自律神経を整える!
10秒 呼吸力トレーニングで不調改善

最近「疲れやすい」「集中力が続かない」と感じることはありませんか?その原因、実は「呼吸」が影響しているかもしれません。ポイントは“深く吐き、鼻から吸うこと”。たった10秒の呼吸で、自律神経が整い心と体が軽くなる「10秒 呼吸力トレーニング」をご紹介します。
あなたの呼吸は大丈夫?セルフチェック
普段、呼吸は意識せずに行っているものですが、ちょっとしたクセの積み重ねが体の不調につながることがあります。まずは、今の自分の呼吸がどんな状態かをチェックしてみましょう。
当てはまる項目がある場合、正しい呼吸ができていない、もしくは呼吸力が低下しているサインかもしれません。

深い呼吸が自律神経を整える
呼吸は、自律神経を自分の意志でコントロールできる、数少ない方法です。
ただし、浅く速い呼吸では常に緊張モードになり、交感神経が優位に。血圧や心拍が上がり、心身が休まらず、疲れやすさや不眠、イライラなどの不調につながってしまうのです。

一方で、深くゆっくりとした呼吸では副交感神経が優位になり、血圧や心拍が落ち着き、自然とリラックス状態へとつながります。
つまり、「呼吸の質」を変えることが、自律神経の働きを整える第一歩。毎日の深い呼吸の積み重ねが、健康寿命を伸ばすための大事な土台になります。
正しい呼吸=鼻呼吸
深く整った呼吸には、鼻呼吸が欠かせません。鼻は天然のフィルターの役割を持ち、鼻毛や粘膜がウイルスやアレルゲンの侵入を防いでくれます。
一方、口呼吸ではこのフィルターが働かず、乾燥や細菌の繁殖を招き、風邪やアレルギーのリスクが高まる要因に。マスク生活が長引いた影響や、スマホを見ているときの前かがみ姿勢によって、無意識のうちに口呼吸になっている人が増えているという背景があります。

今日からできる!呼吸力アップ法
トレーニングを日常的に行うことで、鼻呼吸が身に付き、呼吸力が高まっていきます。
■10秒 呼吸力トレーニング
呼吸力を高めるポイントは、「吸う」よりも「吐き切る」こと。深呼吸というと“深く吸う”イメージがありますが、実は“深く吐く”が本来の深呼吸なのです。吐き切ることで自然と息が入り、より深い呼吸になります。
①背筋を伸ばし、視線をまっすぐ前を見る

立つ場合は、足を腰幅に開き、背筋を伸ばします。
座る場合は、背中をしっかり支えられる椅子を使いましょう。

②7秒かけてゆっくりと息を吐き出す

お腹の奥から空気を押し出すように、最後まで吐き切ります。

③吐き切ったら
3秒かけて鼻から自然に吸い込む

②〜③で1セット約10秒。1分間に6回を目安に数セット繰り返すのが理想ですが、1セット行うだけでも気持ちがすっと落ち着き、頭がクリアになります。
このトレーニングは、信号待ちやレジの順番待ちなどのすき間時間にも実践できます。緊張する会議の前や、集中力を取り戻したいときにもおすすめです。

■安全に行うためのポイント
呼吸法は無理をしないことが大切です。めまいや息苦しさを感じたら中止しましょう。また、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や心疾患のある方は、医師に相談したうえで実践するようにしてください。
まとめ
呼吸は、自律神経を整えるためのもっとも身近なセルフケアです。鼻呼吸を習慣にし、「深く吐く」ことを意識するだけで、体のリズムは驚くほど整っていきます。朝起きたとき、仕事の合間、眠る前ーどんなときでも10秒あれば実践できます。ぜひ、今日から始めてみてください。
※この記事内容は、執筆時点2025年11月5日のものです。
奥仲 哲弥(おくなか てつや)
呼吸器外科医。医学博士。TOKYO FUTURE CLINIC院長。国際医療福祉大学医学部前教授。山王病院前副院長。専門は肺がんの外科治療・レーザー治療。肺がんの専門家として、診断から緩和療法まで責任を持つ ことをモットーとしている。メディアへの出演も多く、健康・医療問題のわかりやすい解説に定評がある。『1回1分! 100歳でも息切れなし!長生き呼吸』(あさ出版)、『お腹からへこむ! すごい「やせ呼吸」』(講談社)など著書多数。
