共働き世帯は要注意
「パート収入の壁」
人生100年といわれる今、老後の生活、中でも「お金」について心配されている方が多いようです。この不安を少しでも解消するために「老後のお金を守る」をテーマに、専門家のアドバイスをシリーズでお送りしています。今回は、パートの収入についてのコラムです。
<コラム〜老後資金を貯める〜>
パートで働くならいくらまでが有利?
老後資金を増やすには、夫婦共働きで世帯収入を増やす必要があります。妻がパートなどで働く場合には、「パートの収入の壁」があるので「いくら働くのが有利なのか」が気になるでしょう。パートで働く妻が夫の扶養に入るには「税金面の壁」と「社会保険の壁」がありますが、注意すべきは「社会保険の壁」です。
妻のパート収入が年間130万円未満なら、会社員の夫の「社会保険の扶養」に入ることができ、保険料を払わずに済みますが、それ以上になると妻は自身で保険料を払うことになります。これとは別に、パート先が従業員101人以上(2024年10月からは51人以上)の企業だと年収106万円以上働くと、パート先は社会保険に加入させなくてはいけないルールがあります。
妻が「壁」を超え、自分で厚生年金や健康保険の保険料を払うことになると、年収が多少増えても手取りが減ってしまう「働き損」の状態になります。もちろん、社会保険に加入すると、将来の年金額が増えるなどメリットもあります。そう考えると、手取りが減ってしまう「働き損」になる収入を超えるまで働いてみる方法もあるのではないでしょうか。また、106万円から社会保険に加入できる企業のパート職員になると、「働き損」は年収125万円以上で解消されるので、ハードルが低くなります。
※この記事は、都道府県民共済グループ発行「老後のお金を守る本」の抜粋です。
内容は、執筆時点2024年8月1日のものです。
深田 晶恵(ふかた あきえ)
ファイナンシャルプランナー(CFP®)。会社員を経て、1996年にFPに転身。すぐに実行できるアドバイスをするのがモットー。近著に「まだ間に合う! 50代からの老後のお金のつくり方」(日経BP)などがある。