自然災害でさまざまな
ものを失ったときの対処法
大規模災害の発生で直面するのが生活再建の問題。ここでは被災時に証明書や貴重品を紛失したケースを想定して、万が一のとき、少しでも落ち着いて生活を再開できるよう、対処法をご紹介します。
これらをなくした
場合はどうする?
■ 運転免許証
できるだけ早く紛失届を出し、再交付手続きをしましょう。運転免許証の再交付申請は運転免許センター、マイナンバーカードの再交付申請は市区町村のマイナンバー担当課。大規模災害時は異なる場合も、確認を。
■ 現金
火災で焦げたお札や溶けた硬貨は一般の金融機関に持ち込めば鑑定して新しいお金と交換可能です。傷みが激しい場合は日本銀行の本店または支店へ。
■ 通帳・印鑑・キャッシュカード
まずは警察と金融機関に届け出を。災害時、各金融機関はキャッシュカードや通帳・印鑑がなくても本人確認ができれば一定限度額までは払い戻しに応じています(金額は災害と金融機関により異なる)。
■ クレジットカード
カード会社の盗難・紛失、事故専門ダイヤル(24時間対応)に電話を。カードが悪用された場合、届け出の60日前にさかのぼって損害賠償されます。持ち出し袋にカード会社の番号メモなどを入れておくと安心。
■ その他
手形や小切手などの有価証券は警察に届け出を。特に株式は再発行に時間がかかり、平均1年間、手数料は1銘柄につき1万円かかります。自宅保管よりも銀行の貸し金庫などに預けることをおすすめします。
お金に関する支援
多くの市区町村では、被害を受けて一定の条件を満たした世帯主に対し、生活の立て直し用の「被災者生活再建支援金」(25万円〜300万円)が建物の損壊状況に応じて支給されます。低所得世帯や生活保護世帯が対象の「災害援護資金」もありますし、義援金を受け取れるケースも。これらは罹災証明書が必要なので必ず申請を。
住まいに対する支援
住宅が損壊し、住むところがなくなった人を対象に「応急仮設住宅」が設置されます。入居条件は災害の規模によって変わりますので各自治体に問い合わせを。ほかにも公営住宅の家賃の低減、民間賃貸住宅の借り上げや家賃補助、住宅建設の融資に関わる利子補給などさまざまな支援が行われます。
仮設住宅入居までの流れ
※この記事は、都道府県民共済グループ発行「命を守る防災ハンドブック」の抜粋です。
内容は、執筆時点2024年8月1日のものです。
山村 武彦(やまむら たけひこ)
防災システム研究所所長。防災・危機管理アドバイザー。1964年の新潟地震以来、災害現地調査は250カ所以上、全国での講演は2,500回を超える。多くの企業や自治体の防災アドバイザーを歴任する実践的防災・危機管理の第一人者。