公立でも思わぬ出費が…
教えて!子どもの教育費

家計の中で備えておきたいお金のひとつが、「子どもの教育費」です。1人1,000万円以上かかるともいわれていて、不安に思う人がいるかもしれません。具体的にどのように準備をしていけば良いのか、専門家に解説してもらいます。

監修:

清水 香

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生まれたらすぐ積立開始
早めの準備が肝要

 子どもの教育費は、未就学時期から大学まで、そのときどきでかかるものです。もちろん、公立より私立の方がより多くかかるという傾向はありますが、はっきりしていることは、「子どもが生まれて20年前後は途切れることなくかかり続ける」ということです。

 しかし、教育費は突然必要になるものではなく、いつ頃大きなお金がかかるのかは目安がつきやすいお金です。そのため、早めの準備がとても大事になります。大学進学時に慌てることにならないように、できるだけ早い時期(できれば生まれたとき)から少しずつ準備を始めましょう。

生まれてから20年前後
かかり続ける教育費

 それぞれの段階でどれだけ学校の教育費がかかるかというのが、図表①のデータです。高校まで公立に通うと想定すると、いちばん教育費がかかるのは大学です。4年間にかかるお金は、国公立大学で約260万円、私立大学で約548万円。このほかに通学や一人暮らしをする費用もかかってきます。

 大学のなかでもいちばんお金がかかるのが初年度です。私立大学に進学する場合、受験から入学までにかかる費用は、自宅通学で約160万円、自宅外通学で約220万円(「私立大学新入生の家計負担調査 2020年度(東京私大教連)」より)。急には払えないので、事前の準備が必要になります。
 また、塾や家庭教師などの補助学習費がいちばん多くなるのが中学3年です(図表②)。この年だけで平均40.8万円かかります。

余力ができる
小学校の6年間が「貯めどき」

 教育費には2つのピークがあります。それは、中学3年と大学進学時です。
 教育費の準備は、図表③のようなイメージで行いましょう。まず、高校卒業までの教育費は家計費のなかでまかないつつ、並行して大学入学のための積立をしていきます。目標は、高校卒業までに最低200万~300万円を貯めること。

 その際、児童手当(※1)は心強い味方になります。所得制限未満の世帯の場合、生まれたときから児童手当を貯めていくと、それだけで約200万円になります。図表④のように、所得制限未満の世帯なら児童手当プラス5000円、所得制限以上の世帯ならプラス1万円の積立をしていくと、18歳までに約300万円貯められる計算になります。これならできそうな気がしませんか?注意点は、申請してキチンと児童手当を受け取ることと、生活費の口座と分けて児童手当を貯めることです。
(※1)世帯主の年収が1,200万円以上の場合は、2022年10月支給分から廃止になります。

 教育費の貯めどきは、小学校の6年間です。中学~高校になると部活や塾の費用もかかってくるため、小学生になったら、習いごとを増やしたり、家族旅行に使う前に、まず教育費の積立を増やしましょう。小学校の間だけでも、毎月1万円増やすと6年間で72万円貯まり、中3時の費用に充てられます。

「子どもが生まれたら学資保険」
は、もう古い!?

 以前は、「子どもが生まれたら学資保険」といわれていましたが、今はあまり有利ではなくなっています。保険は満期になる18歳まで加入し続けないと損をしてしまうので、利用するなら確実に続けられる金額で入ることと、元本割れしないものを選ぶことがポイントです。
 基本的には増えもしないけれど減りもしない積立預金でOKです。預金であればいつでも引き出せるので、想定外のことにも対応できます。
 大学の学費をすべて用意できない場合は、奨学金や教育ローンを使います。奨学金は本人が借りて返すもの、教育ローンは親が借りて返すものです。奨学金には、返済の必要がある貸与型と返済しなくてよい給付型があります。貸与型を使う場合は、返済することを考えて借り過ぎないように注意しましょう。高校卒業前に申し込んでおけば、5~6月頃から入金されますが、入学時に払う初年度納付金には間に合いません。初年度納付金が貯まっていない場合は、教育ローンを検討しましょう。
 ある程度子どもが大きくなったら、「ここまでは親が準備する」「それ以上は子どもが奨学金で借りる」など、家計の事情も含めて親子で教育費の話し合いをすることが必要です。

※この記事内容は、執筆時点2021年8月2日のものです。

清水 香(しみず かおり)
1968年生まれ。FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表、株式会社生活設計塾クルー取締役。生活者向け相談業務のほか、執筆、講演など幅広く展開、TV出演も多数。財務省の地震保険関連の政府委員を歴任、自由が丘産能短期大学講師、日本災害復興学会会員。

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