健康のカギは「腸」にあり!
からだが変わる“腸活”のすすめ

100兆匹ともいわれる細菌が生息する腸は、食べ物の栄養を吸収して全身に運ぶ重要な臓器。50代にして健康的なダイエットに成功した料理研究家の実体験から、腸内環境を整えることの重要性と、正常化に役立つヒントを紹介します。

監修:

柳澤 英子

〉〉〉プロフィール

食生活を変えて実感。健康な人は腸がキレイ!

 ダイエットとリバウンドを繰り返し、50歳のときに体重73㎏の肥満体型になっていた私。健康診断の数値を見て健康面の不安に直面し、食生活の改善を決意しました。結果、独自の食事法で1年間にマイナス26㎏の健康的なダイエットに成功。57歳となった現在も体型を維持しています。その食事法の3本柱が「血糖値」「酵素」「食物繊維」。肥満要因である食べ物は控え、代謝を上げる酵素たっぷりの食事をきちんと食べ、出すものは出すというシンプルなものでしたが、振り返ってみると、腸内環境を整え、老廃物をきちんと体の外に出すことの大切さを痛感します。

 “第2の脳”ともいわれ、近年その働きが注目されている腸。全身の約7割の免疫細胞が集中し、腸内を整えることでさまざまな不調が改善するといわれています。そんな腸に関する悩みで最も多いのは、便秘ではないでしょうか。便秘は腸の働きを弱らせ、冷え性、生理痛、倦怠感など、連鎖的に起こる症状の一因となります。

 私の場合は、ダイエットや欠食で胃腸の働きが弱り、腸内環境が悪化……便秘のほか肌荒れや血行不良による肩こり・腰痛、慢性的な疲労などの症状が出てきました。腸は食べ物の栄養を吸収し、全身に行き渡らせる大事な器官。いくら栄養価の高い物を食べても、腸がうまく働かない状態では栄養不足に陥ってしまいます。さらに、便秘により腸に溜まった便からガスが発生すると、老化の促進もさることながら、大腸がんの危険性も高まるとか。そんな腸内環境の改善策は、食べ物で腸内のそうじをすることにありました。便秘に最も効果的な食物繊維を摂ることでお通じが良くなり、どんどん体が軽くなるのを実感。肌のくすみの改善や、白髪の減少など、美容面でもプラスの変化が出たことは嬉しい誤算でした。

 腸内環境の美化に効果的な食物繊維には、2つの種類があります。腸の水分を吸収してぜん動運動を促す不溶性食物繊維(代表的な食品は豆類、きのこ類など)と、水に溶けて便を排出しやすい状態にしてくれる水溶性食物繊維(代表的な食品はオクラ、海藻類、アボカドなど)。どちらかに偏るとかえって便秘を悪化させたり、下痢になったりしてしまうこともありますし、しっかり量を食べないと便のカサが少なすぎて腸のぜん動運動が起こりません。上記の食事例を参考に、主食・副菜をバランスよく食べましょう。

 また、朝は排出の時間ととらえ、朝食は少量にして消化よりも排出のほうにパワーを使えるように意識してください。朝にゆっくりする時間を確保することは、心の余裕にもつながります。腸を整えることがうつ病の予防・改善につながるという研究もありますが、単純に「若々しくてキレイだね」なんて言われたら嬉しくて、鬱々とした気持ちからは遠ざかるもの。日々の食事で、体の中から元気にキレイになりましょう!

※記事内容は、執筆時点2020年8月1日のものです。

柳澤 英子(やなぎさわ えいこ)
再現しやすい簡単レシピに定評がある料理研究家。52歳で始めた独自の食事法をまとめた『やせるおかず 作りおき』(小学館)が話題に。近著に同シリーズの『冷凍からのレンチン! やせるおかず 作りおき』などがある。

TOPページに戻る