国民年金保険料が
支払えないときの制度

人生100年といわれる今、老後の生活、中でも「お金」について心配されている方が多いようです。この不安を少しでも解消するために「老後のお金を守る」をテーマに、専門家のアドバイスをシリーズでお送りしています。今回は、国民年金保険料の納付が難しい場合の制度についてご紹介します。

監修:

内藤 眞弓

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申請手続きをすれば
受給資格期間に加算される

■未納のままにはしない

 収入の減少や失業などによって国民年金保険料の納付が難しくなることもあります。しかし、未納のままにしてしまうと、老齢年金だけでなく、現役世代の保障にもなる遺族年金や障害年金が受け取れなくなったり、年金額が減ったりします。保険料が支払えないときは、必ず免除や納付猶予の手続きをしましょう(ただし、納付猶予については、申請は49歳までです)。

 公的年金を受け取るには、国民年金に10年以上の加入期間(受給資格期間)が必要です。免除や納付猶予された期間も受給資格期間に加算されます。
 保険料免除には、全額免除と一部免除があります。一部免除には「4分の1」「半額」「4分の3」があります。どれに該当するかは、前年の所得の金額によって判定されます。
 全額免除を受けた場合でも将来受け取る年金額は半額が保証されます。一部免除の場合は、支払った保険料に応じて、年金額が計算されます。

■免除や猶予を受ける場合は申請を

 免除を受ける場合には申請が必要ですが、申請を忘れていた場合でも過去2年までは遡って手続きが可能です。申請先は自治体の年金担当窓口または年金事務所です。なお、免除を受けると、付加年金や小規模企業共済は利用できません。
 また、学生には「学生納付特例制度」があります。学生本人の前年の所得が一定基準以下の場合、国民年金保険料の納付が猶予される制度です。「学生納付特例制度」を利用した期間は、将来の年金額には反映されませんが、受給資格期間にはカウントされます。

失業や出産でも保険料の
免除が受けられる

 会社を退職(失業)したために保険料の納付が困難になった場合には、「退職(失業)による特例免除」の対象となる可能性があります。通常の免除は前年の所得によって判定されますが、失業の場合には前年の所得に関係なく免除が受けられます。自営業で事業を廃止した場合にも一定条件を満たすと対象になります。
 出産をした場合は産前産後期間の保険料免除制度があります。この期間は受給資格期間にカウントされると同時に、将来受け取る年金額も満額が保証されます。

免除等の保険料は追納できる

 免除制度等を利用すると将来の年金額は減額されます。その場合、後から追加納付が可能です。追納できるのは、過去10年以内に免除等を受けた分ですが、免除等を受けてから3年度目以降に追納すると、保険料の経過加算がありますので、早めの追納が有利です。また追納した分は社会保険料控除の対象となりますので、所得税や住民税が軽減されます。

■各制度について下記のリンク先もご参考ください
国民年金保険料の免除・猶予制度

※この記事内容は、執筆時点2021年8月2日のものです。

内藤 眞弓(ないとう まゆみ)
ファイナンシャルプランナー(CFP®)/博士(社会デザイン学)/株式会社生活設計塾クルー取締役。ひとり一人の事情、考え方に即した生活設計、保険の見直し、資産運用などの相談業務を行う。著書に『お金・仕事・家事の不安がなくなる共働き夫婦の最強の教科書』(東洋経済新報社)など。

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