大掃除いらずで新年を迎える!
「分割掃除」術のススメ

大掃除というと年末に一気にやるイメージですが、忙しい現代の暮らしにはなかなか難しいもの。だからこそ秋から始める“分割掃除”で無理なく行うのがおすすめです!「計画・下準備」、「キッチン・ダイニング」、「リビング」、「水回り・玄関」の全4回に分けてポイントをお伝えします。第3回は、気がつくと散らかりがちな「リビング」。家族が集まる場所をスッキリ整えて、年末を気持ちよく過ごしましょう。

監修:

近藤 典子

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1.「仕分け」から始めて
 「指定席」を決めよう

秋の終わりは、窓を開けての作業もしやすく、家具を動かすのにもぴったりの季節。ここでリビングを整えておくと、12月は水回り中心に集中でき、年末の大掃除に追われることもありません。

しかし、一生懸命片付けても、なぜか散らかって見えるリビング。その原因は、色や種類がバラバラに混在している「モノの氾濫」です。雑誌や郵便物、おもちゃなど…家族がいろいろなモノを持ち寄るため、色や形のバラつきが“雑然感”を生み出します。スッキリ見せるコツは、種類ごとに「仕分け」して、それぞれの「指定席」をつくること。モノが定位置に収まるだけで、視界が一気に整い、片付け後の維持もしやすくなります。

<手順>

1.家族共用のモノと個人のモノを分ける

最初に、“誰のモノか”を明確にします。家族で共通して使うモノと、個人のモノを仕分けましょう。個人のモノでリビングに置かなくてもいいモノは、各自の部屋に持ち帰って整理します。これだけでも空間の印象がぐっとスッキリします。

2.種類ごとに仕分けする

「雑誌」「郵便物」「おもちゃ」など、カテゴリーごとにモノを分類し、集めます。

3.使用頻度で3つに分ける

それぞれを「よく使う」「時々使う」「ほとんど使わない」のグループに分けます。

4.使う頻度に合わせて収納場所(指定席)を決める

・よく使うモノ→手の届く位置に
・時々使うモノ→手の届く位置の周囲に
・ほとんど使わないモノ→高い場所や棚の奥のスペースに

リモコンやティッシュなどの「よく使うモノ」は手の届く位置に、アルバムや季節用品などの「時々使うモノ」は収納棚の中やボックスに、「ほとんど使わないモノ」来客用グッズなどは高い場所や奥のスペースに置くなど。使う頻度を基準に配置を見直すことで、日常的な動線がスムーズになり、“片付けやすいリビング”をキープできます。

近藤先生からの
ワンポイントレッスン


家族で守るキレイのルール
「場所ごとに責任者を決める」

リビングのような家族共有のスペースは、「いつか誰かが片付けてくれる」と思っているうちは、誰も動かず散らかる一方。そこで、エリアごとに「責任者」を決めると、家族みんなでキレイを保ちやすくなります。
「テレビまわり」「テーブルの上」「本棚」「おもちゃ箱」など、エリアごとに置き場所と担当者を決めましょう。さらに、家族それぞれの持ち込み量の上限を設定しておくと、モノが増えすぎるのを防げます。もしエリアがあふれたら、担当の責任者が声をかける――そんな“家族ルール”をつくることで、無理なく、楽しく、スッキリをキープできます。

2.家族が集まる場所をピカピカに
 リビング掃除の手順

仕分けと片付けが完了したら、次はいよいよ掃除です。第1回の記事で紹介したように下準備として、なるべく部屋のものを一時避難させ、掃除スペースを広くしましょう。リビングにカーテンがある場合は、このタイミングで洗濯機に入れて回しておくと良いでしょう。
リビングは家具や家電が多く、埃や汚れがたまりがち。放っておくと空気の汚れやアレルゲンの原因にもなります。年末を気持ちよく迎えるためにも、今の時期に“分割掃除”でリビングを整えておくと安心です。まずは、リビング全体を効率よくキレイに保つための基本の掃除ステップを紹介します。

<用意するもの>

・はたき
・フロアワイパー
・掃除機
・雑巾(お湯拭き用・乾拭き用)
・竹串

<掃除手順>

1.全体の埃取り

前回記事の「2.“上から下へ”がコツ!まずは埃取りから始めよう」を参考に、まずは“上から下へ”を意識して、部屋全体の埃を落とします。テレビまわり、棚の上、照明器具など、高い場所からはたきで軽くなでるように。埃を先に落としておくと、後の掃除機がけが効率的に進みます。

