毎月3千円分の食品ロス?
家計を救う冷蔵庫の片付け術

「冷蔵庫の食品がいつの間にか賞味期限切れになってしまう」という人も多いのでは。食品ロスと家計のムダを減らすために、すっきり片付いて使いやすい「ハッピー冷蔵庫」を目指してみませんか?

監修:

大野 多恵子

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食品ロス量は年間612万トン
約半数が家庭から出ている

 まだ食べられるのに廃棄される食品を「食品ロス」といい、近年国内外で問題となっています。2017年度の日本の食品ロス量は612万トン。これは国民1人あたりに換算すると48㎏となり、年間のお米の消費量(1人あたり)に相当します。そして、実はこの半数に近い284万トンが家庭から出ているのです。一般的な家庭の食費に換算すると、月約3000円もの食品を捨てていることになります。環境問題だけでなく家計にとってもムダといえるでしょう。
 食品ロスが発生してしまう原因として考えられるのは主に次の3つです。
①冷蔵庫に食品を詰め込みすぎて中身を把握できていない
②使う量以上に食品を買い込んでしまうクセがある
③買ったり、もらったりした調味料や食品をうまく料理に使用できない

 心あたりがある方は、下のリストでご自身の食品ロスを招く原因を確認してみてください。

冷蔵庫は「ホテル」
食材の出入りしやすい状態に

 食品ロスによる家計の損失を避けるために、ぜひ取り組んでほしいのが「冷蔵庫の整理」です。冷蔵庫がごちゃごちゃしていると、買ってある食材の存在を忘れて腐らせたり、同じ食品を買ってきたりなど、ムダが生まれてしまいます。ベストなのは、冷蔵庫の扉を開けたときに中身をすべて把握できて、必要なものをさっと取り出せる状態を保つことです。普段、片付けをする際は、モノのおウチ(定位置)を決め、使用後は元の場所に戻すことが基本ですが、置かれる食品が短期間のサイクルで常に入れ替わる冷蔵庫は「ホテル」のようなもの。「食品の入れ替えをしやすい仕組み」を作ることが大切です。

 冷蔵庫を整理するにあたり、まずは中にある食品を全部取り出しましょう。それらを①「おいしく食べられる食品」、②「早めに食べたい食品」、③「賞味期限や消費期限が過ぎている、または傷んでいる食品」の3つに分類し、「食品のムダ買いをしていないか」「買っている量は適正か」と考えながら、①と②の食品のみを冷蔵庫に戻します。③はゴミとして処分しましょう。
 冷蔵庫に収納するときは、下記の5つのポイントを意識してください。

 このほか、冷蔵庫の整理に加えて、買い物に行く頻度や一度に購入する量を見直すことも大切です。冷蔵庫には必要以上に食品をため込まないように意識するとともに、期限が近い食品から使い切る習慣をつけましょう。
 一度、食品の出し入れがしやすい「ハッピー冷蔵庫」を確立してしまえば、食品ロスが減り、家計のムダがなくなります。さらに、「暮らしの土台」が整うことで家事の効率もアップ。自分自身がハッピーに暮らせるようになるのはもちろん、食品ロスが減ることで大切な資源の有効活用や地球環境への配慮にもつながっていきます。
 これを機に、ご自宅の冷蔵庫を見直してみてはいかがでしょうか。

※この記事内容は、執筆時点2020年8月1日のものです。

大野 多恵子(おおの たえこ)
約20年、ライターとして食や環境に関する記事を多数執筆。2011年にライフオーガナイザーの資格を取得し、ハッピー冷蔵庫アドバイザーとして講座やワークショップを開催。著書に『冷蔵庫さえ片づければ、なにもかもうまくいく』(竹書房)がある。

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