iDeCoとNISAなら、
どちらを優先?

人生100年といわれる今、老後の生活、中でも「お金」について心配されている方が多いようです。この不安を少しでも解消するために「老後のお金を守る」をテーマに、専門家のアドバイスをシリーズでお送りしています。今回は、iDeCoとNISAについてご紹介します。

監修:

深田 晶恵

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NISAは
老後資金以外にも使える

 iDeCoとNISAで老後資金を積立てる場合、どちらを優先すればいいのでしょうか。iDeCoには①掛金が所得控除の対象になる ②運用益が非課税 ③受取時の税負担が軽減される、の3つの税制優遇があります。ただし、60歳までは解約できません。一方で、NISAの税制優遇は②のみですが、解約はいつでもできます。2つの制度は併用が可能な制度ですが、両方で積立ができるほど余裕がある人は少ないでしょう。そこで、属性や年齢によってどちらを優先すべきかを考えます。

会社員、公務員はiDeCo
専業主婦はNISA

 まず、会社員や公務員は税制優遇効果の大きいiDeCoを優先するのが有利です。前述のように掛金が所得控除の対象となるので、所得税と住民税を軽減する効果があります。iDeCoは2022年5月から65歳まで積立が可能になりました。65歳になるまで働いて税制優遇を受けながら積立を続けるのがいいでしょう。
 専業主婦(主夫)は収入がないのでiDeCoの税制優遇は、あまり効果がありません。いつでも解約できるNISAでの積立てを優先しましょう。もし、パートで働いていて所得税や住民税がかかっている場合や、将来働くつもりであればiDeCoも選択肢になります。ただし、パートタイマーはフルタイムで働いている人と比べて節税メリットは少なくなります。

 自営業やフリーランスの人には、税制優遇が受けられる第三の制度「小規模企業共済」があります。iDeCoと小規模企業共済を組み合わせて利用するのが有利です。くわしくは次回記事(「小規模企業共済とiDeCoの合わせ技で節税効果を最大化」)で紹介します。

節税分は年末調整で
しっかり貯める

 iDeCoで節税できた金額は、「所得税」の年末調整で戻ってきますので、確実に貯蓄に回しましょう。「住民税」は翌年に、毎月の給与から差し引かれる金額が軽減されますが、1カ月にすると数千円なので、油断して使ってしまいそう。「家計見直しのポイント②」の記事の「節約効果は掛け算で考える」の図を頭に入れて、貯まる仕組みづくりをしておきましょう。

■下記のリンク先もご覧ください
確定拠出年金制度(厚生労働省)

※この記事は、都道府県民共済グループ発行「老後のお金を守る本」の抜粋です。
内容は、執筆時点2024年8月1日のものです。

深田 晶恵(ふかた あきえ)
ファイナンシャルプランナー(CFP®)。会社員を経て、1996年にFPに転身。すぐに実行できるアドバイスをするのがモットー。近著に「まだ間に合う! 50代からの老後のお金のつくり方」(日経BP)などがある。

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