2.掃除機をかける

床全体にまんべんなく掃除機をかけます。フローリングの溝に詰まったゴミは竹串でかき出してから、板目に沿ってかけましょう。家具の下や壁との隙間は、「ストローノズル」を使うと便利です。

3.お湯拭きで汚れを緩ませる

40~50℃程度のお湯に雑巾を浸してしっかり絞り、手垢や皮脂汚れが付きやすいテレビ台・スイッチまわり・テーブルなどを拭き取ります。お湯の温度で汚れが浮きやすくなり、洗剤を使わなくてもピカピカにできます。

4.乾拭きで仕上げる

最後に乾いた雑巾で全体を拭き上げます。水分を残さないように丁寧に乾拭きすると、表面にツヤが出て、埃や皮脂がつきにくくなります。

お家にあるもので簡単にできる!
掃除グッズ「ストローノズル」

<用意するもの>

・掃除機のノズル
・ストロー3〜4本
・セロテープ
・布粘着テープ

<作り方>

1.ストロー3〜4本を並べてセロテープで固定する。
2.掃除しやすいように端から斜めにカットする。
3.掃除機のノズルの先に差し込み、布粘着テープを巻いてしっかりとめる。

ストローノズルは、掃除機のノズルよりも細く長い形状なので、家具と壁の間や家具の下などの細いすき間にもスッと入り込み、埃やゴミをしっかり吸い取ってくれます。使い捨てできるため衛生的で、掃除機本体のノズルが汚れないのも嬉しいポイント。簡単に作れて実用性も高い、おうち掃除の強い味方です。

3.場所・素材別お手入れポイント

リビング全体の掃除が終わったら、次は、ソファやカーペット、畳のお手入れのコツを紹介します。

■カーペットのお手入れ

<用意するもの>

・歯ブラシ
・亀の子たわし
・掃除機

<掃除手順>

1.亀の子たわしで毛をブラッシング

カーペットの中に入り込んだゴミをかき出すため、まず毛を立たせるようにブラッシング。そのあと毛を寝かせる方向に撫でると、奥に詰まったゴミがしっかり浮き上がります。

2.掃除機を縦・横方向からかける

最初はカーペットの毛の流れに平行に掃除機をかけ、そのあと直角方向にかけます。異なる方向から吸うことで、繊維に絡まった埃やゴミをしっかり除去できます。

毛の流れと平行にかける
毛の流れと直角方向にかける

■畳のお手入れ

<用意するもの>

・掃除機

<掃除手順>

1.畳の目に沿って掃除機をかける

畳の目に逆らうと埃が奥に入り込むため、必ず目に沿ってゆっくり動かすのがポイントです。

2.ヘリまわりを念入りに

ゴミが溜まりやすいヘリ部分は、ノズルを細くして丁寧に吸い取りましょう。

■ソファのお手入れ

<布ソファ>

おしゃれ着用洗剤を通常の倍に薄めて布に含ませ、軽く叩くように汚れを拭き取ります。最後に水拭きし、乾いたタオルで水分を取って風通しのよい場所で乾かします。

<革ソファ>

靴用のブラシやクリーナーが便利。ブラシで埃を取った後にクリーナーで汚れを取り、仕上げに布で磨き上げると、ツヤが戻り、ひび割れ予防にもなります。

まとめ


家族が集まるリビングは、暮らしの中心であり、同時にモノや汚れがたまりやすい場所でもあります。だからこそ、秋のうちに「分割掃除」でしっかり整えておくのがおすすめです。「仕分け」でモノの流れを整え、「掃除」で空間をリセットすることがポイント。エリアごとに責任者を決めて定位置を守る、汚れを見つけたらその場でサッと拭く――そんな小さな習慣を毎日少しずつ積み重ねることで、年末に慌てなくても、いつでも心地良いリビングをキープできます。気持ちの良い新年を迎えるためにもぜひやってみてください。

次は、分割掃除の最後。暮らしの快適さを左右する「水回り」と、家の印象を決める「玄関」です。

※この記事内容は、執筆時点2025年11月12日のものです。

近藤 典子(こんどう のりこ)
一般社団法人ホーム&ライフ協会近藤典子代表理事。住まい方アドバイザー/インテリアコーディネーターとして収納や家事動線、掃除の工夫など暮らしを快適にする提案を行っている。テレビや雑誌など多くのメディアに露出。著書は50冊近くあり、累計販売部数は400万部以上。これまでに住まいに関わり、生活の質を高める空間づくりを実践。住まいに関する知恵やノウハウを伝える活動を展開。現在、社会問題となっている空き家対策として、親の家を片付ける活動に力を注いでいる。

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