老後の大きな支えとなる
公的年金制度とは

人生100年といわれる今、老後の生活、中でも「お金」について心配されている方が多いようです。この不安を少しでも解消するために「老後のお金を守る」をテーマに、専門家のアドバイスをシリーズでお送りしています。今回紹介するのは、老後資金の基盤となる公的年金制度について。公的年金がなぜ必要なのか、その制度の基本をぜひ理解しておきましょう。

監修:

内藤 眞弓

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公的年金は時代とともに変化
改正の内容を知っておこう

 老後に受け取ることができる公的年金には、主に2種類あります。一つは、保険料を納付した期間に応じて国民全員が受け取れる老齢基礎年金(国民年金)。もう一つは、会社に勤めたことのある人が上乗せで受け取れる老齢厚生年金(厚生年金)です。老齢基礎年金は原則65歳から受給できます。老齢厚生年金は60歳受給開始から65歳受給開始へ段階的に移行しつつあり、男性は1961年4月2日以降、女性は1966年4月2日以降に生まれた人は65歳受給開始になります。
 公的年金の一番の特長は「一生涯、受け取れる」ことです。老後資金の基盤となる大事な存在ですが、時代に合わせて制度が見直されていますので、日頃からチェックしておくことが大切です。

パートやアルバイトでも
厚生年金に加入できるように

 直近は2020年の改正で、段階的に実施されています。ポイントは3つです。
 一つ目は、厚生年金に加入できる人の適用範囲が拡大されたことです。会社で働いていても、一定の条件を満たさない場合は、厚生年金の適用対象となりません。しかし、2016年の改正による条件緩和に続き、下図のように2022年10月には、勤務期間の見込み期間が「2カ月超」に短縮、従業員数も「101人以上」へ引き下げられました。さらに2024年10月からは従業員数が「51人以上」に引き下げされます。

■年金制度改革① 厚生年金の適用が段階的に拡大

働きながら年金を
受け取る場合も有利に

 二つ目は、働きながら年金を受け取る「在職老齢年金」の改正です。以前は60歳~64歳で年金を受け取りながら働く場合、1カ月の給与と年金額の合計が28万円を超えると年金が一部カットされましたが、2022年4月に47万円まで引き上げられました。

■年金制度改革② 老齢厚生年金がカットされない収入額が変わる

 また、65歳以降も厚生年金に加入して働き続けた場合、これまでは退職するまで年金額は増えませんでしたが、2022年4月以降は1年ごとに年金額が再計算され、受け取る年金額が増えます。

 三つ目は、年金の受け取り開始年齢(繰上げ受給と繰下げ受給)の改正。今後の働き方を考える際は、最新情報をキャッチしておきましょう。

「繰上げ? 繰下げ? 年金受給はどちらが有利?」もご覧ください。

■各制度について下記のリンク先もご覧ください
老齢年金
在職老齢年金

※この記事内容は、執筆時点2023年8月1日のものです。

内藤 眞弓(ないとう まゆみ)
ファイナンシャルプランナー(CFP®)/博士(社会デザイン学)/株式会社生活設計塾クルー取締役。ひとり一人の事情、考え方に即した生活設計、保険の見直し、資産運用などの相談業務を行う。著書に『お金・仕事・家事の不安がなくなる共働き夫婦の最強の教科書』(東洋経済新報社)など。

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