被害をできるだけ小さく
災害別「減災」のすすめ vol.3
ある日突然、何の前ぶれもなくやってくる自然災害。その規模を事前に知ることは困難であり、私たちの日常の脅威となり得るものです。そこで知っておきたいのが、災害による被害をできるだけ小さくするための取り組み=「減災」。シリーズでご紹介する減災対策の第3回目は「津波」についての備えです。
津波はどうして起こるの?
海底で大きな地震が発生すると、海底地盤は断層運動により隆起もしくは沈降し広範囲にわたり破壊されます。これに伴う海面の変動が「津波」となり、大きな波が四方に伝播していきます。
津波は、水深が深いほど速く伝わる性質があり、沖合いではジェット機(時速約800km)に匹敵する速さで伝わります。逆に、水深が浅くなるほど速度が遅くなるため、津波が陸地に近づくにつれ、減速した波の前方部に後方部が追いつくことで、波は高くなるのです。
第一波、第二波…と
何度も繰り返しやってきます
津波は必ずしも第一波が最も高くなるとは限りません。例えば、平成22年2月にチリで発生した大規模地震による津波では、日本の沿岸まで到達した第一波の数時間後に押し寄せた第二波の方が最大規模でした。
このように、津波は繰り返し沿岸に押し寄せ、第二波あるいは第三波以降が最大になることもあります。
また、津波は引き波で始まるとは限らず、押し波でくることもあります。「津波の前には必ず潮が引く」という言い伝えがありますが、潮が引くことなく最初に大きな波が海岸に押し寄せる場合もあるのです。
海の近くで地震の揺れを感じたら、
すぐにその場から離れましょう!
津波注意報は、予想される津波の高さが高いところで0.2m以上~1m以下の場合で、津波による災害のおそれがある場合に発表されます。
ただし、震源が陸地に近いと津波警報・注意報が津波の襲来に間に合わないことがあります。海の中にいる人は、ただちに海から上がって海岸から離れてください。海の近くで強い揺れや、弱くても長い揺れを感じたときは、急いで安全な場所に避難しましょう。
可能な限り
より早く・より高く・より遠くへ避難
津波警報は、予想される津波の高さが高いところで1mを超え、3m以下の場合に発表されます。標高の低いところでは津波が襲い浸水被害が発生し、人は津波による流れに巻き込まれる危険性があります。沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してください。
大津波警報は、高いところで3mを超える津波の高さが予想される場合に発表されます。木造家屋が全壊・流失し、人は津波による流れに巻き込まれるなど、甚大な被害が想定されます。沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してください。できる限りの避難をしましょう。
陸上に駆け上がった津波には、高さが50cm程度でも人が立っていられないほどの強い力があります。津波が押し寄せた場所の地形によっては、警報で示された高さ以上になることもあります。ここなら安心と思わず、より高い場所を目指して避難しましょう。
また、津波は長い時間繰り返し襲ってきます。津波警報や注意報が解除されるまでは、油断せずに避難を続けましょう。
覚えておきたい
津波避難所のマーク
●津波注意
地震により津波が襲う危険のある地域であることを示します。
●津波避難場所
津波に対して安全な避難場所高台であることを示します。
●津波避難ビル
津波に対して安全な避難ビルであることを示します。
海岸近くにいるときには、まず近くに津波注意のマークがないか確認しておきましょう。
また、津波警報を聞いたり強い揺れを感じたりしたら、すぐに海岸から離れましょう。よく知らない土地でも、津波避難所や津波避難ビルのマークを目印に、すみやかな避難を心がけましょう。
参考:内閣府(防災担当)「みんなで減災(減災啓発ツール)」/気象庁HP
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※この記事内容は、執筆時点2020年12月2日のものです。