もしも在宅時に
災害が発生したら?

災害時はほんの少しの行動が生死を分けるラインになることも。まずは安全確保につとめ、むやみに移動しないことが大事です。いざという時に慌てないよう、気をつけておくべきポイントはどんなことでしょうか?

監修:

高荷 智也

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地震の場合

■ 揺れを感じたら自宅内の「安全ゾーン」へ逃げ込もう

 家の中に「転倒、衝突、落下などの危険がない部屋・空間」、例えば頭より高い位置に吊戸棚などがなく、倒れてくるような家具や家電もない「安全ゾーン」を作って揺れが収まるのを待ちます。落下物がなければ廊下や玄関などでもOK、狭い空間でも「柱が多い場所」のほうがより安全だと覚えておきましょう。日中でも夜間でもすぐに「安全ゾーン」を目指せるよう、日常的に訓練をしておくことが大切です。

■ 火災が発生していたらまず初期消火を

 室内から出火した場合は、避難の前にまず消火器を使い消火する、119番通報をする、近所へ大声で叫んで応援を呼ぶなど、初期消火を。ただし、炎が背丈を超えて天井に達したら、炎よりも煙に巻かれて命を落とす可能性が高くなるため、初期消火をあきらめてすみやかに避難しましょう。

■ 地震火災が発生しそうなら「足を止めない」こと

 木造住宅が密集する地域は火災の危険性が高いため、すぐに広域避難場所(指定緊急避難場所)へ移動を。大地震で同時多発的に出火しても消防車が来られず、地域全体が大規模火災に巻き込まれることも。さらに状況が悪化した場合は「火災旋風」が発生し、地域を焼き尽くす可能性もあります。広域避難場所に着いても安心せず、移動できる限界まで火災から離れること。

■ 津波が到達するエリアなら迅速に高台へ

 津波の発生が予想される地域の場合は、地震発生後、揺れが収まると同時にすみやかに、高台や丈夫なコンクリート製のビルの高層階への移動を開始しましょう。津波避難の基本は、距離よりも“高さ”。遠くに行くのではなく、とにかく高い場所を目指して。

台風・豪雨の場合

■ 「高齢者等避難」情報が出た段階で避難所へ移動を

 台風や豪雨の場合は事前に発生が察知でき、浸水害が発生する場所がある程度決まっています。浸水する地域に住み、かつ子どもや高齢者など移動に時間がかかる家族がいる場合は、自治体の警戒レベル3「高齢者等避難」情報が出た段階、または避難所が開設された段階で、すみやかに移動をしましょう。

■ 「浸水時でも安全な移動ルート」を事前に把握しておこう

 浸水レベルは、ほんの少しの高低差で大きく変わります。浸水する地域に住んでいる場合は事前にハザードマップを手に入れておき(コチラを参照)、複数の避難場所を把握しておきましょう。また、そこまで実際に歩いてみて、安全度の高そうな移動ルートを考えておきましょう。自宅の上階まで水没する地域の場合は建物の上階に避難をしても危険なため、さらに早めの準備と移動を。

■ 崖の近くに家がある場合は、寝室の場所を考えよう

 崖崩れ、地すべり、土石流などの災害は浸水よりも進行が早く、避難が間に合わない可能性が高くなります。自宅が土砂災害の警戒地域内にある場合は、豪雨や浸水で身動きが取れなくなる前に早めに避難を。崖の近くに自宅がある場合、寝室の場所は崩れた際に影響を受ける部屋を避けましょう。1階よりも2階の方が比較的安全です。

■ 周囲が水没した場合は移動せず上階へ!

 「水害の進展は早い」ということを覚えておきましょう。すでに周囲が水没している場合、徒歩による避難はかえって危険です。過去の水害による事例や国土交通省などによる実験でも、浸水深が50cm、大人の膝程度で避難が困難になったというデータが残っています。移動はあきらめ、自宅の上階やマンションの上部へ垂直避難を行いましょう。

※この記事は、都道府県民共済グループ発行「命を守る防災ハンドブック」の抜粋です。
内容は、執筆時点2024年8月1日のものです。

高荷 智也(たかに ともや)
備え・防災アドバイザー。家庭の防災から企業のリスク管理まで「備え」をテーマに、講演会・執筆・テレビ出演・コンサルティングといった専門家サービスを提供する「ソナエルワークス」代表。

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