを使うときの正しい姿勢を普段から心掛けていきましょう。また、次に紹介する体操を行うことで、首周りの凝りをほぐし、スマホ首の改善につながります。

■首の前側ストレッチ

①背筋を伸ばして座り、
首を後ろへ倒し真上を見て
首の前側を伸ばします。

②①の状態から、顎を引きましょう。

【目安】10回

<ポイント>

②の動作は首の前側が突っ張ったような状態が正解です。首ではなく頭蓋骨を動かすイメージを持つと行いやすくなります。

■タオルストレッチ

①タオルを用意し首に掛け、
背筋を伸ばして座ります。

②斜め上を見るように顔を上げ、
タオルをグッと前へ引っ張ります。

【目安】10回

<ポイント>

タオルを前へ引っ張るときに、
首は前へ動かないようにしましょう。

まとめ
 スマホ首は、家でくつろいでいるときや電車で移動しているときなど、スマホを見ることが常態化した現在の多くの人が抱える悩みの一つです。スマホやパソコンを見るときには目線が下になり過ぎないように姿勢に注意しましょう。また、長時間使用しないことも予防法の一つです。1時間見たら10分休むなど、適度に休憩を取り入れながら改善していきましょう。

※この記事内容は、執筆時点2024年4月24日のものです。

吉原 潔(よしはら きよし)
整形外科専門医・フィットネストレーナー。医学博士。アレックス脊椎クリニック名誉院長。日本整形外科学会専門医、日整会内視鏡下手術・技術認定医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)公認パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザー。運動療法や筋力トレーニングにも精通した医師として、多角的な診療に定評がある。

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