季節の不調を解消!
<第1回 春バテ>

暖かくなったのはいいけれど、なんだか体がだるい、やる気が起きない、風邪っぽい…などの症状に悩まされている方もいるのではないでしょうか。じつは、春は昼夜の寒暖差や新生活の緊張などから心身の体調を崩しやすくなる時季です。このような季節性の不調の症状や原因、予防・対処法を専門の先生に教えてもらうこのシリーズ。今回は「春バテ」についてご紹介します。

監修:

小澤 勝男

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まずはセルフチェック!

 次の項目に当てはまるものがないか、セルフチェックをしてみましょう。3個以上当てはまる場合、「春バテ」の可能性があります。

「春バテ」の症状と原因は?

 「春バテ」は医学用語ではなく、春になると起こる体調不良のことをいいます。
 この時季は、一年の中でも寒暖差が大きく、日中は暖かな陽気でも、朝晩は冬のような寒さを感じる日もあります。また、低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わります。
 こうした気温や気圧の変化に対応するために働くのが自律神経。自律神経には、体温を調節したり、内臓の働きや代謝をコントロールする役割があります。しかし、寒暖差や気圧差が激しいとコントロールが困難になるため、疲れやだるさ、頭痛やめまいなどの体の不調だけでなく、落ち込みやすくなったり、イライラしたりなど、気持ちの面にも影響が出てしまうのです。
 さらに、引っ越しや就職など生活環境の変化も多い時季です。気付かないうちに緊張状態が続いたり、ストレスが溜まったりすることによっても自律神経が乱れ、春バテの原因となります。

~先生からのアドバイス~
「春バテ」の予防と対処法

■体を温める

 寒暖差が激しくなると、自覚症状がなくても知らず知らずのうちに体が冷えていることがあります。春は服装が薄着になりがちですが、寒くなったときに羽織れるものを持ち歩いておくと安心です。
 また、入浴はシャワーで済まさず、湯船に浸かることをおすすめします。38~40℃のぬるめのお湯に15~20分程度入浴すると、体の芯まで温まって効果的。体を温めることで自律神経が整い、睡眠も深くなり心身をリラックスさせることができます。

■運動

 運動を習慣付けると、血流とともに代謝も良くなり、体温が上がりやすい体になります。とくにウォーキングやサイクリング、水泳などの有酸素運動が効果的。有酸素運動は自律神経のバランスを整えるセロトニンの分泌を促し、心のバランスも安定しやすくなります。
 日常生活では、できるだけ階段を使う、いつもより早足で歩く、電車ではなるべく立つことを習慣にするだけでも、運動効果を得られます。

■睡眠

 春は日が長くなるため、つい夜更かしをしてしまったり、気温の変化でうまく寝付けなかったりします。心身の疲労を回復ためにも、睡眠は質・量ともに十分に取ることが大切です。
 質の良い眠りを誘うために、入浴や軽いストレッチ、マッサージで体を温めたりほぐしたり、寝る前はテレビやスマホなどを見ないようにするなどして、心身をリラックスさせてから入眠しましょう。

■リフレッシュ

 体や心は自然とストレスを抱えてしまうもの。引っ越しや異動など、環境の変化があるとなおさら溜まりやすくなります。普段から、物事をネガティブに考えず、前向きな気持ちでいるよう心掛けましょう。
 ストレスを感じたときは、ショッピングや好きな趣味などで普段の生活から離れてみると、心身のリフレッシュが図れます。
 動くことが面倒なときには、家で何もしない時間を作り、ゆっくり休んだり、音楽や香りを楽しんでみたりするのもいいでしょう。

「春バテ」まとめ


■寒暖差や気圧の変化、新生活のストレスなどによる自律神経の乱れが原因に。
■暖かい服装や入浴で、体が冷えないよう注意。
■運動習慣を身に付けることで、体温が上がりやすい体に。
■疲労とストレスを溜めないよう睡眠は十分に取る。
■趣味の時間を作るなど気持ちをリフレッシュさせることも大切。


自律神経の乱れは自覚しにくく、「いつの間にか春バテになっていた」というケースも少なくありません。普段以上に体調管理を心掛けるとともに、自分に合った対策を見つけて、気持ち良く健やかな春を楽しみましょう。

※この記事内容は、執筆時点2022年2月9日のものです。

小澤 勝男(おざわ かつお)/医学博士
1967年名古屋大学医学部卒業。名古屋保健衛生大学(現藤田医科大学)胸部外科助教授、静岡済生会総合病院院長、東海医療工学専門学校校長などを務め、現在は東海医療工学専門学校非常勤講師。日本外科学会認定登録医、日本胸部外科学会指導医、日本心臓血管外科学会名誉専門医、日本循環器学会専門医、日本医師会認定産業医。

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