強い血管をつくる
食材&レシピ

脳卒中、脳梗塞、心筋梗塞、動脈硬化。もともと高齢者に多かった血管の病気は幅広い年代に広がりつつあります。長寿に欠かせない「血管の健康」をつくるために食生活を見直すことが大切です。

監修:

島田 和幸(医学監修)・柳澤 英子(料理監修)

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食生活の見直しと改善が健康を目指す第一歩

 今や、高齢者のみならず、30代前後の若い年代にも見られるようになった血管の病気。血管病には大きく分けて、脳卒中(頭蓋内出血)などの「血管が破れる病気」と、動脈硬化などの「血管が詰まる病気」の2種類があります。
 かつての日本では、高血圧が原因で起こる脳卒中が血管病の主流でした。その理由として、日本ならではの食生活が挙げられます。そもそも和食は、醤油や味噌、だしを多く使うため、洋食に比べて倍以上の塩分量が含まれています。人の身体は、塩分を過剰に摂取すると、高まったナトリウム濃度を下げるため、血管内に水分が流れ込み、血管を圧迫します。これが高血圧を引き起こすのです。高血圧を防ぐためにも、塩分の摂りすぎには十分注意しましょう。
 高度経済成長とともに、欧米の食文化が身近なものになり、日本は飽食の時代へと変化していきました。そこで起こった問題が「肥満」です。肥満の原因となる悪玉コレステロールは、血液の流れを悪くし、動脈硬化や脳梗塞を引き起こします。また、糖質も摂りすぎると血管内に蓄積され、肥満に加えて糖尿病などの一因となります。
 血管を詰まらせるこれらの病気を防ぐために重要なのは、摂取カロリーを抑えることです。特に炭水化物や油の過剰摂取は禁物。さらに、食べる量自体を減らすこと、適度な運動で摂取したカロリーを消化することも大切です。
 食品添加物や排気ガス、喫煙・副流煙、化学物質といったものに含まれるフリーラジカル(活性酸素)にも注意が必要です。多量のフリーラジカルは細胞を酸化させ、動脈硬化やがんを進行させる恐れがあります。血管の酸化は、加齢によっても徐々に進行していくので、野菜や果物といった抗酸化作用の高い食材を日頃から摂取しましょう。

手間をかけずにひと工夫!大切なのは無理なく続けること

 上の献立は、青魚やレンコン、きのこなど、抗酸化作用の高い食材を多く取り入れています。献立を考えるときは、さまざまな種類の食材を使用することを意識してください。食材の種類が多いほど、健康を守るために欠かせない栄養素を満遍なく摂ることができます。
 魚は肉に比べてタンパク質の量が少ないので、豆腐、味噌、納豆、豆乳といった大豆製品と一緒に食べるようにしましょう。大豆の栄養価を効率的に摂取するには、蒸し大豆がおすすめです。市販の蒸し大豆をご飯に混ぜるだけで主食の量が増え、糖質を減らすことができます。また、塩や醤油の代わりにカレー粉などのスパイスやお酢を使用すれば、物足りなさを感じることなく、自然に減塩できます。
 健康を維持するために最も大切なのは、継続的に身体に良い食材を食べることです。その日だけ健康的な食材を摂取したところで大した効果は表れません。とはいえ、毎日何品も調理するのはとても大変です。電子レンジを使用して洗い物や調理の手間を減らしたり、週末にまとめて数日分作っておいたりして、無理なく続けていきましょう。

※この記事内容は、執筆時点2020年8月1日のものです。

島田 和幸(しまだ かずゆき)/医学監修
地方独立行政法人新小山市民病院理事長兼病院長。著書には、『強い血管をつくる習慣』(宝島社) 、『内皮細胞が活性化する食習慣で一生切れない、詰まらない「強い血管」をつくる本』(永岡書店) などがある。

柳澤 英子(やなぎさわ えいこ)/料理監修
再現しやすい簡単レシピに定評がある料理研究家。52歳で始めた独自の食事法をまとめた『やせるおかず 作りおき』(小学館)が話題に。近著に同シリーズの『冷凍からのレンチン! やせるおかず 作りおき』などがある。

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